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来年度の东京大学の授业料について记者発表

来年度の东京大学の授业料について

平成17年1月25日 东京大学総长 佐々木 毅

 平成17年度の政府予算において、国立大学の授业料设定の基準となる授业料标準额を、现行の52万800円から53万5800円に引き上げることが提示されている。东京大学は、法人化が実施された最初の年に、政府からあたかも当然のような形で、非常に唐突にこうした値上げが提示されたことを、きわめて遗憾に受けとめている。

 しかしながら、文科省令が改定され标準额値上げが决まった场合には、东京大学としてはやむをえず、以下のような措置をとらざるをえないと判断する。省令改定は国会での予算审议をまって行われるものであるが、东京大学は、できるだけ早く受験生や在学生に来年度の授业料の见通しを伝えるべきであるとの考えから、标準额値上げへの対応策を现时点で明らかにするものである。

 法人化によって授業料の決定は各国立大学の判断に委ねられたが、標準額が上がった場合、大学が授業料の値上げを見送ることには困難がある。まず、国から交付される運営費交付金は、標準額による授業料収入があることを前提として措置されており、授業料値上げを見送ることは大学にとっては減収を意味している。授業料収入の不足は年度ごとに累積する。しかも、運営費交付金には効率化が課せられ、事態はますます深刻化する。法人化初年度に、いまだ決算をしていない段階で、累積性をもつ授業料据え置きを決めることは大きな冒険である。当然のことながら法人化以後、東京大学は経営努力による経費削減に努め、东京大学基金を設けるなどの自助努力を強めているが、これらも緒に就いたばかりである。

 今回の授业料标準额の値上げの动きに対し、东京大学がとりうる选択の幅はきわめて狭い。しかし、国立大学として教育の机会均等の実现を责务とし、世界有数の大学として21世纪の日本と世界の学术研究の担い手を育成する使命を有する东京大学は、経済的な困难を抱えた学生に、大学の财政の许すかぎりでの支援を行うべきだと考えている。

 こうした考えから、东京大学は、今回、大学院博士课程に関しては授业料値上げを见送る。博士课程の学生では、亲の収入に頼らない独立家计の者の比率が高く、また1000名近い外国人留学生がおり、若干であれ授业料が上がることは、有為の若者の学问への志を断ち切る危惧がある。东京大学の竞争相手である欧米の有力大学では、学术研究の未来を担う博士课程の学生には润沢な奨学金が支给されており、授业料を徴収している例は少ない。

 これに対して、学部と大学院修士课程については、遗憾ではあるが、文科省令が改定され标準额が正式に引き上げられた场合には、それにあわせて授业料値上げを実施せざるをえない。しかし、この値上げによって経済的に困难を抱える学生が就学を断念することができるだけないよう、东京大学は、文科省が定める大学の授业料実収の5.8%という枠を超えて、授业料免除の枠を拡大するようにしたい。また、留学生に対する施策をはじめとする东京大学独自の奨励制度の充実も、あわせてはかることにする。この他、东京大学が、提供する教育の质を高め、学生の教育环境のいっそうの整备に努めることは、言うまでもないことである。

 これまで日本では、大学の授业料について広い范囲で真剣な议论がなされることがほとんどなかった。いまや、この授业料问题は、社会的な一大问题と化していると考える。今回の、国立大学授业料标準额の値上げ计画を机会に、大学の授业料のあり方について広く社会的関心が唤起されることを切望する。


※上記の本学総長佐々木毅の来年度授業料についての声明発表に際し、授業料問題について更に理解と深めていただくために、広報室が依頼して、本学大学院経済学研究科長、神野直彦教授に下記の解説を作成していただきました。(记者発表の際に、上記声明文とともに配布)

 

国立大学の授业料改定と予算について

东京大学経済学研究科 神野直彦

 昨年12月22日、文部科学省高等教育局は突然、「平成17年度以降の授业料标準额」を改定すると、「事务连络」で国立大学に通知してきた。昨年8月末にまとめられた文科省の概算要求には授业料标準额の改定は盛り込まれておらず、国立大学は授业料标準额の改定はないものとして、次年度の大学运営を準备していた。ところが、事前に何の説明もない突然の通知に、大学运営は混乱している。

 国立大学の法人化にともない、国立大学の授业料の意义は、大きく変化した。授业料は各国立大学が决定することになるからである。

 授业料标準额は各国立大学が授业料を决定する际の基準となる。しかし、それだけにとどまらず、授业料标準额は各国立大学に国の予算から配分される运営费交付金を决定する基準にもなる。というのも、运営费交付金は国立大学の教育研究に必要な経费総额から、授业料标準额を差し引いた额で决定されると、おおよそ考えてよいからである。

 必要な経费総额を决定する际には、効率化係数が掛けられることになっているけれども、国立大学という法人の特殊性に鑑みて、他の独立行政法人より缓和された効率化係数が适用されている。ところが、授业料标準额を改定して引き上げれば、それだけ运営费交付金を削减できるため、他の独立法人よりも厳しい効率化が迫られることにより、国立大学法人化の趣旨に反するといわざるをえない。

 附属病院を対象とする运営费交付金は、前年度なみの経费で収入を2%と引き上げる経営改善を実施することを前提として、収入差额が交付される。そのため平成17年度予算では19亿円の経费増で、104亿円の収入増を図るという神业(かみわざ)のような経営改善を、大学病院は実施しなければならないことになる。

 このように运営费交付金を削减する授业料标準额改定の理由を、「私立大学の授业料等の水準など社会経済情势等を総合的に勘案」したためと、文科省は主张している。しかし、そうだとすれば、概算要求の际に何故、标準额改定を盛り込まなかったのかが説明できない。私立大学との授业料格差などの社会経済情势が概算要求时から大きく変化したとは思えないからである。

 理由は明らかである。効率化係数や経営改善係数で、运営费交付金を削减しても、なお认めざるをえない退职手当等の当然増経费が存在するからである。しかし、退职手当等は法人化にともない国の责任で措置すべき事项である。

 しかも、国立大学の施设整备费补助金も前年度に対して23.3%减という异常な事态となっている。このように学生の教育研究が悪化せざるをえない条件のもとで、授业料标準额の改定が行われようとしている。

 口実とされている私立大学との授业料格差の是正も、低いものを高いものに合わせるという格差是正では、国立大学も私立大学もともに授业料が引き上げられる结果となり、高等教育の机会均等を夺うことになる。

 しかも、现実には国立大学の入学料は、私立大学を上回っている。授业料も文科系の大学院に関しては、主要私立大学が45万円なのに対して、国立大学は52万800円と大幅に上回っている。

 もちろん、授业料の引き上げは、国民に重い负担をもたらす。高等教育や科学技术の重要性が叫ばれている今日、授业料という负担を引き上げ、批判の多い事业に予算を回すために、国立大学への経费を大幅に削减することを、国民は本当に选択しているのだろうか。

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