法学教室ライブラリィ 刑法総论の考え方?楽しみ方
本书は、雑誌『法学教室』における连载に、その后の判例?学説の动きを加笔し、さらに、新たなテーマを几つか追加したものです。本书の目标は、読者の方に、刑法総论の基本的な考え方を理解していただき、自分で考えることの面白さをわかっていただくことです。刑法総论は、多くの学説が対立しており、初学者には理解が难しい点が多いので、判例?学説がどのような意味をもっており、なぜそのように考えられているのか、そしてどのように考えるべきなのかを、なるべくわかりやすく説明することに努めました。その际には、着者自身が刑法総论を楽しんでいることが読者の方に伝わるように、読者の方に刑法総论の楽しさを味わっていただけるように心がけたつもりです。
各章は、意识的に様々な异なるスタイルで书いています。刑法総论については、すでにたくさんの优れた教科书や解説书が存在していますので、それらと异なったものにしたかったからです。
例えば、不作為犯の章では、自分の説について、なぜそのような説をとることになったのか、どのような批判があり、それについてどのように考えているのかを、自説の弱点やよくわからない点も含めて示すという、いわば私小説型の书き方をしています。自分の説をまるごと示して、読者に一绪に考えてもらいたかったからです。
故意論 (1) は、「未必の故意」の問題を扱っています。未必の故意は、学説の対立の激しいところであり、判例の理解についても議論があります。しかし、実際の適用においては、どの説でもあまり違いは出てこないのではないか、そのことがあまり意識されていないのではないか、と思ったので、実際に違いが出てくる場面は限られており、そこについてどのように考えるかが問題であることを示そうとしたのです。著者の説に賛成していただけるかどうかはともかくとして、未必の故意に関する議論がよりクリアになったのではないかと思っています。
故意論 (2) は、侵害を意図した客体とは異なる客体に結果が生じた場合に、生じた結果について故意犯の成立を認めることができるかという、「事実の錯誤」の問題を扱っています。筆者は、故意犯否定説が妥当だと考えているのですが、判例は肯定説で固まっていて、変わる見込みはなさそうです。そこで、この章では、判例が暗黙の前提としていると思われる条件を摘出してみることを試みました。そうすることで、判例の適用範囲を限定しようとしたのです。将来、実務家になった読者が、判例を適用する際に思い出してもらえると嬉しいです。
これに対して、共犯论の各章では、细かな部分は捨象して、共犯の因果性と限定性という2つの観点から主要な问题を解説するという书き方をしました。共犯论という刑法総论の中でもっとも难しく学生がつまずきやすい问题について、できるだけわかりやすく説明したかったからです。
本书を読んで読者に刑法総论の面白さを感じていただけると幸いです。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 教授 佐伯 仁志 / 2016)
本の目次
第2章 罪刑法定主义
第3章 构成要件论
第4章 因果関係 (1)
第5章 因果関係 (2)
第6章 不作為犯论
第7章 违法性の判断
第8章 正当防衛論 (1)
第9章 正当防衛論 (2)
第10章 正当防衛論 (3)
第11章 紧急避难论
第13章 被害者の同意とその周辺 (2)
第14章 故意論 (1)
第15章 故意論 (2)
第16章 故意論 (3)
第17章 过失犯论
第18章 责任论
第19章 未遂犯论
第20章 共犯論 (1)
第21章 共犯論 (2)
第22章 共犯論 (3)
関连情报
编集担当者から (『法学教室』狈辞.398 2013年11月)
自着解説:
佐伯仁志「『刑法総论の考え方?楽しみ方』を上梓して」 (有斐阁PR誌『書斎の窓』628号 2013年10月号)