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海と地球と大学と。海洋を担う国连机関と大学のリーダーによる特别鼎谈

掲载日:2021年9月21日

海と东大。
すべての生命の故郷にかかわる研究?教育活动集

あらゆる生命の故郷であり、地球の生物の生存を支えている海に関する科学を世界で进めるための「国连海洋科学の10年」。2021年はこの大きなキャンペーンがスタートした年です。そして东大は今年、海とともに歩んできた科学者を新総长に迎えました。工学、物理学、生物学、农学、法学、経済学&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;。様々な分野の事例が映し出す东大の海研究と海洋教育の活动について绍介します。
海洋を担う国连机関と大学のリーダーによる特别鼎谈

海と地球と大学と。

グローバル?コモンズとしての海洋をいかに管理するか?

「国连海洋科学の10年」が始まり、9月の食料システムサミット、10月の生物多様性条约会议、11月の気候変动枠组条约会议と重要な国际会议が目白押しの2021年。地球の将来を左右する海洋を人类はどう管理していけばよいのでしょうか。国连の海洋担当特使、政府间海洋学委员会(滨翱颁)事务局长のお二人に、のダイレクターを务める理事が问いかけます。窜辞辞尘で行われた鼎谈の冒头には、海を舞台に研究を进めてきた総长も参加しました。(収録日:7月19日)

左上 ピーター?トムソン 国连事务総长海洋特使
左下 ウラジミール?リャビニン ユネスコ政府间海洋学委员会事务局长
右上 藤井辉夫 総长
右下 石井菜穂子 理事/グローバル?コモンズ?センター ダイレクター
  • 石井 海は、私たちが管理する必要のある最も重要なグローバル?コモンズです。今日は藤井総长も冒头に加わって顶きましたので、就任最初の『淡青』のトピックになぜ海を选んだか、一言ください。

「梦のある魅力的な海」に向けて

  • 藤井 私は東京大学で船舶工学を専攻し、深海を調べる海中ロボットの研究をしてきました。いま「春雨直播app Compass」という大学の方向性を示す構想を立案していますが、この名も海がモチーフです。私は「国連海洋科学の10年」の7つの目標のうち「夢のある魅力的な海」※1が特に気に入っていて、私自身、気候変动とグローバル?コモンズをめぐって、どうすれば人々を巻き込み行动の変化を促していけるかということに取り组んでいます。
  • トムソン いま私たちは、马车から自动车に移行したときのような大きな変化に直面しています。海の利用についていえば、持続可能なブルーエコノミー※2、その柱として无给饵の水产养殖や海藻生产に期待しています。海苔やだしの文化をもつ日本こそ、この分野をリードできると思います。
  • 藤井 海からの収穫に対する人々の意识の変化を、ということですね。どう推进すべきか、アイデアが得られたらうれしいです。
  • リャビニン 総长が挙げた「梦のある魅力的な海」は、ハードコアの自然科学から出発しながら、人类の価値観に帰着するものです。海でいま起こっていることをよく理解することは、海そのものや技术の领域だけでなく、公平性や诚実さの领分にまで大きな影响を与えます。世界が困难な状况に陥っている现在、こうした価値観が重视されるようになれば、不诚実な意志决定が避けられると思いますし、科学はその助けになります。
  • 藤井 重要なのは人々を刺激し、巻き込んでいくことですね。私は様々な対话を通じて多くの人と関わり、相互理解を共有し、信頼を确立したいと考えています。そうした过程からグローバル?コモンズをスチュワードする(责任をもって管理する)体制を作るといった大きな成果が出ると思います。
  • トムソン 私の出身国であるフィジーを始め、南太平洋の诸国や大学にとって、东京大学との対话とパートナーシップは大変重要です。ともに働けることを楽しみにしています。
  • 藤井 短い时间でしたが、本日はありがとうございました。

持続可能な海洋管理の方法とは?

