放送大学丛书 <科学の発想>をたずねて 自然哲学から现代科学まで
古代ギリシアから現代の科学まで、主として物理学?天文学に焦点を当てて科学の歴史的流れを解説した本である。もともとは放送大学の教科書として「物理科学通史」「物理?化学通史」と題して出版したものを、改題して左右社から出版した。毎年度Sセメスターに開講している科学史の授業の教科書としても使っているものである。さらに元をたどれば、いくつかのトピックはアメリカ留学中に聴講した科学史の授業の内容を参考にしている。その一つが古代ギリシアの章。留学早々に学部生を対象とした1年間にわたる科学史通史の授業を聴講したのだが、パルメニデスの議論からその対応の一つとして原子論が登場し、またアリストテレスの自然哲学体系も誕生したという流れに大変感銘を受け、その話題を通史の中に盛り込むことにした。やや専門から離れてしまう古代や中世のことを取り入れたので、深く詳細に歴史を紐解くことができないのだが、聴講する学生には古代や中世のことに関心をもつ学生が多いようである。古代ギリシアから、中世アラビアと西欧、古代中世中国の自然学?天文学について語った後、コペルニクス?ケプラー?ガリレオ?デカルト?ニュートンなどの科学者をとりあげ、近代科学が成立した科学革命の過程を概観する。その上で物理学と化学において重要な研究成果、新しい理論が登場した経緯を追いかける。現代物理学の誕生というと、相対性理論や量子力学の誕生などが重要であり本書でも解説しているが、それとともに19世紀初頭に登場した熱?光?電気?磁気に関する物理学理論についても1章を設けて解説した。熱物質 (カロリック) という我々の目からは異様に思える仮想的な物質が想定された18世紀の熱物質説から、熱はミクロな分子の運動に存すると考える熱運動説に19世紀前半の間に移行する過程などをそこでは解説する。このような理論の転換の過程を見る際に重要なことは、昔の一見奇妙に思える理論がそれなりに筋の通った理論であることを理解すること、その上で実は逆にその後有望視されて受け入れられていく理論が最初は奇妙に思われることもあったことを確認することである。当時の知的状況になるべく身を置きながら、科学の発展を学んでもらいたいと考えている。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 橋本 毅彦 / 2016)
本の目次
第1章 西洋科学の精神
第2章 ギリシアにおける自然学の诞生
第3章 「中世の科学」
第4章 中国の科学
第5章 コペルニクス革命
第6章 魔术的自然観
第7章 机械论的自然観の成立
第9章 化学革命
第10章 数学的実験物理学の诞生
第11章 古典物理学の成立
第12章 有机化学の诞生
第13章 量子力学の诞生
第14章 原子物理学と原爆开発
第15章 巨大加速器と巨大科学