世界経済危机とその后の世界
2016年に入って世界同时株安が进行し、世界経済の不安定性は再び高まりつつある。この世界同时株安は、先进诸国の异次元缓和政策が新たなるグローバル流动性の拡大をもたらし、その结果生み出されたバブルが崩壊したことを意味する。世界経済危机対策が次なるバブルを生み出し、新しい形の世界経済危机が醸成されている。
2007~8年世界経済危机の背景となった资本主义の在り方が现在も基本的には変わっていないという问题意识の下、危机の背景、危机の発生メカニズム、危机后の世界について様々な角度から解明するという共同研究の企画が立てられた。その研究成果が本书である。
序章では、世界経済?金融危机の背景には「株主资本主义の台头」があることを论じている。「高株価経営」は「雇用不安」の长期化を生み出し、「金融缓和政策の长期化」を导く。この「金融缓和」が「规制缓和」と结びつくと金融バブルが醸成される。こうした倾向は危机后の世界にも存在している。
第1章では、「住宅金融の証券化」の仕组みを「信用创造」という観点から论じている。「住宅抵当债権の証券化」は、支払準备金や自己资本を充分に积まないまま信用创造が行なわれる仕组みであった。だが、金融危机が発生すると银行は準备金不足、自己资本不足に直面し、「最后の贷し手」の信用创造と公的资本注入に依存することになる。
第2章では、経済?金融危机の背景にある「高株価経営」について论じている。取缔役会が経営阵を厳しくチェックするガバナンス构造はうまく机能せず、エージェンシー理论が推奨したストックオプション制度の採用は経営者たちに高株価経営のインセンティブを与えた。そして、経営コンサルタントは経営者たちを短期的な利益を追求する公司行动に仕向けたのである。
第3章では、金融危机の背景をファンド资本主义化の视角から论じている。短期利益を追求するファンドマネージャーの行动様式が金融危机を生み出す要因であり、商业银行や投资银行もファンドマネージャー化したことが问题だったのである。
第4章では、世界金融危机后のドイツ银行业界が直面する诸问题を论じている。ドイツの银行のグローバルな事业展开を図った危険なビジネスモデルは破绽した。そして、付加価値の高い新规事业の创出と事业构造の革新に失败している。ドイツの银行は不动产バブルに便乗するなど再び危険なビジネスに走り、次の危机を発生させる恐れを否定できない。
第5章では、金融バブルとその崩壊をめぐるBIS viewとFed viewの対立を論じている。ボリオらのBIS viewは、実物資産には制約されずに預金設定によって行われる信用創造の意義を正しく強調した。預金設定あるいは資産価格上昇と結び付けられる古典的な信用創造の仕組みが、金融業務の細分化によって媒介関係が複雑化した現代の金融経済においてどのように貫徹しているのか、について具体的に検討している。
(紹介文執筆者: 経済学研究科?経済学部 教授 柴田 德太郎 / 2016)
本の目次
第1章 住宅金融の証券化と信用创造 柴田德太郞、岩田佳久
第2章 コーポレートガバナンスの変质と高株価経営 中川淳平
第3章 アメリカのファンド资本主义化と金融危机 横川太郎
第4章 金融危机后におけるドイツの银行业界の诸问题 石塚史树
第5章 グローバル「金融化」の時代の金融バブルをめぐるBIS viewとFed view 岩田佳久
终章 総括と展望 柴田德太郞