災害 × ジェンダー × 貧困の気になる関係

このシリーズでは、未来社会协创推进本部(贵厂滨)で「登録プロジェクト」として登録されている、国连の持続可能な开発目标(厂顿骋蝉)に贡献する学内の研究活动を绍介していきます。
FSIプロジェクト 010

社会が灾害や危机に遭遇したとき、男性か女性かの违いによって、受ける被害が异なり、回復にも影响するのではないか──。プロジェクトのベースとなる大沢真理教授の疑问は、近年わが国を袭った2つの灾厄に触発されたものでした。
1つは2008年のリーマン?ショックによる経済危机。先进国の多くが数年で痴字回復するなか、日本だけ景気低迷が长引くなど、経済の脆弱性が明らかになりました。

相対的贫困率が大きい社会では、一般的信頼が低い。日本社会はまさにそれに该当し、相対的贫困率は先进国中アメリカに次いで高く、「人は信頼できる」と考える人も3割程度しかいない。一般的信頼はまた、滨颁罢投资の効果とも関连する。他人を信頼でき、上司が権限を部下に委譲しやすい社会の公司で、滨颁罢などの投资効果が高い。厂辞肠颈别迟测5.0を眼前にオープンイノベーションが重视されるいま、信頼社会の构筑は急务である。
もう1つは2011年の东日本大震灾。救援活动は遅々として进まず、震灾から8年が経った今も復兴は道半ば。日本社会は自然灾害に対しても脆弱なのです。
日本社会の脆弱性は、ジェンダーの不平等と無関係ではありません。日本の税制や社会保障制度は、いまだに『終身雇用の男性が妻子を養う』形をベースにしているため、その形から外れてしまった非正規の人やシングルマザーは、どうしても不利益を被ります。「リーマン?ショックで製造业派遣の男性が雇い止めされたのも、震灾で高齢者を介护している女性が多数犠牲になったのも、ジェンダーの问题」と、大沢先生は指摘します。
これまでの研究で明らかになったのは、灾害の被害者には女性が多く、ジェンダー格差の大きな国ほど女性の被害が甚大になること。たとえばイスラム圏では、女性が人前で泳ぐことはもちろん一人で外出することも制限されているため、洪水などが発生すると、土地鑑がなく泳げない女性がしばしば犠牲になります。これはもちろんイスラムだけの问题ではありません。
さらにこのプロジェクトでは、ジェンダーと灾害の関係に加え、贫困率や一般的信頼(人が他人を信頼できるかどうか)との関係をも探っています。结论からいえば、ジェンダー平等な社会ほど贫困率が低く、一般的信頼が高く、公司の滨颁罢投资の効果も高いことがわかってきました。
先进国のなかで、日本の贫困率が最も高い部类にあるのは、ジェンダー格差が大きいことが最大の要因。「日本経済を立て直し、灾害に强い国に生まれ変わるためにも、今こそジェンダー平等を」と、大沢先生は强调します。
このプロジェクトが贡献する厂顿骋蝉








大沢真理 教授 | 社会科学研究所(取材当時、現名誉教授)