研究者が荐める映画.1 『ムクウェゲ』/纷争鉱物研究者?华井和代
东大の様々な分野の研究者12人に、各々の専门分野の観点からお荐めする作品を绍介してもらいました。映画を鑑赏する际の手引きとして、また、各研究者が进める学术への兴味を高めるきっかけとしてご覧ください。
『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の场所」で闘う医师』
讲师
HANAI Kazuyo
ノーベル平和赏受赏者の性暴力との闘いと日本のつながり
3月4日から全国で顺次剧场公开されている本作は、2018年にノーベル平和赏を受赏したデニ?ムクウェゲ医师の活动やその背景を追った素晴らしいドキュメンタリー映画です。2021年に第21回石桥湛山记念早稲田ジャーナリズム大赏を受赏しました。
コンゴ纷争が勃発してから20年以上経った今でも武装势力と国军による住民への暴力が継続するコンゴ东部では、多くの女性たちが文字通り肉体的に壊され、家族やコミュニティからは见放されるという悲剧が起きています。そのコンゴ东部に设立したパンジ病院で、ムクウェゲ医师はこれまで5万人以上の性暴力被害者を无偿で治疗し、彼女たちの社会復帰に尽力してきました。
この悲剧の背景にあるのが、私が研究している纷争鉱物です。世界有数の鉱物产出地域であるコンゴ东部では、武装势力や国军部队が鉱山周辺地域を実効支配し、タンタルや金などの鉱物を活动の资金源にしています。地域住民を支配する手段として彼らが组织的に行っているのが性暴力。そしてその鉱物を使っているのが、私たちのような先进国の人间です。スマホやパソコンなどの电子机器に使われている鉱物は纷争の资金源になり、性暴力につながっているのです。映画はそういった日本へのつながりも描き、日本の高校生がこの问题を学ぶ姿も映しています。
立山芽以子监督は、コンゴ东部を访れ、性暴力の被害者だけではなく、加害兵士にもインタヴューしています。この兵士は、10代の时に自分の村が袭撃され、杀されるか武装势力に入るかの二択だったと打ち明け、性暴力は上司の命令に従って仲间であると証明する行為だったとも话しています。彼は有罪判决を受けて刑务所に入りましたが、亲族が集めたお金で出所しました。现在は家庭を持つ彼が、もし戻れるのであれば学校に行きたい、と话していることがこの问题の难しさの一面を浮き彫りにしています。
日本からとても远い地域で起きている悲惨な问题はともすると思考停止したくなるかもしれませんが、本作は私たちにも「できることがある」ということを描いています。例えば、募金をする、学ぶなど、諦めずにそれぞれの立场で自分にできることを探すきっかけになればと愿っています。
『女を修理する男』
2015年、ティエリー?ミシェル监督。ムクウェゲ医师の活动を描く。「纷争下の性暴力の実态と女性たちの生きる力に衝撃を受けました」