21世纪の「中华」 习近平中国と东アジア
胡锦涛政権から习近平政権への移行期から、习近平政権の前半に当たる2012年~2016年における、着者の既発表の论説を时系列に沿ってまとめたもの。胡锦涛政権末期の论説が採録された『中国のフロンティア – 揺れ動く境界から考える』(岩波書店、2017年) との姉妹編とも言える書籍で、併せて読むと胡錦濤政権後半から習近平政権前半期にかけての、同時代的な皮膚感覚が追体験できるだろう。書籍化に際して文章を修正せず、著者が分析を誤ったと感じる部分について、なぜ誤ったのかという点を解説している点が本書の特色でもあろう。
本书は学説书ではなく、主に一般向けに书かれた短文の集まりなので、学术的な意义は必ずしもない。だが、社会的な意味合いがあるとすれば以下のようなものだろう。第一に、习近平政権の成立前后からの状况について、それを同时代的に分析した侧がいかにその时々で习近平政権を认识し、どのようにその认识が変化していったのかということを、一定程度把握できることだ。一般に、事象や人物の评価が歴史的に固まってしまうと、その评価に即してその事象や人物を见てしまうが、同时代的にはそうではないということが多々ある。一研究者の视点に过ぎない分析だが、それでもその同时代の中国への视线をある程度反映している。第二に、上の论点とも関连して、その时々で论点、问题点として何が分析対象となっていたのかということである。そこには领土问题や歴史认识问题も含まれる。こういった问题は、长く议论の俎上にのせられているようでありながら、実はその焦点が変化したりしている。また、后から振り返れば问题にもならないことが、同时代的には问题になっているということが多々ある。その问题の连なりを理解することが过去への接近の基础になる。
习近平については、2017年の19回党大会で「中华民族の伟大なる復兴」のために、2049年にはアメリカに追いつくという目标を设定した。そして、その前后にアメリカとの対立姿势を明确にし、アメリカもまたオバマ政権末期に中国の対决姿势を明确にして、いわゆる米中対立が顕在化した。だが、习近平政権が発足した2012年当时からそうしたことが予测されていたわけではないし、それどころか强力なリーダーシップを発挥するのかどうかも未知数だった。本书を読む中で、その习近平政権の轮郭が次第に见えはじめ、もともと有していた期待や予测が多くの场合「ハズレ」ていくプロセスを共有し、そこから当时の対中认识、対习近平认识の息吹を読者と少しでも共有できればと考えている。
(紹介文執筆者: 日本?アジアに関する教育研究ネットワーク (ASNET) 教授 川島 真 / 2021)
本の目次
“チャイナ?リスク”の見積もり
安倍政権に求められる歴史的評価への想像力
「歴史的」日台漁業協定締結―その意義と課題 ほか
2 展开―2015~2016
外交懸案、長期の視野で
歴史イヤーを迎えて―連続する記念行事への展望
AIIB狂奏曲 ほか)
3 长期的论点
対日新思考から一〇年―変化と継承
戦後日中「和解」への道程とその課題―安倍談話の観点をふまえて
中国の海洋戦略と日米同盟
関连情报
福田円 (法政大学教授) 評 (日本経済新聞朝刊 2017年5月27日)
奈良岡聰智 (京都大学教授) 評 (読売新聞朝刊 2017年2月12日)
(短評) 21世纪の「中华」 川島真著 (日本経済新聞 2017年1月8日)
讲义:
2016年度 立命館西園寺塾 12月3日講義「21世紀の中華:習近平政権と東アジア」 (立命館西園寺塾 2016年12月3日)