新たなる平安文学研究
日本の平安文学、汉文学がご専门の藤原克己名誉教授は、二〇一八年叁月に东京大学大学院人文社会系研究科をご退任になった。氏の东京大学での在任期间二〇年のうち、后半期に指导を受けた比较的若い世代の教え子たちと、最后の五年间を共に过ごした同僚が、一册の小さな论文集として、その间の成果をまとめたのが本书である。世界各国から集まった彼らは、各自の関心に従って、独自の研究を発展させた。専门领域は多岐にわたり、この一册で幅広く平安文学史を覆う、最先端の成果となっている。
藤原克己氏による序文に続き、第滨部「汉诗文と和歌」は、叁篇の论考を载せる。廖栄発「菅原道真「寒早十首」と白居易?刘禹锡?元稹の流謫文学」は、道真が白居易?刘禹锡?元稹の流謫文学の影响を受けて「寒早十首」を创出したことを论じたもの。宋晗「吟咏される诗序――その表现と効果」は、难解な诗序が宴の场で吟咏されていた点に注目して、同时代におけるその表现効果を考察。田中智子「『古今和歌六帖』第四帖《恋》から『源氏物语』へ――〈面影〉项を中心に」は、古今和歌六帖による歌ことばの錬磨が、源氏物语の散文表现に影响したことを论じている。
第滨滨部「源氏物语」は四篇を収める。山口一树「朧月夜の出仕と尚侍就任」は朧月夜の尚侍としての性格について、先行物语の尚侍の造型を踏袭しながらも女君の苦悩が掘り下げられていることを论じたもの。北原圭一郎「兵部卿宫と光源氏――贤木巻を中心に」は、兵部卿宫の人物造型について、主に贤木巻以前の光源氏との政治的紧张関係に焦点を当てて考察。井内健太「不义の子薫の背负うもの」は、源氏物语第叁部の世界において、柏木と女叁の宫との密通が薫の造型及び思惟にどのような影响を持ったかを考察。林悠子「サイデンステッカー訳『源氏物语』正篇の〈涙〉」は、訳者が英语圏の読者を考虑して削减したと言う〈涙〉に関わる表现を调査し、英訳『源氏』正篇で15%弱が削减されたことを确认した。
第滨滨滨部「记録と日记」は二篇を収録。アントナン?フェレ「王朝记録文化の独自性と「日记」」は、「日记」に基盘を持つ平安时代の记録文化が中国のそれを継承しつつも、独自に発展したものであることを论じたもの。高木和子「更级日记における长编物语的构造」は、更级日记が菅原孝标女の実体験に基づきつつも、主に源氏物语の表现や构造を通して再构筑された可能性を提案する。
现在は世界各地、日本各地でそれぞれ独自の研究と教育に尽力している若い仲间たちがますます元気に活跃するように、そして、藤原克己名誉教授が末永くお元気に、我々をお导き下さるように、心より祈念する。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 高木 和子 / 2020)
本の目次
I 汉诗文と和歌
菅原道真「寒早十首」と白居易?刘禹锡?元稹の流謫文学 廖栄発
吟咏される诗序――その表现と効果 宋晗
『古今和歌六帖』第四帖《恋》から『源氏物语』へ――〈面影〉项を中心に 田中智子
II 源氏物语
朧月夜の出仕と尚侍就任 山口一树
兵部卿宫と光源氏――贤木巻を中心に 北原圭一郎
不义の子薫の背负うもの 井内健太
サイデンステッカー訳『源氏物语』正篇の〈涙〉 林悠子
III 记録と日记
王朝記録文化の独自性と「日記」 Antonin Ferre
更级日记における长编物语的构造 高木和子
あとがき 高木和子
执笔者绍介