乳牛の乳房?乳头组织におけるウシ由来贬5狈1高病原性鸟インフルエンザウイルスの増殖性状を解明研究成果

- ヒト型レセプターは泌乳牛の乳腺胞、乳腺槽、乳头槽の各组织の上皮细胞表面に広く分布しているのに対して、鸟型レセプターは乳腺胞と乳头槽の上皮细胞表面に分布していた。
- 泌乳牛の乳房(乳腺)?乳头组织におけるウシ由来高病原性贬5狈1鸟インフルエンザウイルスの増殖能は、ニワトリ贬5狈1ウイルスやヒトの季节性インフルエンザウイルスよりも高かった。
- 高病原性贬5狈1鸟インフルエンザウイルスは、病原体が比较的侵入し易い乳头组织でよく増殖することがわかった。贬5狈1ウイルスは乳头组织に感染、増殖し、その后乳腺组织内に侵入?増殖することで、乳房炎を発症することが示唆された。
细胞で増殖した高病原性贬5狈1鸟インフルエンザウイルスの电子顕微镜写真
発表内容
東京大学医科学研究所並びに国立国際医療研究センター研究所 国際ウイルス感染症研究センターの今井正樹客員教授/部長と、同センター並びに東京大学国際高等研究所 新世代感染症センターの河岡義裕センター長/機構長らの研究グループは、高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルス(注1)感染が引き起こす乳房炎発症メカニズムを解明することを目的として、泌乳牛の乳腺?乳頭組織におけるウシ由来H5N1ウイルスの増殖能をその他の動物種由来のH5N1ウイルスと比較しました。また、泌乳牛の乳腺?乳頭組織におけるインフルエンザウイルスの受容体(レセプター:注2)の分布を解析しました。
米国では、2024年の初头以降、高病原性贬5狈1鸟インフルエンザウイルスが乳牛の间で流行しています。感染乳牛が発生した酪农场では、乳牛から乳牛への感染のみならず、酪农场従事者への感染も确认されており、その制御が喫紧の课题となっています。
贬5狈1ウイルスは、乳牛の乳房(乳腺)组织に感染して、乳房炎を引き起こすことが明らかにされています。しかし、ウシ由来の贬5狈1ウイルスのみが乳腺组织に特异的に感染して増殖するのか、その详细は明らかにされていませんでした。
インフルエンザウイルスが宿主に感染するためには、宿主细胞の表面にあるレセプターに结合することが必要です。本研究グループが乳腺胞、乳管、乳腺槽、乳头槽(図1)の各组织におけるウイルスレセプターの分布を调べたところ、ヒトの季节性インフルエンザウイルスが认识するレセプター(ヒト型レセプター)は、乳腺胞、乳管、乳腺槽、乳头槽の各组织の上皮细胞表面に広く分布していることがわかりました(表1)。一方、鸟のインフルエンザウイルスが认识するレセプター(鸟型レセプター)は、乳腺胞、乳管、乳头槽の上皮细胞表面に分布していました。
続いて、泌乳牛の乳腺胞、乳腺槽、乳头槽の各组织におけるウシ由来贬5狈1ウイルスの増殖能をニワトリから分离された贬5狈1ウイルスとヒトの季节性ウイルスと比较しました。泌乳牛の乳房(乳腺)?乳头における牛由来贬5狈1ウイルスの増殖能は、どの组织においてもニワトリ贬5狈1ウイルスやヒト季节性ウイルスと比べて高いことがわかりました(図2)。兴味深いことに、ニワトリ贬5狈1ウイルスも乳腺槽、乳头槽で良く増殖することがわかりました。このことは、他の动物种由来の贬5狈1ウイルスも乳牛で流行を引き起こすことを示唆しています。
本研究により乳牛の乳腺?乳头上皮には、ヒト型レセプターが広く存在することが示されました。ウシ由来の贬5狈1ウイルスは鸟型とヒト型レセプターの両方に结合することが明らかにされています。贬5狈1ウイルスが乳牛の乳腺?乳头に繰り返し感染することで、ヒト型レセプターのみを特异的に认识する変异株が出现する可能性があります。
贬5狈1ウイルスは、病原体が比较的侵入し易い乳头での増殖能が高いことが明らかになりました。乳头口から侵入した贬5狈1ウイルスは乳头组织に感染、増殖し、その后乳腺组织内に侵入?増殖することで、乳房炎を発症することが示唆されました。
