DOJIN選書 76 100年后の世界 厂贵映画から考えるテクノロジーと社会の未来
テクノロジーの発展によって、われわれの生活は日々変化している。100年前にはフィクションでしかなかったものが、いまでは日常の一部となっている。これから100年のあいだに、テクノロジーはどのように进歩し、それによって、われわれの社会にはどのような変化が生じるだろうか。
テクノロジーの未来を正确に予测することは难しい。しかし、予测を试みることには、つぎのような意义がある。第1に、新しいテクノロジーは、われわれの社会にこれまでない大きな変化をもたらすかも知れない。第2に、社会に生じる変化のなかには、実际に変化が生じてから対応するのでは手遅れなものがあるかもしれない。第3に、未来のテクノロジーについて考えることによって、现在のテクノロジーや现在の社会のあり方、あるいはわれわれの価値観について、さまざまなことが明らかになる。
インターネットやスマートフォンなどの情报テクノロジーを例に考えてみよう。一方で、これらのテクノロジーは、手纸や电话といったこれまでの通信テクノロジーの延长にすぎないようにも见える。しかし他方で、新しい情报テクノロジーには、これまでの情报テクノロジーとは大きく异なる侧面もある。たとえば、ウェブページや厂狈厂を利用すれば、谁でも世界に向けて情报を発信することができる。これらのテクノロジーは、社会的弱者などがみずからの声を社会に届けるためには有用だが、その反面、信頼できない情报の氾滥を引き起こし、政治の変质をもたらすというような影响も持ちうる。また、厂狈厂は远方の友人などとのコミュニケーションにはとても便利だが、その反面、厂狈厂に多くの时间を费やせば、目の前の人间との対面コミュニケーションの时间が失われることになる。
これらの点を考虑すれば、新たな情报テクノロジーがわれわれの生活を単纯によりよいものにしてくれるかどうかは、けっして明らかなことではない。人工知能やロボット、生命にかんするテクノロジー、人间の能力を高めるテクノロジーなど、新たなテクノロジーの多くにかんしても、事情は同じだろう。
テクノロジーの进歩は幸福をもたらすかという问いは、これからの社会のあり方を考えるうえできわめて重要な问いである。そして、この问いに答えるためには、幸福とは何か、われわれにとって大切なものは何かという、より根本的で哲学的な问いに取り组むことが不可欠なのである。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 准教授 鈴木 貴之 / 2018)
本の目次
2 よりよい子供をつくる
3 生命を創造する
4 薬で頭をよくする
5 身体を改造する
6 長く生きる
7 考える機械をつくる
8 働く機械をつくる
9 データを分析する
10 人の心を読む
11 薬で幸福になる
12 別の世界をつくる
13 テクノロジーをめぐる論争
関连情报
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