Monograph Series of the Socio-Economic History Society, Japan Economic History of Cities and Housing
社会経済史学会は、1930年に発足して今年で88年目を迎える伝统をもち、会员数约1,400名を夸る、経済史関连では日本で最大の学会である。社会経済史は、空间的には日本、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど全世界に及び、时代的には中世あるいはそれ以前から现代に至る长い期间をカバーし、方法的にも経済学と歴史学という二大母胎を基本としつつ、経営学、社会学、地理学、教育学などの隣接分野も必要に応じて利用する学际性の强い学问分野であり、テーマも极めて多様かつ多彩である。
本書は、同学会の機関誌である『社会経済史学』に比較的最近掲載された論文?書評のなかから、特定のテーマに沿ったものを選んで一書にまとめて、シュプリンガー社から英文で刊行されている英文モノグラフ?シリーズ(Monograph Series of Socio-Economic History Society, Japan)の第4巻である。この叢書は6巻からなり、エネルギーと環境、日本帝国主義下の経済活動、高度成長期の日本経済、近代グローバル貿易とアジア地域経済、日本における家族とジェンダーといったテーマからなるが、筆者が編者を担当した本書では、都市と住宅の経済史に関わるものが収録されている。都市史?住宅史もまた学際的な分野であり、上記の分野以外にも、法学、行政学、建築学、都市工学などと交錯する社会経済史の一分野である。都市史は、以前は中世都市?近世都市への関心が強かったが、最近では18世紀以降の時期、とくに20世紀の現代都市への関心が高まっている。というのは、19世紀以降の工業化と都市化の進展に伴う人口の増加と都市規模の拡大は、衛生問題、住宅問題、失業問題などの様々な都市問題を引き起こしたが、それに対応するために都市行政が名望家によるものから専門官僚によるものへと変質して、都市インフラの整備を進めるとともに、住宅政策や社会政策といった様々な政策を実施したことにより、現代都市行財政の原型ができあがったからである。また、ロンドン、パリ、ベルリン、東京といったメトロポリスは政治都市、サービス業都市、文化都市でもあったが、工業都市としての性格も兼ね備えていた。
本书には、第二次大戦期前后の尼崎における市街地形成と地主?小作农関係、1940年代后半の东京における住宅復兴、第一次大戦前の大ベルリン连合における都市失业保険、第二次大戦期から戦后にかけてのパリ机械工业を扱った4编の论文、および都市史?住宅史の着作に対する书评4编が収められており、日本における现代都市についての社会経済史的研究の水準と広がりを示している。
(紹介文執筆者: 経済学研究科?経済学部 教授 馬場 哲 / 2018)
本の目次
Part I Economic and Social History of Cities and Housing in Japan and Europe
1. Landowners and tenant farmers in the process of urban formation: a case study of Amagasaki city, Hyogo prefecture, 1937-1952
Akinobu Numajiri
2. Housing Reconstruction in War-Damaged Cities - The Creation and Distribution of Living Spaces in the Late 1940s under Postwar Governmental Controls
Hiroshi Ono
3. Communal Unemployment Insurance in Wilhelminian Germany: A Case Study of the Greater Berlin Administration Union
Takahito Mori
4. The Short-Lived Revival of the Mechanical Engineering Industry in the Paris Region 1939–1958
Toshikatsu Nakajima
Part II Book Reviews
5. Review of Takashima Shūichi, Toshi Kinkō no Kōchi Seiri to Chiiki Shakai (Urban Development and Local Communities in Interwar Tokyo)
Numajiri Akinobu
6. Review of Nakano,Tadashi, Karasawa, Tatsuyuki and Michishige, Ichirō (eds),
18 Seiki no Igirisu Toshikūkan o Saguru: Toshi “Runesansu”ron Saikō (Exploring Urban Space in Eighteenth-Century England: A Reappraisal of the Urban Renaissance Debate)
Minoru Yasumoto
7. Review of Yoshiyuki Morishita, Kindai Cheko Jūtaku Shakaishi (Czech housing policy and social history in the first half of the 20th century -- Building the first Czechoslovak Republic)
Nodoka Nagayama
8. Review of Nodoka Nagayama, Doitsu Jyūtaku Mondai no Shakai Keizaishi teki Kenkyū (Study on the Socio-economic History of Housing Problems in Germany)
Satoshi Baba
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