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东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

緑の表紙

书籍名

田中耕太郎 闘う司法の确立者、世界法の探究者

着者名

判型など

320ページ、新书判

言语

日本语

発行年月日

2022年11月21日

ISBN コード

978-4-12-102726-9

出版社

中央公论新社

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田中耕太郎 (1890~1974) は、東京帝国大法学部教授として『世界法の理論』で知られる商法学者?法哲学者である。また、戦後の文部省学校教育局長?文部大臣?参議院文教委員長として教育基本法制定を含む教育改革に取り組み、10年という現在から見ても最長の任期となった最高裁判所長官として日本国憲法のもとでの司法権を確立させた。戦後初の日本人として国際司法裁判所裁判官ともなっている。
 
立法、行政、司法の中枢を担ったという点で、田中は法律専门家だけではなく政治的主体として戦后政治の一角を担った。しかも田中自身は、大学?教育?司法には、制度の独立について「理论的な统一」があると述べている。ところが田中はここでいう「理论」が何かを明确には述べていない。よって本书はその人生航路をたどることで、诸々の制度における独立の「理论」を解明しようとした。それぞれの制度の场で田中がどう振る舞ったかを明らかにすることで、「いかにして制度の独立は可能となるか」という问いに答えようとしたのである。
 
振り返れば、田中については、戦前のカトリック思想への沉潜、法哲学研究、大学史、戦后の教育改革研究、最高裁判所研究なかんずく砂川事件?松川事件などの研究といった局面ごとに理解されてきた。しかし、これらを通じて、田中が何を目指していたのかについては、全く注目されていなかった。
 
田中の评伝を执笔することで浮かび上がるのは、田中が外部に対して受动的に振る舞いつつ、ある瞬间には敢然と闘うことで制度の独立を守ろうとしたことである。戦中期の军部、戦后の占领军、占领终结后の保守政権など、政治は絶えず、独立机関の内部に介入しようとする。権力に対抗する政治运动の侧も、これら独立机関に対して、政府と同调しないよう圧力をかける。
 
しかも、これまで指摘されてこなかったのは、田中は日本国宪法の制定により、戦中期に见られた家族制と结びついた天皇制の拥护や教育勅语の自然法的性格といった议论から决别した。日本国宪法の下、最高裁判所长官としての田中は反共主义が际立っていたが、戦前の制度に復帰させようとする復古主义の动きも厳しく批判した。また『世界法の理论』の视野から、元号の廃止についても参议院议员として検讨に着手していた。反动的であるどころか、日本国宪法の下での政治制度の着実な运用を目指していたのである。
 
そこでこそ求められるものが、政治権力からも社会権力からも独立した制度を确立させることであった。だがそれは政治からも社会からも非难と批判を浴びることでもある。田中が现在に至るまで毁誉褒贬の涡中にあるのは、そのためである。
 
批判を受け続ける田中を内面から支えたのは、世界法にこめられたグローバリズムと平和の希求双方への强い信念であった。七十歳の田中は、第二次世界大戦の败戦国出身でありながら、国际司法裁判所の裁判官に选任される。九年裁判官を务める中、アパルトヘイトが争点となった南西アフリカ事件では、非西洋诸国出身の裁判官の中でも出色の反対意见を提出する。この事件で国际司法裁判所は孤立し、裁判所侧は内部规则を改定するとともに、国连総会に出席することで、国连システムの中で存在感を上げようとした。田中は、最高裁判所长官时代と同様、独立の揺らいだ制度を再び确立するよう务めたのである。
 
田中については、これまで误解も多く理解も断片的であった。本书を通じて、田中という人物の思想と行动を政治史?法学史?社会史の中に位置づけ直し、诸分野での研究が深まることを期待したい。
 

(紹介文執筆者: 先端科学技术研究センター 教授 牧原 出 / 2023)

本の目次

はじめに
第1章 鹿児岛生まれの「コスモポリタン」
第2章 法学とカトリックへの目覚め
第3章 技术?自然法?世界法――三つの視角を絡ませて
第4章 嵐の中の东京帝大――一九叁〇年代~败戦
第5章 占领下の文相就任――教育権と宪法の「番人」
第6章 最高裁长官の十年――判例と司法行政の确立
第7章 世界法へ――国际司法裁判所での九年
おわりに

関连情报

受赏:
第24回読売?吉野作造賞受賞 (読売新聞社?中央公论新社 2023年)

制度の独立を守って 牧原 出〈第24回読売?吉野作造賞〉受賞のことば (中央公論.JP 2023年7月4日)


着者インタビュー:
牧原出氏に闻く 评伝『田中耕太郎』「制度の独立」确立に功绩 (読売新闻オンライン 2023年8月10日)

 
グローバル化で起きた「徳」の失坠 民主主义を锻え直せ 牧原出さん (朝日新闻デジタル 2023年6月28日)

 
书评:
篠田英朗 評「『田中耕太郎』と憲法学者の陰謀」 (アゴラ 2023年6月13日)

 
井上寿一 評「ぜい弱だった司法権の独立を守り、民主化を勧めた田中耕太郎」 (『週刊エコノミスト』 2023年2月28日号)


時代をひらく新刊ガイド by 稲泉 連 (『Wedge』2023年3月号 2023年2月20日)


岩瀬達哉 評「日本の三権分立は機能しているか 司法の独立を目指す制度を巡る群像の歴史」 (『週刊ポスト』 2023年1月27日号)

 
苅部直 評 (読売新聞オンライン 2023年2月10日)

 
中島岳志 評「改革探求の自由主義者」 (沖縄タイムス 2023年1月14日)
 
三牧聖子 評 (朝日新聞 2023年1月7日)


松本佐保 (日本大学国際関係学部教授) 評「世界を揺さぶるキリスト教の本質を考える 2022年 私の読書」 (新潮社Foresight 2022年12月29日)


讲演:
吉野作造記念館 講演会 (第24回 読売?吉野作造賞受賞記念)
牧原出「田中耕太郎と近代日本における制度の独立をめぐる闘い」 (吉野作造记念馆 2023年11月26日)


 

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