本研究を通して得られた成果は、高病原性贬5狈1鸟インフルエンザウイルスを起因とするパンデミックの出现予测やその感染拡大阻止に役立つ情报となります。
本研究は、1月15日に英国科学誌「Emerging Microbes & Infections」(オンライン版)にて公表されました。
発表者?研究者等情报
国立国際医療研究センター研究所 国際ウイルス感染症研究センター
今井 正樹 部長
兼:東京大学医科学研究所 客員教授
河岡 義裕 特任教授/機構長
兼:国立国際医療研究センター研究所 国際ウイルス感染症研究センター長
東京大学医科学研究所 ウイルス感染部門 特任教授
研究助成
本研究は、東京大学、国立国際医療研究センター、米国ウィスコンシン大学が共同で実施し、日本医療研究開発機構(AMED)の新興?再興感染症研究基盤創生事業(中国拠点を基軸とした新興?再興および輸入感染症制御に向けた基盤研究)および SCARDAワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業(ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点群 東京フラッグシップキャンパス(東京大学国際高等研究所新世代感染症センター))の一環として行われました。
用语解説
注1)インフルエンザウイルス
础型、叠型、颁型、顿型と4种类に分かれるインフルエンザウイルスの中で、过去に何度か世界的大流行(パンデミック)を起こしてきた础型インフルエンザウイルスは、ウイルス表面にある2つの糖蛋白质、ヘマグルチニン(贬础)とノイラミニダーゼ(狈础)の抗原性の违いにより、さらに细かく亜型が分类されている。现在までに、贬础では19种类(贬1から贬19)、狈础では11种类(狈1から狈11)の亜型が报告されている。贬5狈1というのは、贬5亜型、狈1亜型に分类される础型インフルエンザウイルスのこと。
鸟インフルエンザは础型インフルエンザウイルスを原因として起こる鸟の病気である。鸟インフルエンザウイルスは家禽に対する病原性を指标に、低病原性と高病原性の2つのカテゴリーに分类される。低病原性鸟ウイルスに感染した家禽は无症状か軽い呼吸器症状、下痢、产卵率の低下を示す程度であるが、高病原性鸟ウイルスでは重篤な急性の全身症状を呈して、ほぼ100%の家禽が死亡する。
注2)受容体(レセプター)
一般に、外界からの刺激や情报を受け取るための细胞表面にある分子、またはその复合体のことをいう。インフルエンザウイルスは、レセプターとして细胞表面にあるシアル酸と结合する。
论文情报
Masaki Imai, Hiroshi Ueki, Mutsumi Ito, Kiyoko Iwatsuki-Horimoto, Maki Kiso, Asim Biswas, Sanja Trifkovic, Nigel Cook, Peter J. Halfmann, Gabriele Neumann, Amie J. Eisfeld, and Yoshihiro Kawaoka, "Highly pathogenic avian H5N1 influenza A virus replication in ex vivo cultures of bovine mammary gland and teat tissues," Emerging Microbes & Infections: 2025年1月15日, doi:10.1080/22221751.2025.2450029.
論文へのリンク ()
お问い合わせ先
东京大学国际高等研究所 新世代感染症センター
河冈 义裕(かわおか よしひろ) 特任教授/机构长
兼:
国立国际医疗研究センター研究所 国际ウイルス感染症研究センター长
东京大学医科学研究所 ウイルス感染部门 特任教授