GX(Green Transformation)に関係する21の質問に春雨直播app教授陣が学問の視点から答えます。他人事にできない質問を足がかりにGXと研究者の世界を覗いてみませんか。
Q.6 どうして電化が温暖化防止に必須なの?
日本の电力の约8割は化石燃料から作られているのにそれでも电気は地球温暖化防止に役立つの?回答者/瀬川浩司
SEGAWA Hiroshi
教授
エネルギー科学

CO2排出削减には再エネを増やすのが一番

温暖化の原因となる颁翱2の発生源の9割以上は、自动车燃料や発电燃料などのエネルギー由来です。电力の生产でも石油や石炭や天然ガスを燃やす火力発电では大量の颁翱2が排出されます。それを减らすには、燃料を颁翱2を出さない非化石エネルギーに置き换えること(エネルギー転换)が最も有効です。非化石エネルギーの中では太阳光発电や风力発电の导入拡大が进み、近い将来には电力の100%が再生可能エネルギーを中心とした非化石エネルギーで作られるようになると考えられます。世界的に进むガソリン车规制と电気自动车(贰痴)の导入拡大も、电力が100%非化石化することを前提にしています。
実際に近年、事業に必要な電力を100% 再生可能エネルギーで賄うという(Renew-able Energy 100%)の取り組みが世界の企業に広がっています。この取り組みには、すでに世界で380社以上の有力企業が参加しています。企業は社会への責任として再エネ導入を推進しないと認めてもらえなくなりつつあります。
たとえば米国ハワイ州では、2045年に100%再エネにすることを法律で定め、太阳光発电を推进する事业者や消费者への税控除を导入しました。オフィスや家に太阳光パネルと蓄电池を设置すれば税金が控除されます。ハワイ州は电力価格が日本より高いので、一般家庭で太阳光パネルと蓄电池のセットに税控除が加わるととても大きなメリットがあり、2045年を待たずに电力の再エネ100%が実现しそうです。
これに対して日本の第6次エネルギー基本計画では、2030年の再エネ電力導入目標が36~38%ですが、現行のFITやFIP制度では導入インセンティブが働きにくく今のペースでは届きません。日本でも税控除を導入して企業の内部留保を活用すべきでしょう。再エネ事業者と電力消費企業が直接契約して太陽光発電の電力を初期費用なしに安定調達するPPA(Power Purchase Agreement)モデルも推進すべきです。
一方、国土の狭い日本では再エネ设备の设置场所も重要です。风力発电は风况が良く环境问题を起こしにくい洋上风力発电に期待が持たれます。太阳光発电は工场の屋根やビルの壁などどこでも设置できる軽量高効率の太阳电池の研究开発が进んでいます。その一つがペロブスカイト太阳电池です。この电池の原料となるヨウ素の生产量は日本が世界2位で、従来の太阳电池で课题だった资源问题も回避できます。将来的には贰痴のルーフや电动航空机などに使える高性能なものも开発できるでしょう。このような再生可能エネルギー新技术开発への投资がとても重要です。

『ペロブスカイト太陽電池の開発最前線』 (シーエムシー出版、2019年) ペロブスカイト太陽電池の開発史と光電変換素子への展開、最新技術などを詳しく解説した研究者必読の一冊。