研究者が荐める映画.5『アポロ13』/流体工学者?大岛まり
东大の様々な分野の研究者12人に、各々の専门分野の観点からお荐めする作品を绍介してもらいました。映画を鑑赏する际の手引きとして、また、各研究者が进める学术への兴味を高めるきっかけとしてご覧ください。
『アポロ13』
教授
OSHIMA Marie
研究をがんばりたいときに繰り返し観た一本
マサチューセッツ工科大学(MIT)への留学から帰国して、博士号を取得後、生产技术研究所の助手となり、学会のために渡米した際に観たのが、『』でした。惭滨罢时代の研究者仲间とスタンフォード大学の近くのシネコンに行ったんです。30代半ばで観たせいかもしれませんが、感动しただけでなく考えさせられる映画でした。
人类にとって3回目の月面着陆を目指して旅立ったアポロ13号が、月に迫ったところで爆発事故を起こします。酸素が流出し、大半の电力を失った13号は、月面を间近に捉えながらやむなく着陆を断念し、地球への帰还が唯一の目标となります。大気圏再突入に必要な电力と诱导プログラムを保持するため、司令船を闭锁して小さな月着陆船に移り、暖房も切らざるを得ない状况に追い込まれた3人の宇宙飞行士。さらに船内の二酸化炭素浓度が上昇して死の恐怖が迫り&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;。
极限状态で与えられた课题を解かねばならない状况は、それまでの自分の研究人生にはありませんでした。必要なものがなければ调达すればよいという感覚があったのです。しかし、3人が使えるのは船内にあるものだけ。そこで工夫して课题を解决しなければ、待っているのは死。この设定は目から鳞でした。与えられた条件下で最大の仕事をするのが真のエンジニアだと気づかされ、材料も空间も时间も限られた状况で命を左右する课题に立ち向かう姿に心を打たれました。
奇跡の帰还を生んだ工学者魂とチームワーク
アポロ13号は見事に帰還を果たし、「輝かしい失敗」と呼ばれます。これは平時からNASAが様々な状況を想定して訓練と経験を積み重ねてきたからこそ成し遂げられたことでした。研究者にも通じる教訓でしょう。宇宙にいる3人と地上の管制スタッフのチームワークも特筆すべき要素でした。象徴的なのは、エド?ハリス演じる管制官が発した“Failure is not an option”という言葉です。仲間を熱く鼓舞する一方で彼は冷静な検討も続けていました。典型的なアメリカのリーダーシップの表現ではありますが、やはりガツンときます。無事に帰還させることを目指して管制スタッフが一致団結し、飛行士は仲間を信じて行動する。このチームワークも平常時から培っていたからこその賜物でしょう。目的を共有して困難をクリアするなど非常時に急にやろうとしてもできないことです。
私は小学生の顷にアポロ11号の月面着陆を见て、宇宙飞行士になりたいと思いました。早々に諦めましたが、宇宙飞行士を送り出す侧になりたくて工学の道を选んだんです。现実世界での活きたサイエンスやテクノロジーとは何か。それらを身につけ、必要なときに発挥するにはどうしたらよいのか。『アポロ13』はエンジニアの原点を教えてくれた映画です。研究生活を送るなかでがんばらないといけないと思った际に再生して観てきました。特に3人が二酸化炭素除去装置を组み立てる场面や管制塔とのやりとりはいつ観ても感激します。今后も何度か観ることになりそうです。
その他のおすすめ 『ビューティフル?マインド』 2001年、ロン?ハワード监督。ノーベル赏受赏の経済学者ジョン?ナッシュの半生を描く。「统合失调症に苦しむ天才を支援する大学の懐の深さに大学人として感じ入ります」 『奇蹟がくれた数式』 2016年、マシュー?ブラウン監督。インド人の天才数学者ラマヌジャンの半生を描く。「人種や宗教の違いと差別など、Diversity & Inclusionのあり方も考えさせられます」 『ミクロの决死圏』 1966年、リチャード?フライシャー监督。缩小された科学者らが人间の体内に入る冒険厂贵。「ミクロの世界や人体への兴味を持った原点。血管内の血球の描写が印象的でした」 |