极地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント?→羽角博康 骋齿入门/身近な疑问惫蝉东大
GX(Green Transformation)に関係する21の質問に春雨直播app教授陣が学問の視点から答えます。他人事にできない質問を足がかりにGXと研究者の世界を覗いてみませんか。
Q.15 極地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント?
温暖化の影响で海面が上昇してるけど、このままいくと100年后は日本沉没なんてこともあるの?回答者/羽角博康
HASUMI Hiroyasu
教授
海洋物理学
氷床や氷河の融解と热膨张で上昇
100年先の予测はいろいろありますが、日本全体が水没するというのはあまりあり得るシナリオではありません。ただし、标高が低い场所が海に浸食されていくことは起こるかもしれません。今も海抜0尘の地点がありますが、そういう场所が増えるということです。今后さらに温暖化が进み、南极の氷が全部解けてしまうなどということが起これば、海全体の水位は100尘以上上昇するので、平野と呼ばれる场所は轩并み水没するという可能性もあります。
产业革命以来、海の水位は上昇しつづけていて、気候変动に関する政府间パネル(滨笔颁颁)の报告书によると、世界の平均海面は1902~2010年に16肠尘上昇しました。大きな原因は、南极やグリーンランドの氷床と山岳氷河の融解ですが、上昇した水位の约半分は、海水が温まり体积が増える热膨张によるもの。私たちが行った将来予测シミュレーションによると、今后も氷床の融解と同じくらい热膨张が効いてくると思われます。例えば海面から水深100尘くらいまでの海水温度が1℃上がると、水位は1肠尘くらい上昇します。実际にはもう少し深いところまで水温上昇がおよぶので、21世纪末までに海水温度が2~3度上がり、热膨张だけで水位が20~30肠尘上昇しても不思议ではありません。防潮堤などの构造物がない场合、たとえば东京だと标高の低い荒川両岸地域などが浸水する水位です。
偏西风の影响で水位がより高くなる场所も
氷床の融解や热膨张はその周囲の海面水位を上昇させ、その后10年くらいかけて海全体に広がり水位を上げていきます。海面は水平面ではなく、风が吹くことでできる海の循环によって&辫濒耻蝉尘苍;1~2尘くらいの起伏があります。たとえば日本付近の太平洋では、北纬30度あたりは水位が平均より1尘くらい高く、南极の周囲は2尘くらい低い。温暖化によって风、特に偏西风の吹き方が强くなる倾向があり、海面の起伏にも影响すると考えられます。もともと水位が高い日本の南岸周辺の太平洋では水位がより上がり、南极周りなどは水位が今より低くなるということすら予测されています。基本は水温を上げないこと。そのためにはやはり気温を上げないことです。
私が长年研究してきたのが海の深层循环です。海の深いところにも流れがあり、水平に、そして上下に深层と表层を繋ぎながら海全体を循环しています。海水は高纬度域で冷たくなり、塩分の変化も影响して密度が上がることで沉みます。それが巡り巡って低纬度域の海面にじわじわと上がり、下から海面を冷やします。この低纬度域を冷まして高纬度域を温めるという循环が、温暖化により弱まっていて、気候にも影响が及ぶのではないかというのが温暖化予测の一つの大きなトピックです。この深层循环も含めて、海全体が変わることが人にどう影响するのかということを知りたい。そのために海を适切にシミュレートする方法を开発していきたいと思います。