论理パラドクス?心のワナ编 人はどう考えるかを考える77问
答えるより问うことの方が大切だ、と言われることがあります。それなりの教训ではあるものの、怠惰の奨めになりかねない気もします。たいていの场合、问いを思いつくより答えを见つける方がずっと难しいですし、正解しようと努力してこそ、有意义な问いが新たに生み出されてくるでしょう。
ただし、「正解を出す」といっても、ストレートな正解だけでなく「一般に正解と思われている答え」も推测せねばならないことがあります。多数派にとって何が正解なのか。忖度や顺応のためばかりでなく、同调圧力にうまく抵抗するためにも、多数派の思考倾向を理解しておくことは大切です。
本書には、「大多数の人が特定の誤りに導かれる問題」を集めました。確率判断で起こりやすい錯覚(第7章)、従っているつもりで破られがちな規則 (問09)、道徳判断における男女の違い (問53) ……数学教育や心理学の実験によって確かめられてきた「大多数の人の思考傾向」を、読者に当ててもらおう、というわけです。読者自身が信じる正解とは別に。
思考倾向は时代や文化の影响を受けるだろうから、「多数者の考え」なるものは特定できないのでは。そんな気もしますね。本书に収めた问题の多くは、进化心理学の成果に基づいており、生存戦略によって选択された本能的直観(脳の仕组み)に根差しているため、生物としてのヒトの普遍的なクセを反映していると思います。
しかし中には、都市伝説の疑い濃厚な問題もありました。期待値に反した不合理な選択がなされやすいという「アレのパラドクス」(問45) は、私が幾度か教室で出題してみたところ、大多数の回答者が期待値どおりの選択をすることが確かめられました。「多くの人が間違いやすい」という指摘は印象が強いので、一度発表されてしまうと、誇張されて伝わる傾向があるのかもしれません。
<多数者にとっての正解を推測せよ方式> が表面化していない問題も混ぜてありますが、どれもが「認識の盲点」に関わる問いになっています。知られざる奇問もいくつか採用しました。きわめつけは、ジェイムズ?ジョイス『ユリシーズ』の新解釈で知られる柳瀬尚紀が遺した「ゼロ手詰め将棋」(問76)。どう見ても王手がかかっていない局面図について、「このままで詰んでいる。なぜか」という手品まがいのパズルです。驚愕の正解を紹介した後で、「これを正解と認めるのに必要な、将棋のルールに含まれない暗黙の条件は何か?」というオリジナル問題を私なりに付け加えてみました。将棋ファンだった柳瀬の、棋士への道徳的敬意が隠されていることがわかるでしょう。
敬意のような高次の感情、盲点や直観のような低次の生理反応&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;ヒトの心のさまざまな力学が络み合い、形式论理を外れたり超えたりするありさまを、一问一问味わっていただければと思います。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 三浦 俊彦 / 2019)
本の目次
001 モラル?タイプキャスティング
002 トランスジェンダー?トラブル
003 凉宫ハルヒはジョン?ケージを奏でる
第2章 <みんな> はどう答えるか? ヒューリスティクス3部作
004 代表性ヒューリスティクス
005 利用可能性ヒューリスティクス
006 係留ヒューリスティクス
第3章 <みんな> にどう問おうか? フレーミング3部作
007 フレーミング効果
008 心の会计簿
009 同型问题
第4章 常识痴厂论理の巻 罪、星巡り、地轴。どこでどうズレたのだろう?
010 恐喝のパラドクス
011 杀人の条件
012 报復のパラドクス
013 日蚀のパラドクス
014 日蚀のパズル
015 日蚀のジレンマ
016 南向きの谜
第5章 知らぬが仏の巻 予期と投机とゲームの理论
017 坠落ネコの死亡率
018 プラシーボ効果
019 プラグマティズムのパラドクス
020 ナッシュ均衡
021 美人投票のパラドクス
022 アイスクリーム売りのパラドクス
023 囚人のジレンマ: N回バージョン
024 アクセルロッドの実験
025 知らぬは亭主ばかりなり
026 盗撮: ヤラセの見破りかた
027 ランダム?ウォーク
028 カサンドラのジレンマ
第6章 下手な鉄砲も数撃ちゃ进化论の巻 进化心理学6题
029 人はなぜ犬をかわいがるのか?
030 ミズスマシはなぜ群れるのか?
031 利他主义のパラドクス
032 穷鼠猫を咬む?
033 自然主义の误谬
034 ガラスの天井
第7章 急がば确率の巻 偶然と必然と愕然と
035 ラプラスの悪魔
036 残りものには福がある?
037 クラスターの错误
038 エルスバーグの壼
039 コペルニクス原理
040 ビギナーズ?ラック?
041 ブラックのジョーク
042 ベル?カーブ
043 游女の平均寿命
044 ベルトランの箱のパラドクス
045 アレのパラドクス
第8章 天然情緒と人工知能の巻 心への3つの関門: 脳 / 文化 / 対話
046 叁つ子の魂百まで
047 叁単语クイズ
048 后知恵バイアス
049 パーキー効果
050 カプグラ症候群
051 フレゴリの错覚
052 コールバーグの6段阶
053 ハインツのジレンマ
第9章 合理性という思い込みの巻 正しい感覚か、感じられる正しさか
054 惊くべき出来事
055 デイヴィドソンのパラドクス
056 ビュリダンのロバ
057 2つの封筒のパラドクス
058 「特别な数」のパラドクス
059 ムーアのパラドクス
060 ソクラテスの无知のパラドクス
第10章 情緒、芸术、宗教、倫理 真も善も美も聖も快も愛も使いよう
061 反芸术のパラドクス
062 無為自然 / ニルヴァーナのパラドクス
063 懐疑論 / 独我論のパラドクス
064 デリダのパラドクス
065 石のパラドクス
066 悪のパラドクス
067 慈悲深い杀人のパラドクス
068 クローン人间
第11章 戦いと竞争の诸相 策しだい、だから力しだい?
069 予知能力バトル
070 韩非子の矛と盾
071 チェーン店のパラドクス
072 チキン!
073 マーフィーの法则
074 车线问题
075 ポーンの昇格
076 ゼロ手詰め将棋
077 グロ动画のパズル