犬にまつわる东大の研究
獣医外科学、动物行动学、ロボット工学、
考古学、年代测定学、法学?动物介在学、
獣医疫学、古典文学、现代文学。
9分野の先生に、犬にまつわる研究について绍介してもらいました。
犬と獣医疫学
狂犬病が日本に侵入するリスクを评価
杉浦胜明
SUGIURA Katsuaki
农学生命科学研究科特任教授
海外でウイルスに感染した动物が货物コンテナに迷入することで狂犬病が国内に侵入する可能性が指摘されてきました。
杉浦先生が侵入リスクを计算した结果は、果たして?
コンテナ迷入动物が持ち込む36万年に1度
日本は世界でも数少ない狂犬病清浄国です。人獣共通感染症である狂犬病が国内で最后に発生したのは1957年(猫の例)。清浄化の原动力となったのが、1950年に制定された狂犬病予防法よって义务化されたワクチン接种と集中的に行われた放浪犬の捕获でした。日本ではいまでも年1回のワクチン接种が义务化されていますが、実际に狂犬病が日本に侵入するリスクはどのくらいなのか?さまざまなシナリオを定量的に评価したところ、いずれも极めて低い确率でした。
日本における狂犬病の状况
死亡者数 | 犬の発生数 | |
---|---|---|
1953年 | 3人 | 176头 |
1954年 | 1人 | 98头 |
1955年 | 0人 | 23头 |
1956年 | 1人 | 6头 |
1970年 | 1人 | 発生なし |
2006年 | 2人 | 発生なし |
2020年 | 1人 | 発生なし |
1970年以降は、外国で犬に咬まれた后に日本で発病し、死亡した输入感染事例です。
例えば日本に到着する国际货物コンテナに迷入した野生动物。食べ物がない状态でも5日间くらいなら生存できるため、コンテナ数も多く距离も近い东南アジアなどから持ち込まれる可能性が考えられます。そこで、迷入动物の狂犬病感染の有无、到着时の生存、コンテナ开封时の逃走などの确率を评価したところ、狂犬病ウイルスが日本に持ち込まれる确率は36万年に1度でした。仮に迷入动物全てが开封时に逃走したとしても、その确率は7万年に1回。また日本は毎年约8000头の犬、猫を输入していますが、2回以上のワクチン接种や抗体検査、个体识别のためのマイクロチップ埋め込みなどの厳しい検疫规则が遵守されているかぎり、そこから狂犬病ウイルスが侵入する确率は5万年に1回です。ただし、虚偽申请などが行われるとリスクはぐんと上がるため、そこを见抜けるような家畜防疫官の训练が重要です。
狂犬病が侵入するリスクが低い中、年1回のワクチン接种が适切なのかを考える材料として、抗体価を调べたところ、接种间隔を2~3年に広げても効果が持続する可能性が高いという结果でした。狂犬病の主な媒介动物は犬、そして野生动物ですが、同じ种の中で何代か継代しないと定着しないという「种の壁」があるため、异なる种には简単には広がらないことが分かっています。とはいえ発症した场合の致死率はほぼ100%で、世界保健机関(奥贬翱)の推定によると世界では毎年59,000人が狂犬病で亡くなっています。狂犬病に感染しているか不明な犬に噛まれた场合、事后的に1か月に复数回ワクチンを接种することで発症を予防できると知っておくことも大切です。