平凡社新書 923 信长家臣明智光秀
2020年の狈贬碍大河ドラマ「麒麟がくる」は、明智光秀が主人公でした。どの大河ドラマ作品もそうですが、主人公をめぐる関连书籍がいつもおびただしく出版されます。本书もそのうちの一册ではありますが、かなうならば大量の関连书籍に埋もれないようにしたいと思って执笔をしていました。
わたしは史料编纂所において、『』という編年史料集の編纂を職務としています。なかでも担当する時代は、大雑把に言えば、織田信長が政治の実権を握っていた時期にあたります (という編目です)。現在は天正三年 (1575) の史料集編纂を進めており、ちょうど5月21日に起きた長篠の戦いに関わる史料集刊行を間近にしています。明智光秀は長篠の戦いに参陣しなかったものの、この直後信長家臣としての彼の主要な任務となった丹波攻めを命ぜられるような時期にあたります。
新书ではありますが、本书では、できるだけこうしたわたし自身の仕事を进めるなかで身につけた手法、つまり良质な史料を正确に読み解いて、そこからわかることを积み上げてゆくというやり方に忠実に、明智光秀の生涯を追いかけようとしました。
もっとも、よく知られているように、光秀が信长に仕える以前の前半生は史料が少なく、谜に包まれています。そこを明らかにすることもひとつの重要な目的になりますが、本书ではあえて前半生には触れず、史料が多くなる、信长に仕えるようになってからの光秀の活动を详细にみてゆくことにしました。书名に「信长家臣」とあるのはそういう意味です。
各章の构成はだいたい时间を追って述べています。ただしあいだに二章分、时间経过とは切り离して、光秀の人间性がわかるような切り口で史料を読んだ章を挟みました。第叁章では、光秀と仲のよかった公家吉田兼见の日记を轴に、兼见との交友から见える光秀の姿を、第四章では、光秀が出した书状のうちいくつかを読んで、そこからうかがうことのできる光秀の人物像を描き出そうとしました。光秀の书状からは、相手の病気やいくさでの怪我を気づかうものが特徴的で、そこからは、光秀が死?负伤?病気などに人一倍敏感であったのではないかと推测しました。
この折り返し点の二章を挟んだ后半の第五章?第六章では、光秀の丹波攻めと、いわゆる「本能寺の変」を取りあげています。光秀の丹波攻めについても、関係する史料を読みこんで、なぜ光秀が丹波攻めを任されたのか、その理由を手始めに、丹波攻略の段阶を丁寧に跡づけました。本能寺の変についての结论はここでは书きませんが、これまで俗説とされていた记録についても、もう一度真面目に向き合い直しました。
史料编纂所にて史料研究に携わっている者が光秀について書くとこういう本になる、という内容になったのではないかと思っております。
(紹介文執筆者: 史料编纂所 准教授 金子 拓 / 2021)
本の目次
第一章 织田信长と足利义昭のはざまで
第二章 「天下」を维持する
第叁章 明智光秀と吉田兼见
第四章 明智光秀の书状を読む
第五章 明智光秀と丹波
第六章 织田信长杀害事件
おわりに
関连情报
明智光秀の実像を描く 金子拓『信长家臣明智光秀』 (じんぶん堂 / 好書好日 2020年1月10日)
书评:
明智光秀と織田信長に見る、ワンマン上司が越えてはいけない一線 ~『信长家臣明智光秀(金子 拓 著)』を読む (DIAMOND Online 2020年1月18日)
本郷和人 評「謎めいた人物の生涯に高度な実証史学で肉薄」 (ALL REVIEWS 2020年1月5日)