东京美术ピルグリム丛书 鸟獣戯画研究の最前线
本書は、2021年4月13日から6月20日まで東京国立博物館で開催された特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」に際して二日間 (4月23?24日) にわたって行われたシンポジウムでの口頭発表と討議の全てを収録したものです。
新型コロナウィルスの流行は、展覧会の開催にも容赦なく影響し、緊急事態宣言をうけてシンポジウムの翌日から東京国立博物館全体が休館、当初5月30日までの会期であった展覧会は、その日まで閉鎖されました。しかしながら、関係者の多大な尽力により、展覧会を6月20日まで延長し、6月1日から再開されました。多くの展覧会が開催を見送った中、このような努力が尽くされたのは、国宝「鳥獣戯画」(高山寺) が、日本美術の中で最もよく知られ、最も人気のある作品であることが大きく預かっています。そのことは、コロナウィルス流行の中の短い会期でもミュージアムショップは、連日大行列となり、図録も完売、増刷となったことが端的に象徴しています。
では、「鸟獣戯画」は、なぜそんなに人気があるのでしょうか?
ひとつには、「鳥獣戯画」のうち甲巻と呼ばれる一巻に描かれたウサギやカエル、サルのイメージが高校までの教科書に必ず登場することがあるでしょう。さらにこれらのキャラクターは、和風のイメージを象徴するものとして、手拭い、陶磁器やスマホケース、お茶のパッケージなどにも登場し、馴染み深いということがあります。世の中にあふれている「鳥獣戯画」のイメージから一度本物を見てみたい、と感じるのは、多くの方に共通した思いでしょう。しかし、これだけイメージの定着している「鳥獣戯画」は、日本美術の中でも最も謎の多い作品でもあります。例えば、甲巻のウサギやカエルたちは、何をあらわしているのか? つまり、この絵巻の主題は何か? についていまだにわかっていません。また、全部で四巻 (甲巻、乙巻、丙巻、丁巻と呼ばれます) ある「鳥獣戯画」のそれぞれが、いつ、誰によって描かれ、誰が注文し、どこで保存され、いつ四巻のまとまりができたのかについてもわかっていません。「鳥獣戯画」の本格的な研究は、20世紀に入って始まりますが、この百年の間、謎は深まるばかりでした。しかし、2009年から4年をかけて、江戸時代以来の本格的な解体修理が行われたことが謎に迫る新たな情報を提供してくれました。
この书籍は、修理によって得られた知见もわかりやすく绍介しながら、国语学、美术史学の気鋭の研究者が一堂に会して行われた口头発表と讨议の热気をそのまま伝えてくれます。その结果、「鸟獣戯画」について何がわかったのか、さらに何がいまだにわからないのか、が示されています。特に「何がわからないのか」が、この场に参加した研究者から、この书籍の読者の皆さんへと共通认识となって広がって行くことは、「鸟獣戯画」の谜とともに作品自体を未来へと継承する大切なきっかけになるはずです。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 准教授 増記 隆介 / 2023)
本の目次
鸟獣戯画とは何か
第一章 平成の修理の意义
鳥獣戯画平成の修理を終えて|朝賀 浩
鸟獣戯画研究の展望|土屋贵裕
第二章 鸟獣戯画成立の文化史的背景
鸟獣戯画?莲华王院宝蔵?正仓院|増记隆介
平安后期における宋画受容
――「鸟獣戯画」乙巻を対象として|猪熊兼树
动物たちはどこから来たのか?
――鸟獣戯画と动物主题との関わり|叁戸信惠
鸟獣戯画作者?鸟羽僧正覚猷説の可能性に関して
――寺院を中心とした歴史的环境の観点から|大原嘉豊
第叁章 鸟獣戯画の様式 「型」と「线」
宫廷絵师説の可能性を考える|五月女晴恵
白描画としての鸟獣戯画
――线描の妙技|古川摄一
平安絵巻としての鸟獣戯画
――场面展开の妙味|井并林太郎
第四章 高山寺という「场」と鸟獣戯画の评価
明恵?高山寺?鸟獣戯画
――附、箱と目録|大槻 信
明恵上人坐像と慶派仏師|皿井 舞
欧米がみた鸟獣戯画
――近代における海外出品を巡って|鬼头智美&苍产蝉辫;
連続講座 鸟獣戯画研究の最前线パネルディスカッション
「彻底讨论!鸟獣戯画研究を极める」
あとがき|土屋贵裕
掲载作品一覧
执笔者绍介
関连情报
連続講座「鸟獣戯画研究の最前线」 (東京国立博物館 2021年4月23日~24日)
関连讲义:
「国宝「鳥獣戯画」(高山寺) の謎」講師: 増记隆介 (佐倉国際交流基金 2023年6月17日)
「国宝「鳥獣戯画」とは何か?」講師: 増记隆介 (早稲田大学エクステンションセンター 2022年6月3日、10日、17日)
书评:
佐古麻美 評「土屋貴裕「鸟獣戯画研究の最前线」12人の講師による東京国立博物館の熱い連続講座をまとめた読み応えのある一冊」 (『intoxicate』 2022年7月4日)