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観测队长として临む3度目の南极で33年越しのミッションをやり遂げる! 知の冒険者たち(1)|原田尚美

掲载日:2024年10月1日

知の冒険者たち 极圏、砂漠、火山岛に无人岛、
5640尘の高山から5780尘の深海まで

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1957年から続く日本の。第66次を迎える今年、初の女性队长が诞生します。
33年前の大学院生の时に初めて赴き、今回は大学教员として临む原田先生が雪辱を期す観测とは?
12月の出発に向け、队长として、研究者として、入念な準备を进めている先生に闻きました。

生物地球化学 icon 极圏

観测队长として临む3度目の南极で33年越しのミッションをやり遂げる!

原田尚美
HARADA Naomi

大気海洋研究所 教授

原田尚美
「しらせ」(2019年)
南极に接岸中の「しらせ」(2019年)。海洋観测を担う夏队员の多くはしらせに寝泊まりします。「海水浄化装置があるのでしらせのほうが昭和基地より水が润沢に使えます」(原田)。南极大陆の露岩域に行く手段は全てしらせのヘリコプター。その日程调整も队长の重要任务です。

卒论の指导教员の话で南极を意识

私は北海道苫小牧市の出身です。高2のとき、教育実习で来た弘前大学の先生から地球科学の话を闻いて地球科学分野に兴味を持ち、弘前大学に进みました。卒论の指导教员が南极経験のある先生で、南极のおもしろさを话すのを闻き、自分もいつか行けたらなぁと思ったものです。

先辈がいた名古屋大学の大学院に进み、航海明けの高扬感を伝えてくれた半田畅彦先生の研究室に入りました。ただ、研究生活は非常にハードで、同期の2人が就职を决め、私も环境コンサルの会社に内定をもらいました。フィールド调査の経験をしたいと思っていたので、観测航海への参加を先生に頼み、竣工したてのに乗ったら、これが最高に楽しかったんです。赤道付近で採取した堆积物がクリーム色で美しく印象的でした。生物の遗骸の炭酸カルシウム分が多いせいですが、数万年前の遗骸をいま见ていることにワクワクして&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;。就职はやめて、博士课程に进みました。

半田研究室はセジメントトラップという装置を係留して海中の粒子を回収?分析するのを得意としていました。あるとき研究室に、南极でこの种の调査をやるから学生を派遣してくれという打诊が。谁も手を上げなかったので、私が名乗り出ました。まだ日本の女性队员は一人しかいなかった顷。赤道のサンプルを使う博士论文のテーマとは离れます。先生にも亲にも反対されましたが、博士论文を必ず仕上げ、南极観测のテーマの论文も书くから、と説得し、第33次の夏队に参加しました。24歳の顷です。

しらせの甲板でサンプル回収を見守る原田先生
しらせの甲板でサンプル回収を见守る原田先生。
セジメントトラップ
原田先生が今回仕掛けるのと同型のセジメントトラップ。漏斗を使って集めた粒子を下の捕集瓶に蓄えます。

初めての南极で味わった苦い経験

行きの航海で南纬64度地点にセジメントトラップを设置し、帰りの航海で回収する予定でした。しかし、いざ回収しようと思ったら、いくら探してもトラップが见つかりません。锤をつけ、ブイで浮力を持たせて水深5000尘付近に设置したのですが、浮力调整がよくなかったのか、巨大な氷山に流されたのか。いずれにしても回収はできませんでした。メイン任务の失败です。队长はかばってくれましたが、责任を痛感し、苦い経験となりました。

博士论文と南极の成果の论文の计4报の论文を仕上げた后はに入職し、北太平洋亜寒帯の物質循環や海底堆積物を使う過去の環境復元の研究に従事。南極からは離れましたが、2010年頃から北极圏北極海の研究を始めたのを機に南極関連の委員会にも呼ばれるようになり、2018年、第60次の副隊長として声がかかりました。前回の件もあり迷いましたが、研究テーマのないマネジメント職として参加。2度目の南極生活は楽しかったのですが、一方でやはりここは研究の場だなとも感じました。

帰国后は机构の地球环境部门の部门长となり、研究する余裕はなくなりました。そんなときに见かけたのが大気海洋研究所の公募。マネジメント仕事がなく、研究に集中できるぞと思って応募を决め、2020年に着任しました。南极に関わる科研费に採択され、第齿期中期计画にも関わることになり、第66次の队长の话もいただきました。第60次では夏队の队长で全体の副队长でしたが、今回は越冬队を含めた队长を务めます。

队长の主な仕事は、最终的な判断をすること。せっかくの南极で谁もが计画を100%こなしたいわけですが、天候が崩れたり装置が壊れたりとトラブルはつきもの。総合的に考えると中止せざるを得ない计画も出てきます。それを决めて本人に伝える憎まれ役が队长です。

観测队の活动は出航前からあります。3月には、群马と长野の境にある高原で4日间の冬山训练を行いました。急に悪天候になった场合の対応、クレバスに落ちた场合の対処、负伤者を运ぶ训练&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;。夏の南极なので実际にはそれほど过酷な状况には陥らないはずですが、準备を怠ることはできません。3月に参加できなかった人を対象に立山でも同様の训练を行い、私は队长として両方に参加しました。

しらせから見上げた星空
しらせから见上げた星空。
昭和基地の前に立つ原田先生
昭和基地の前に立つ原田先生。当時は第60次南极地域観测队(JARE60)の副隊長兼夏隊長でした。

隔离された环境では人间関係が命纲

6月には座学でアンコンシャス?バイアスの研修を行いました。南极では、越冬队と夏队、観测系と设営系、「しらせ」组と昭和基地组など、立场が异なるグループが共存します。周囲から隔离された特殊な环境にいると、思ってもないことを言ったり、荒い口调になったりしても仕方がない面があります。そうしたバイアスを事前に知っていれば、実际にひどいことを言われても、それはこの人自身でなく厳しい环境が言わせているのだと思ってやりすごせるかもしれません。人间関係がこじれて観测が立ち行かなくなったら、やはり队长の责任です。

队长の任务のほか、今回こそは自分の観测も行います。テーマは南极周辺の海洋の物质循环。环境因子と物质循环と生物生产の応答の関係を探るためのサンプルを取るため、33年前の当时と同型のセジメントトラップを设置しますが、センサーはより拡充し、水温、塩分、クロロフィル、流向流速など多様なデータを狙えます。物理の専门家と连携して浮力バランスを调整し、水深1000尘付近に设置する予定です。

南极は3回目ですが、教员としては初めて。今回は研究室の大学院生を连れていきます。研究テーマが南极とは関係ない学生なので、私の1回目と同じ状况です。毎回観测队には复数の学生も参加しますが、他の学生に比べて成长がすごい、と送り出した先生方は口を揃えます。観测するためには常に自ら周りと交渉することが必要。研究に必要なコミュニケーション力が锻えられます。周囲に助けられることもあれば、泣かされることもあるでしょう。刺激的な研究の场であるだけでなく、学生を成长させる教育の场でもあるのが南极だと思っています。

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