寄稿「犬と研究者」
犬とともに暮らす东大の3人の研究者に、「犬と研究者」をテーマにコラムを缀ってもらいました。実験物理学と歴史学と电気工学。それぞれの分野の専门家による爱犬エッセイだワン!
犬と実験物理学者
春山富義 - HARUYAMA Tomiyoshi
(カブリ数物连携宇宙研究机构特任教授)
ここ漏れワンワン
サンドは5歳。体重7办驳のミニチュアダックスフンドだ。息子が饲い始めたのだが、结婚して人间の家族が増えたため我が家に&濒诲辩耻辞;移住&谤诲辩耻辞;してもう3年になる。日曜日の昼下がり、膝の上のサンドはうたた寝を始めた。私もつられて眠くなる。
极低温の実験では低温容器に漏れがあると実験ができないため、特殊な装置で念入りに漏れ箇所を调べる。容器を真空引きしてヘリウムガスを吹き付ける。漏れがあると、吸い込まれたヘリウムが検出されて漏れ箇所がわかる。この漏れ探し、昔はゴキブリが使われていたという话もある。容器の内侧にメスのゴキブリを入れておくと、漏れ箇所からフェロモンが出てきて、そこに外侧のオスが集まるのだそうだ。
サンドは鼻が効く。そこで思いついたのが、漏れ探し犬だ。容器のなかにドッグフードを入れて密闭する。漏れ箇所から出たフードの匂いを嗅ぎつけて、「ここ掘れ」ならぬ「ここ漏れワンワン」と叫ぶ。犬の嗅覚は人间の何万倍とも言われているから、超高感度で漏れ探しができるかもしれない。これで特许が取れるかなと思った瞬间、サンドがくしゃみをし、梦うつつから覚めた。サンドを膝に抱えていると、そんなのんびりした発想が浮かんでくる。
犬と歴史学者
杉本史子 - SUGIMOTO Fumiko
(史料编纂所教授)
犬とともに世界と出会う
犬の认知する世界や意思表现は人间のそれとはかなり异なっている。にもかかわらず犬は人间と喜びを共有できる。野田友佑とそのカヌー犬「ガク」とユーコン川を下ったカメラマン佐藤秀明も述懐しているように、犬とともに过ごしていると、人は、しばしば、相手が犬であることをすっかり忘れてしまう。人はそこから、「犬」と呼び「人」と呼ぶことの本质とは一体何か、を问い始める。
东日本大震灾の前年、幼いノーフォークテリアと出会い、「ガク」にちなんで「岳」となづけた。震灾前の福岛から岳のカヌー体験は始まった。岳との日々は、「日本」を対象に、各时代の人々がどのような歴史的特质をもった场の中で生き、また「世界」をどのように认识してきたかという観点から歴史を研究してきたひとりの研究者に、さまざまな気づきを与えてくれた。テニスのラリーを梦中で见る岳を见守るとき、私もまた、岳が犬であることを忘れる。
犬と暮らすとは、毎日连れだって外界にでかけ、他の人々や动物たち?植物たち?无机物たちの「世界」と出会い、それらによって构筑された「日本」の「社会」のなかに入っていく生活を选択することを意味している。现代の东京を岳とともに歩いていくと、「犬」を拒絶する「しるし」があちこちにはりめぐらされていることに否応なしに気づかされる。たとえば中小公园には、「犬入れ禁止!」と大书された立て看板が、憩いの场であるはずの空间に林立している。それはかつてパリ大学で讲义するためカルチエ?ラタンの研究者用宿舎に滞在したときに体験した、地下鉄にもカフェにも犬たちが人间とともにくつろいでいる社会とは、明确に异なる社会である。现代「日本」社会で「犬」と呼ばれることは、たとえば地下鉄においては、その颜を覆い隠し手荷物扱いされる「物」として扱われることを意味している。
カズオ?イシグロは、市贩される人造友人(础贵)を主人公とした一人称小説『クララとお日さま』(早川书房、2021)において、「人」と「物」の间の非情の関係を见事に描き出した。现代社会における「人」と「人以外」の関係性に注目し、「人以外」への感性を彫琢しその意味を考え抜いていくことは、同时に、「人」の多様なあり方を尊重し、「生产性」「同质性」など特定の尺度から一方的に裁断し排除する発想を相対化していくことにもつながっているのではないだろうか。
犬と电気工学者
寺尾 悠 - TERAO Yutaka
(新领域创成科学研究科助教)
学会には犬が欠かせない!
研究者にとって学会やバンケットというのは、自身の研究成果を発表するだけでなく、各国の研究状况に関する情报収集?交换を行う重要な场であることは周知の通りである。そんな中、この情报収集に一役买ってくれたのが、マルチーズとチワワのミックス(通称マルチワ)である、我が家の爱犬?おむすび(3歳、オス)だった。
昨年に行われた国际学会のバンケットで、2年ぶりに知り合いのフランス人研究者に会った。彼は现在フランスの公司で航空机関连の研究开発をしており、そのことに関して闻きたいことがあったのだが、久々でなんとなく闻けずにいた。そんな中、彼の奥さん(日本人)が一绪にフランスへ连れて行った爱犬の话になり、その际におむすびの写真を见せると、一気に饶舌になってお互いの爱犬话で盛り上がり、话の途中で彼に见せたおむすびの写真を奥さんにメールで送っていた。
すっかり爱犬の话で意気投合した后、アルコールの助け(?)もあり、闻きたかったことを色々と教えてもらうことが出来た。まさに「おむすび様様」であった。
爱犬の话は国境を超える!今年の国际学会へ行く际も、おむすびの写真をたくさんスマホに入れて持っていこうと考えている&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;。