どうして深海鱼は光を放つの?→猿渡敏郎|素朴な疑问惫蝉东大

「なぜ?」から始まる学术入门
言われてみれば気になる21の质问をリストアップし、その分野に详しそうな鲍罢辞办测辞教授阵に学问の视点から答えてもらいました。知った気でいるけどいざ闻かれると答えにくい身近な疑问を足がかりに、研究の世界を覗いてみませんか。
Q.3 どうして深海魚は光を放つの?
よく知られたチョウチンアンコウを筆頭に、多くの深海魚は光ります。なぜ体の一部を光らせるのでしょうか? 照明がわり?
SARUWATARI Toshiro
助教
鱼类学 |
突起に発光バクテリアが寄生
太阳光がほとんど届かず、暗く冷たい深海。この水深200メートル以上の海域に生息する生物で、知名度が高いのがチョウチンアンコウです。この深海鱼の头から出ている钓り竿のようなものは背びれの一部で诱引突起と呼ばれます。その先端に発光バクテリアを寄生させた拟饵状体と呼ばれる発光器があります。暗い水中で、この発光器を光らせ、饵のエビや小鱼をおびき寄せます。また、これはあくまでも推测ですが、この発光器で同种同士のコミュニケーションをとっている可能性もあります。

体の左侧に7匹のオスが寄生しています。体长は31センチほど。
海の中层から海底の间で浮游生活を送るチョウチンアンコウの拟饵状体は、种によって形质が异なります。これまでに166种确认されていて、お互いをこの発光器で识别しているのです。
深海鱼の多くは発光します。しかし、チョウチンアンコウと违い、多くの场合、発光器は腹部にあります。海の中にわずかに差し込む光は上からくるので、腹部を光せることによって影を打ち消し、见つかりにくくしているのではないかと言われています。この発光器の色、実は鱼种によって违います。私が见たことがあるのは、青、緑、ピンク(残念ながらチョウチンアンコウが発光しているところは见たことがありません)。

メスに寄生して生き延びるオス
深海に生息するチョウチンアンコウを採集するのは非常に难しく、めったに目にすることはできません。しかし幸运なことに、2000年の学术研究船白凤丸での调査で、非常に状态のよいメスのミツクリエナガチョウチンアンコウを採集できました。网にかかった鱼のなかにチョウチンアンコウを见つけた时は、膝が震えました。しかも、このメスには8匹ものオスが寄生していました。
100种以上いるチョウチンアンコウのうち、25种はメスの体表にオスが寄生することが知られています。オスは寄生した后、メスから栄养をもらい成长を続けます。常に一绪にいれば、タイミングがよい时に受精し子孙を残せるため、そのように进化してきたのではないかと考えられています。复数のオスが寄生するということは、さまざまな形质の子供を残せるため、多様性の维持の観点からもメリットは大きいのです。
では、オスはどのようにして寄生するメスを见つけているのでしょうか。オスを正面から见ると、中央にとても大きな一対の鼻の穴があります。その鼻腔内には嗅房と呼ばれる匂いを感じる器官があり、とてもよく発达しています。ここを使い、メスのフェロモンの匂いを嗅ぎ分けると考えられています。寄生できなかったオスは、ある程度の大きさまで成长すると死んでしまっているようです。厳しい世界ですね。
深海鱼では他にもアオメエソ(通称:メヒカリ)の生态に関する研究を続けています。フライなどで食べるとおいしい鱼で、未成鱼は大量に捕れますが、成熟すると日本中の渔场からいなくなります。产卵回游に出発したと思われますが、どこまで行っているのか明らかになっていません。どの深海鱼もまだ谜だらけなのです。

『』(东海大学出版、2016年)
卵から死まで鱼の一生を解説した一册。マサバやサケなどさまざまな鱼の生活史を绍介しています。