原典 ルネサンス自然学 【上?下】
【上巻】650ページ、菊判、上製 【下巻】656ページ、菊判、上製
日本语
2017年
【上巻】 978-4-8158-0880-8
【下巻】 978-4-8158-0881-5
名古屋大学出版会
环境破壊问题や自然灾害の多発に直面した现代文明の行き詰まり感の中で、自然と人间との関係の见直しが、喫紧の课题となっている。そうした状况下で、西洋近代科学の意义も再考を迫られている。近代科学文明が诞生する以前には「自然」はどのように捉えられていたのだろうか。とりわけ、近代科学を準备したと考えられるルネサンス期の「自然学」には、従来行われてきたような遡及的――近代主义的――な见方だけでは捉えきれない豊かな侧面があることが、近年ではしきりに强调されている。
そこで本書は、現代に受け継がれたもの、否定されたもの、潜行して無意識のうちに影響を広げていったものなどを含め、ルネサンス期の多面的で豊かな「自然学」の広がりを、原典の翻訳紹介によって示そうと意図して企画?出版された。そして、進歩史観に囚われた遡及的な見方、近代主義的な錯視に陥らないように注意するとともに、逆に魔術やオカルト?神秘主義をいたずらに持ち上げて訳知り顔をすることもしないよう注意した。当時の天文学や医学、あるいは数学をはじめとする精密科学が、宇宙?自然全体が神から流出した一つの「体」であり生命力を持つ、という魔術的着想の中にいたことを見逃さず――実際、機械論哲学が勃興した時代にパラケルスス主義や自然魔術が非常に流行しており、ケプラーやニュートンまでがそれらに囚われ、さらに解剖学や博物学でさえ魔術的世界観と手を切ってはいなかった――、かといって、後代に受け継がれた、技术的?合理的な科学の発展を軽視することもしないよう、テクストの選択と全体の構成には十分気をつけたつもりである。バランスのとれた選択をして、後期ルネサンス期の知的状況全体を見渡し、当時の自然学の西洋文明史上の意義に迫りたいと考えた。
具体的には、15世纪前半から17世纪末の、30人の代表的自然学者――広い意味での――のテクストを取り上げた。テーマは、植物誌や动物誌、地理学、天文学、光学、数学、自然魔术、錬金术、惊异论、解剖学、医学、化学、温泉学、料理术、农学、力学、工学、冶金术など多様であり、「科学史」の通史ではかならずしもメインでないテーマの作品も採用した。一般に、后期ルネサンスは、イタリアから西欧各国へと地理的范囲を大幅に広げたとされるが、本书で扱われる着者の出身地も、イタリアにとどまることなく、イギリス、ドイツ、フランス、ベルギー、ポーランド、デンマークと幅広い。
选ばれた代表的な科学者?着作家の作品を、できるかぎり抄訳でない形で绍介し、原则として既訳のある作品ははずした。原本に図版の多いものもあり、それらはできるだけ再録するように努めた。14世纪后半にフィレンツェを中心に兴隆したルネサンス期の人文主义は、15世纪后半から17世纪半ばにかけて、科学とその思想にさまざまな影响をおよぼした。それゆえ本书に集められた作品群は、いわば科学的人文主义あるいは人文主义的な自然学の精华であるとも看做せるだろう。専门の研究者の研究に里付けられた訳业として、すべて原典から翻訳するとともに、「自然学者」ごとに、取り上げた着作に焦点を当てた、訳者による解题を付している。
ルネサンス期の知の営みの中心を占めた「自然学」の全体像を原典の绍介で示すことにより、ルネサンスのみならず、それに先立つ中世、およびつづく近代の歴史に新たな光が当てられたらというのが、监修者の愿いである。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 池上 俊一 / 2017)
本の目次
解説 ルネサンス自然学 (池上俊一)
自然誌:
1 フランシス?ベイコン「森の森」柴田和宏
动物誌:
2 コンラート?ゲスナー「动物誌」石原あえか
植物誌:
3 プロスペロ?アルピーニ「ルバーブ论」桑木野幸司
农学:
4 オリヴィエ?ド?セール「農業の劇場」 池上俊一
料理术:
5 プラーティナ「適正な快楽と健康について」 池上俊一
温泉论:
6 ウゴリーノ?ダ?モンテカティーニ「温泉論」 池上俊一
医学:
7 ジャン?フェルネル「事物の隠れた原因」 月澤美代子
8 ジローラモ?フラカストロ「伝染?伝染病およびその治療について」 田中祐理子
解剖学:
9 アンドレアス?ヴェサリウス「人体の構造について」 澤井 直
10 マルチェッロ?マルピーギ「肺についての解剖学的観察」 澤井 直
発生学:
11 ウィリアム?ハーヴィ「動物の発生」 澤井 直
惊异论:
12 アンブロワーズ?パレ「怪物と驚異について」 黒川正剛
自然魔术:
13 ヘンリクス?コルネリウス?アグリッパ「オカルト哲学について」伊藤博明
14 パラケルスス「像についての書」 村瀬天出夫
15 トンマーゾ?カンパネッラ「事物の感覚と魔術について」 村松真理子?池上俊一
【下巻目次】
学问论:
16 ジョン?ディー 「数学への序説」坂口勝彦
ユートピア论:
17 ヨハン?ヴァレンティン?アンドレーエ「クリスティアノポリス」加藤守通
地理学:
18 ゼバスティアン?ミュンスター「宇宙誌」 小林繁子
占星术:
19 マルシリオ?フィチーノ「太陽論」 根占献一?田中佳佑
天文学:
20 ニコラウス?コペルニクス「ヴェルナー論駁書簡」 高橋憲一
21 ティコ?ブラーエ 「新星について」 高橋憲一
光学:
22 ヨハネス?ケプラー「屈折光学」田中一郎
数学:
23 ウィリアム?オートリッド「数学の键」坂口胜彦
力学:
24 シモン?ステヴィン「計量法原論」 中澤 聡
工学:
25 マリアーノ?ディ?ヤコポ (タッコラ) 「尋常ならざる装置と建築についての第三の書」 白幡俊輔
鉱山学?冶金术:
26 ヴァンノッチョ?ビリングッチョ「火工術」 池上英洋
錬金术:
27 伝トマス?ノートン「錬金术式目」大桥喜之
化学:
28 ロバート?ボイル「実験の失敗について」 吉本秀之
29 アイザック?ニュートン「酸の本性について」 吉本秀之
原子论:
30 ウォルター?チャールトン 「エピクロス-ガッサンディ-チャールトンの自然学」 吉本秀之