通商政策の再构筑 颁笔罢笔笔とその先へ
2022年、ロシアのウクライナ侵略は世界に大きな衝撃を与えました。「ウクライナは明日の东アジアかもしれない」(岸田総理)。中国は、台湾を武力で统一する可能性を排除しません。アメリカは、中国との覇権竞争は今后10年が胜负だとしています。ロシアは中国に加えイランや北朝鲜とまで连携、中东の纷争は拡大、世界は戦争と隣り合わせとなりました。
長く続いた平和を前提にグローバル化を進めた経済活動も、今や様変わりです。軍民両用の先端技术が戦争を一変させています。そのような技术の懸念国への流出をいかに防止するか。コロナ禍で医療物資や半導体が不足した経験を経てサプライチェーンをいかに強靭にするか。重要な物資の国内生産をどう確保するか。外国に圧力をかけるため物資の輸出入を止めるなどの「経済的威圧」を行う国への依存度をいかに下げるか。こうした各国の取組みの結果、自由貿易体制も揺らいでいます。
本書は、通商国家として発展してきた日本が、世界の安定と繁栄の基礎となる通商秩序の再構築に向けて取るべき戦略を検討したものです。米中の内政?外交、国際経済法、国際政治経済、安全保障、日本の対中外交?対中ビジネスなどを専門とする学識者と実務家から成り、著者が座長を務めた研究会 (アジア?パシフィック?イニシアティブの「CPTPPプロジェクト」) での議論を踏まえて執筆しました。
日本は、アメリカが立ち上げた環太平洋パートナーシップ (TPP) 交渉に、国論を二分する議論を乗り越えて参加し、厳しい交渉を経て協定を締結しました。その直後、アメリカのトランプ政権が離脱し、日本が主導して残る11カ国で「TPPに関する包括的および先進的な協定 (CPTPP)」をまとめました。本プロジェクトは、このような経緯で実現したCPTPPをいかに戦略的に活用するかという問題意識で発足しました。研究会の最中にロシアのウクライナ侵略が始まり、刻々と情勢が動いていく中で書き進めました。
本書は、日本のとるべき通商戦略とその実施を支える国内政策の課題を整理しています。通商戦略としては、(1) 法の支配の拡大、(2) CPTPPの高い水準の維持、(3) 経済的威圧への対抗、(4) CPTPPと欧州連合 (EU) の連携、(5) アメリカのアジア関与の維持強化、の5点を挙げました。日本の国内政策としては、以上の通商戦略を遂行する基礎となる国力を高めることが至上命題です。戦略検討の前提として、米中対立を基調とする国際情勢、日本の通商政策の推移、通商秩序の揺らぎ、通商協定を締結できなくなったアメリカの国内事情、CPTPPに加入申請した中国の狙いなどを分析しています。
执笔から时间が経ち、国际情势の厳しさが増していますが、米中対立の基本构造は変わっていません。今后の日本の取るべき戦略を考える上で必要な大局観を持つきっかけになればと思います。
(紹介文執筆者: 公共政策大学院 教授 宗像 直子 / 2024)
本の目次
アシ?ア?ハ?シフィック?イニシアティフ? CPTPPフ?ロシ?ェクト メンハ?ー
略语一覧
エク?セ?クティフ?サマリー
摆はし?めに闭
地政学的竞争下の通商秩序の行方
[第1章] 日本の通商政策の推移と国際通商秩序の揺らき?
自由贸易体制の停滞と初期の日本の贵罢础の限界
贵罢础交渉を加速した日本:第二次安倍政権のリータ?ーシッフ?
奥罢翱の弱体化
経済安全保障とサフ?ライチェーンの再构筑
テ?シ?タル?ルール形成の动き
相次く?新规颁笔罢笔笔加入申请
[第2章] 米国?ハ?イテ?ン政権の通商政策
「チャイナ?ショック」か?もたらした両极化
中国の颁笔罢笔笔加入申请のインハ?クト
イント?太平洋経済枠組み (IPEF)
自由贸易を支持する世论は政治に届かす?
[第3章闭中国の论理とケ?ームフ?ラン
「话语権」获得をめく?る国内の议论
颁笔罢笔笔のルール?市场アクセスの水準と中国の国内制度?政策
中国国内て?の议论:政治主导による加入论か?通底
小括
[第4章] 日本の戦略
罢笔笔の戦略的意义の再确认
重层的な通商秩序の构筑
英国の加入申请への颁笔罢笔笔缔约国の対応
英国に続く颁笔罢笔笔加入申请への対応
経済的威圧に対応する有志国の枠组
颁笔罢笔笔と贰鲍の连携强化
米国のアシ?アにおける経済的関与の维持强化に対する働きかけ
奥罢翱の机能の回復?强化
颁笔罢笔笔の机能强化
日本の国力の増强
関连情报
Asia Pacific Initiative / 一般财団法人アジア?パシフィック?イニシアティブ
寄稿?论文:
経済安全保障をめぐる国際情勢―米中技术覇権競争と日本の通商政策の課題 (『學士會会報』No.960 2023年5月)
特集:通商秩序の构筑と日本の役割
宗像直子 東京大学公共政策大学院 教授「中国のただ乗りを止めるために」 (『世界経済評論』2023年3/ 4月号 Vol.67 No.2、通巻725号 2023年2月15日)
着者インタビュー:
中国が技术を狙う日本企業 (『金融ファクシミリ新聞』 2023年5月15日)
通商政策への思い、ぶれずに进む
东京大学公共政策大学院教授?宗像直子さん(折れないキャリア) (『日本経済新闻』 2022年9月26日)
习主席の罢笔笔加盟発言は本気か 宗像直子氏に闻いた (『朝日新闻デジタル』 2020年12月15日)
着者コラム:
地政学リスクの时代の公司価値向上 (『コーポレートガバナンス』痴辞濒.15 2024年4月号)
半世纪前の少女の感想 元特许庁长官?宗像直子 (『日本経済新闻』 2023年9月29日)
社会人讲座 元特许庁长官?宗像直子 (『日本経済新闻』 2023年8月25日)
戦争を起こさせない 元特许庁长官?宗像直子 (『日本経済新闻』 2023年8月4日)
七夕の願い 元特許庁長官 宗像直子 (『日本経済新聞』 2023年7月7日)
书籍绍介:
教员业绩报告/出版物
宗像直子教授の著書「通商戦略の再構築ー颁笔罢笔笔とその先へ」が刊行されました (東京大学公共政策大学院ホームページ 2022年7月6日)
讲演?フォーラム:
NEW! 社会人プログラム:経済安全保障と公司のリスク管理 特别讲座 (东京大学公共政策大学院 経済安全保障プログラム 2024年12月14日)
SSUフォーラム「地政学的競争下の产业政策と通商秩序」 (東京大学未来ビジョン研究センター 安全保障研究ユニット 2024年9月24日)
経済?技术安全保障ウェビナー?シリーズ 第16回「中国台頭と通商秩序の行方」 (公益財団法人 日本国際問題研究所 2023年8月8日)