法学入门 「児童虐待と法」から「こども法」へ
本书は2010年度に东京大学で开催された学术俯瞰讲义「」の一部として行われた私の講義「法と市民生活」をもとにしている。学術俯瞰講義は1年生?2年生を中心とする駒場キャンパスで行われ、かつ、文系?理系双方の学生すべてを対象として、「学術」を「俯瞰」しようというものなので、そこで行われた講義の内容は、高校を卒業したばかりの人々を読者として想定する「法学入门」に適していると考えて、本書を公刊することとした。
全体はPart1とPart2に分かれるが、Part 1「〈児童虐待と法〉から」では、「児童虐待」という社会問題を切り口に、「法」と「社会」の両方の側から「法という現象」を解説?分析し (第1章)、同時に、法学という学問について理解を深めるように努めた (第2章)。より具体的には、第1章では、「児童虐待」という具体的なテーマをとりあげて、この問題には、民法や刑法あるいは児童福祉法や児童虐待防止法といった複数の法律がかかわることを示した。続く第2章では、法学学習は憲法?民法?刑法などの個別の法領域におけるルールの内容やその基本的な考え方の学習?研究に尽きるものではなく (これを「実定法学」と呼ぶ)、法社会学や法制史のような、法現象の社会的事実?歴史的事実として学習?研究や、法哲学のような、思想としての法の学習?研究もあることを示した (これを「基礎法学」と呼ぶ)。
Part 2「〈こども法〉へ」では、いま現在、私たちが生きるこの国で行われている立法について考え(第3章)、児童虐待だけに限らず「こども」に関する法を全体としてとらえ (第4章)、「法の歴史」の中で「現在」を (第3章)、「法の体系」の中で「こども」を (第4章)、それぞれにつかみだそうと試みた。すなわち、第3章では、近代日本の立法の「歴史」をたどりつつ、それとの関連で「現在」の特色を描き出そうと試みた。第4章では、現代法の特徴である「複合法領域」の一例として「こども法」をとりあげた。
ともすれば、法学学習は、(1) 現に存在する (2) 法律のみを (3) 与えられたものとして (4) 理解する営みであると思われがちである。しかし、実際の法学学習は、(2)′法律とあわせて社会を、(1)′現行法とあわせて歴史や外国法との比較を、(3)′存在する法だけでなく生成する法を、(4)′理解だけでなく批判を、含むものであることを知れば、法や法学に対する見方も変わってくるだろう。
なお、法学は大学で初めて学ぶ学问であるが、高校における诸科目と无関係ではない。本书では「高校からの法学」と题するコラムを设けて、このことを示すエピソードも绍介している。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 教授 大村 敦志 / 2016)
本の目次
Part 1 「児童虐待と法」から
第1章 児童虐待への法的対応
第2章 児童虐待防止法の社会的背景
Part 2 「こども法」へ
第3章 いま、法と法学は
第4章 こども法の構想
補論 2011年の民法改正について
あとがき ― この本の先に
付録 児童虐待関連法令 (抄)
関连情报
2010年度開講 法と現代社会-見える法と見えざる法 (学術俯瞰講義) (OCW – 春雨直播app OpenCourseWare)
法と市民生活
第2回 いま、法と法学は | 大村敦志
第3回 児童虐待への法的対応 | 大村敦志
第4回 児童虐待防止の社会的背景 | 大村敦志
书评:
横田光平 評 (『自由と正義』64巻(7号) 102頁 2013年)