犬にまつわる东大の研究
獣医外科学、动物行动学、ロボット工学、
考古学、年代测定学、法学?动物介在学、
獣医疫学、古典文学、现代文学。
9分野の先生に、犬にまつわる研究について绍介してもらいました。
犬と年代测定学
炭素の放射性同位体で狛犬の年代を推定
横山祐典
YOKOYAMA Yusuke
大気海洋研究所教授
加速器质量分析装置を使って过去の気候や海洋の変迁を研究してきた横山先生。
フィールドワークを通して得た縁が、文化财の年代测定という新しい取り组みにつながりました。
地球化学の手法を古い木製像に応用
私は过去200万年间の気候や海洋环境の変迁を地球化学的手法で研究してきました。この手法で键となるのが同位体で、特に炭素14という放射性同位体に着目しています。试料が古いほど含まれる炭素14の浓度は下がります。炭素14の大気中の浓度変迁と试料内の浓度を加速器质量分析装置(础惭厂)を用いて比べれば、试料の年代がわかるのです。また、大気中の炭素14を海が吸収する际の様子が场所により违うため、海の生物がどこで生まれ育ったのかも推定できます。
これまでの研究では、喜界岛冲で400歳超の巨大サンゴを见つけたり、スケトウダラの耳石から北海道の资源管理の要点を导いたり、山中湖の堆积物から未知の富士山喷火活动を発见したり。インダス文明の遗跡から出土したナマズの耳石を调べ、4000年前に2歳半の个体が海で浮上して捕まったと突き止めたこともあります。秋田県男鹿半岛では、湖の堆积物から昔の気候を调べました。そこで知り合った男鹿市教育委员会の人から、地元の赤神神社にある古い狛犬像の年代测定の相谈を受けました。石像だと炭素14の测定ができませんが、珍しい木製の狛犬だと闻いて引き受けたんです。
2015年、神主の立ち合いのもと、ごく微量な試料をメスで削ぎ出しました。ウィグルマッチング(Wiggle Matching)という方法で暦年較正の精度を高めるため、木を10~20年輪ごとに削ぎ、AMSにかけた結果、木材は6~11世紀のものと判明しました。彫刻した年代ではないですが、木材を何百年も置いてから使うことは普通考えられず、狛犬は西暦860年とされる神社創建時に迫る資料である可能性があります。編年学的検討が困難だった木造狛犬像に定量的な年代測定結果を与えることで、文化財保護が進むことが期待されます。大陸から伝来し、奈良や京都に入ったはずの狛犬がなぜ秋田にあるのか。流通経路が当時から整備されていたのか、実は男鹿が大陸との交易場所の一つだったのか……。想像を刺激する調査となりました。
こうした探求の醍醐味を伝えたくて、地域と協働する教育拠点プロジェクト「海と希望の学校 in 奄美」を率いています。奄美のハブの年齢を測定する研究にも炭素14が使えるのではないかと期待しています。