岩波新书 町を住みこなす 超高齢社会の居场所づくり
日本の住宅地、特に戦后大都市郊外で开発されてきた新规开発の住宅地では、现在深刻な高齢化が课题となっており、かつてニュータウンと呼ばれていた町が、オールドタウンと呼ばれるような状况になりつつある。本书は、こうしたいびつな形で超高齢化が进む日本の郊外住宅地がどのように形成され、そこで半世纪くらいかけて何が起き、现在どうなりつつあるかという事柄を明らかにしてきた调査研究の成果を踏まえつつ、こうして出来上がった町を、「住みこなせる町」としてつくり変えていくためにどのような方策を採ったらよいのかを考えていくことを目的としている。
はじめに、では、本书タイトルである「住みこなし」という现象について解説している。
第一章では、住宅地の计画において「时间」というファクターが、町をどのように変えていくのかを示している。なぜ、「35歳と子どもたち」が分譲住宅を买うのか、なぜニュータウンはオールドタウン化するのか、そして、なぜ住宅地を住みこなせる町にするためには多様性が键なのかを、解き明かす。
第二章では、世帯と家族の违いに着目し、「1世帯が1つの敷地に建つ1つの住宅に住む」という普通のパターンで、全ての人々が住んでいるわけではないことを示し、「近居」という现象がいかに住宅地の成熟を促进しているかを示す。
第叁章では、普段あまり顾みられることのない短い距离を移动する「短い引越し」や、「骋ターン」と名付けた地域内の引越しが意外と多いことに着目し、生活の薬箱のような町を作っていくために重要な视点を提供する。
第四章では、居场所に着目した住宅デザイン、住宅地デザインについて述べている。通常、住宅団地をつくる际に「コミュニティ」のための场所として集会所などが作られるが、大抵は、町の人々が一堂に会することのできる、大きな大空间を一つこしらえれば、コミュニティのための施设が出来上がりと考えられる。だが、町の中には、一定の割合でコミュニティが大事だと思っている人と、そうでない人が同时存在する。大空间のコミュニティホールが、みんなのための居场所だとすると、町の中には、一人のための居场所や二人のための居场所や少人数のための居场所も同时に必要である。このように、町のあちこちに多様な人々のための居场所を形成し、住宅と町の间をつなぐことの重要性を説いている。
第五章では、第一章から第四章まで述べてきた事柄を、実践に移すための事例や手がかりを示しつつ、町が多様な人々にとって住み続けられる、町全体が居场所となるための方策について述べている。
本书は、このように、既存の町を、多様な人々に住み続けられるための住环境に、どのようにつくり変えていくべきかを考えるための书であり、行政、町づくりの専门家、建筑家、そして、町内会や自治会や地域で活动する狈笔翱法人の方々に読んでほしい本である。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 大月 敏雄 / 2019)
本の目次
第一章 時間 ――人生のスパンで住宅を考える
&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;1 町が住みこなせない
&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;2 町の生态学
&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;3 町の机能の多様化
第二章 家族 ――十家族十色の暮らし方
1 住まい方は家族それぞれ
2 近居の力
3 町の多様性が近居を可能にする
第三章 引越し ――「Gターン」がつくる生活の薬箱
1 住み替えとゆるい定住
2 同じ町の中で移り住むこと――骋ターン
3 町が「地元」になること
第四章 居场所――町のあちこちに主(あるじ)感のある场を
1 仮设住宅から学ぶ
2 远くの亲戚よりも近くの他人
3 「町の居场所」はどこに?
第五章 町を居场所にするために――居场所で住まいと町をつなぐ
1 超高齢社会に求められる町とは
2 时间――町をゆっくりと成长させる
3 家族――多様な住宅を混ぜる
4 引越し――町の住宅双六を
5 居场所――近隣に頼るきっかけの场づくり
あとがき
図出典一覧
主要引用?参考文献一覧
関连情报
2018年都市住宅学会賞著作賞 (2018年)
第8回不動産協会賞 (2018年)
书评:
西日本新聞 2017年11月12日
北海道新闻 2017年10月22日
公明新闻 2017年10月16日
日本経済新闻朝刊 2017年10月14日
月刊建築技术 2017年10月号
爱媛新闻 2017年9月24日
徳岛新闻 2017年9月24日
京都新闻 2017年9月24日
中国新闻 2017年9月17日
山梨日日新闻 2017年9月17日
信浓毎日新闻 2017年9月17日
福岛民友 2017年9月16日
デイリー叠翱翱碍ウォッチ「町はいろいろあった方が暮らしやすい」 (『週刊东洋経済』 2017年9月23日号)