东大教授が教えるヤバいマーケティング
たとえばマクドナルドでビッグマックのバリューセットを買ったときのことを思い出してください (買ったことがない人は、想像してみてください)。
そのときビッグマックのバリューセットを選んだのは、たんに食べたかったからでしょうか? 食べたくないものを買うわけはないので、もちろんそのとおりでしょう。でも、よくよく考えてみれば、別にバリューセットではなくても、よかったかもしれませんよ。「本当はポテトはいらないんだけど……」と思っている人もいらっしゃるはずです。にもかかわらず、なぜバリューセットを買ったのか――。
そうした消费行动が、どのような原理に基づいてなされているのかを解説したのが本书です。消费行动の原理などと书くと、専门的で难しいと思うかもしれません。そんなことを知ってどうなるのか、と思う人もいるでしょう。でも、ぜひ知っておいていただきたいのです。なぜなら、店侧は消费者がどのような行动原理で商品を购入しているのか、すべて知っているからです。知ったうえで、さらにどのような売り方をすれば购入してくるのかの研究を日夜行っているのがマーケターたちなのです。
マーケターは消费行动の原理に基づき、魅惑的なマーケティング活动を展开することで、消费者を诱惑します。その结果、消费者はときとして无駄な买い物をしてしまうケースも少なくありません。情报の非対称性という言叶がありますが、売り手と买い手が持っている情报の违いにより、买い手が损をするということはしばしば见られます。
だからこそ、自分たちがどのような行动原理に基づいて消费活动を行っているのか、それを消费者自身が知ることで、マーケターの巧みな诱导に乗ることなく、不本意な消费を避けることができるようになるのです。
日々マーケティングに接触している消费者として、自分が非合理的な判断を下す可能性があること、そして、どうすればより合理的に购买意思决定ができるかを知ることは重要です。
そのヒントを与えてくれるのが、行动経済学であり、认知心理学?社会心理学です。「行动経済学」という言叶は、最近ニュースでもよく耳にするようになりました。同分野から何名かの研究者にノーベル経済学赏が授与された影响もあります。とはいえ、行动経済学はまだ世间一般にはなじみがない学问かもしれません。
世界でもっとも有名なマーケティング学者であろうフィリップ?コトラーは、日本経済新闻2013年12月31日の朝刊に掲载された「私の履歴书」で、以下のように语っています。
「実は行动経済学は『マーケティング』の别称にすぎない。过去100年にわたりマーケティングは経済学とその実践に基づく新たな知识を生み出し、経済システムが机能する仕组みに関することに役立ててきた」
つまり、読者のみなさんは、一般消费者として日々「行动経済学」に接しているのです。この本を通じて、読者のみなさんが行动経済学を、そして认知心理学や社会心理学を学ぶキッカケとなれば、この分野に関わっている研究者として、これほどうれしいことはありません。
(紹介文執筆者: 経済学研究科?経済学部 教授 阿部 誠 / 2019)
本の目次
人は非合理的に行動する生き物 ― かしこいマーケターはそこに目を付ける
?マクドナルドのメニューはなぜ见づらい?
?楽をするからつけこまれる ― ヒューリスティックとバイアス
?都合よく解釈して「分かったつもり」 ― 確証バイアス
CHAPTER 2
その商品、本当に必要? ― プロダクト
?知覚を惑わすおとり商品 ― フレーミング効果
?イケアが人気の理由 ― イケア効果
?「訳あり」商品に隠された本当の狙い ― 両面提示広告の罠
?成功する企画、失敗する企画 ― カテゴリー一貫性
ほか
CHAPTER 3
値付けに込められた意図 ― プライス
?普通に买うより安いセット商品は本当にお得?
?「返金保証」で実際に返金を求める? ― ネガティブ?オプション?プライシング
?お店のダメージを最小限に抑える値上げの仕方 ― 価値関数
?頭の中には複数の銀行口座が存在する ― 心理的勘定
ほか
CHAPTER 4
広告を見る目が変わる ― プロモーション
?なぜ同じ広告を何度も流すのか? ― 単純接触効果
?恐怖をあおる広告の裏事情 ― ネガティビティー?バイアス
?限定商品に惹かれるメカニズム
?おとり広告の罠 ― ローボーリング、ベイト&スイッチ
ほか
CHAPTER 5
そこで買ってもいいのか? ― プレイス
?価格競争を避けるための差別化 ― ブランデッド?バリアント (流通経路専用モデル)
?嫌われる営業マンの作法 ― 心理的リアクタンス
?ステルス?マーケティングに要注意! ― ハーディング現象
?ソーシャルゲームにはまる人が続出するこれだけの理由
ほか
CHAPTER 6
消費者に見られる心理 ― コンシューマー
?気分がいいときや空腹时は买い物ダメ!
?まとめサイトには要注意
?サブウェイがいま一つブレークしない理由
?タイムプレッシャーが先送りを减らす
ほか
CHAPTER 7
売り手側の事情 ― コンペティター
?「最低価格保証」は本当にお得で安心?
?あなたは現金値引き派? それともポイント付与派?
?新规事业に参入すべきか、否かの分かれ目
ほか
CHAPTER 8
企業が知っておくべきこと ― カンパニー
?ペプシとコカ?コーラ、どちらがうまい?
?グループインタビューの落し穴 ― 集団における覚知の限界
?大体、失敗に終わる企業合併と買収 ― M&Aにおける「勝者の呪い」
?「成功の法則」は妄想 ― ビジネス書にだまされるな!
ほか
関连情报
阿部 誠 「「自分へのご褒美」のメカニズム 残業帰りはコンビニに近づくべきではないワケ」
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阿部 誠 「「オマール海老のカルパッチョ」の謎: なぜ高級フレンチのメニュー名は異様に長いか」
(PRESIDENT Online 2019年9月10日)
阿部 誠 「販促効果は”値引き”の3.6倍もある: なぜか満足度が高まる”ポイント還元”の罠」
(PRESIDENT Online 2019年7月10日)
阿部 誠 「人間心理を手玉にとるCMの作り方: 5つ星より1つ星のレビューが気になる訳」
(PRESIDENT Online 2019年6月29日)
阿部 誠 「原因は「スキーマ」の極端な不一致: 緑の珈琲がアリで無色コーラがダメな理由」
(PRESIDENT Online 2019年6月24日)
阿部 誠 「一度手を出すと二度とやめられない: ソシャゲの課金沼がどんどん深くなるワケ」
(PRESIDENT Online 2019年6月11日)
阿部 誠 「何気ない選択に潜む”バイアス”の罠: なぜマックではポテトを頼んでしまうのか」
(PRESIDENT Online 2019年6月3日)
阿部 誠 「東大教授が教える”ヤバい”マーケ術: なぜか高いと感じない”値上げ”のカラクリ」
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书评:
土居丈朗 評 (『週刊エコノミスト』p.52 2019年8月6日号)
阿部 誠 プロフィール:
東京大学大学院経済学研究科?経済学部教授。1991年マサチューセッツ工科大学博士号 (Ph.D.) 取得後、同年からイリノイ大学助教授に就任。1998年東京大学大学院経済学研究科助教授を経て、2004年から現職。ノーベル経済学賞受賞者との共著も含めて、マーケティング学術雑誌に英文、和文の論文を多数掲載。2003年にJournal of Marketing Educationからアジア太平洋地域の大学のマーケティング研究者第1位に選ばれる。おもな著書に『大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)、共著書に『[新版]マーケティング?サイエンス入門――市場対応の科学的マネジメント』(有斐閣)がある。