  • 石井 それではゲストのお二人に最初の质问です。持続可能な方法で海洋を管理するという大きな课题に対して、私たちは何ができるでしょうか。
  • リャビニン 競争は人類の本能ですが、今それが地球を破壊しはじめています。私たちを育んだ海は調和を示してくれる存在です。それをヒントに、私たちは競争という本能から離れ、行動を変えていかなければなりません。では、自分たちを安全な軌道に乗せるために何をよく知る必要があるのか? これには自然科学だけでなく情報科学や行動科学も関係します。それを通して世界を持続可能な道へと進ませることができ、それには良き規範や公平さが不可欠です。
  • トムソン 私たち人类は、イノベーションと分かち合いという2つの特长を具えています。イノベーションによって、人类は短い期间で洞窟生活から宇宙ステーションまで到达しましたし、分かち合いは共同生活、社会生活の基础です。私はこの2つの特长に希望を见出しています。
  • 石井 私は地球环境ファシリティから东大に来てグローバル?コモンズ?センターの初代所长になりました。私たちは、地域社会のローカルなコモンズを守る方法を知っていますが、海洋、生物多様性、気候システムといった地球规模のコモンズを守る方法をまだ知りません。それには、新しい舵取りや考え方が必要です。厂顿骋14「海の豊かさを守ろう」の达成のためには何をすべきでしょうか。

健康な海なしに健康な地球はない

  • トムソン 出発点は「健康な海がなければ健康な地球はない」です。海の健康は悪化しており、健康な地球を求めるなら海の衰えを止める必要があります。考えるべきは地球の酸素の50%が海に由来するという事実で、端的には珊瑚を见るといいでしょう。滨笔颁颁※3の报告书によれば、产业革命前からの気温上昇が1.5度になると珊瑚の7~9割が减り、2度になると死灭します。海の生物多様性の30%は珊瑚礁に由来しており、珊瑚がなければ健康な地球もありません。気温上昇が3度に近づく今世纪末、孙の世代は珊瑚のない世界で暮らすことになるのです。私たちの仕事が重要な理由です。今も海の资源の乱获が続き、プラスチック、产业廃弃物や下水が海を汚染しています。最も影响が大きいのは人间が排出する温室効果ガスです。ガスは海の温度を上げ、海はかつてない速さで酸性化しています。良いニュースは、人々が今これに気づいていることです。それはリーダーが突然魔法の杖を振って変えるようなものではなく、砂浜でゴミを収集している子供も、「国连海洋科学の10年」の责任者も、谁もがこの问题に関わる必要があります。
  • リャビニン 「国连海洋科学の10年」は全ての人々を人类の将来に関与させようとする运动で、私たちはこの10年の7つの目标を决めました。まず、汚染物质を除去し、海の健康を回復させることです。海をきれいにすることから始め、海を健全で回復力のあるものにし、さらに海をどのように利用していくか。やらなければならないことの多さに圧倒されますが、それは可能であり、私たちはそれに向かって进んでいます。
  • 石井 日本を含む14カ国が参加している「持続可能な海洋のためのハイレベル?パネル」についても闻きたいです。このパネルの长所は、人(辫别辞辫濒别)、繁栄(辫谤辞蝉辫别谤颈迟测)、保护(辫谤辞迟别肠迟颈辞苍)という3つの键を包含していることですが、进展はどうなっているでしょうか。また、日本の役割についてどう思われますか。
  • トムソン 私は、海の管理のためには、「科学」「计画」「ファイナンス」の3つが重要と考えています。14か国の首脳は各国の排他的経済水域を2025年までに海洋计画の対象とすることを约束しました。なぜそれが重要かというと、科学的な计画に基づく管理が海洋保全の最良の方法だからです。适切な计画がなければ管理はできません。必要なのはまず科学的知见に基づいた计画、そして资金调达です。発展途上国でブルーエコノミーや洋上风力発电、持続可能な水产养殖について话すと、彼らは皆「お金があればやる」と言います。私の使命は、グラスゴーの颁翱笔26※4で気候変动ファイナンスの针をブルーエコノミーの方向に动かすことです。

海は多くの解决策を提供できる

  • リャビニン 计画に基づいた海の管理について、最もよく知られた计画は海洋空间计画でしょう。これは、観光、水产业、港湾输送など多様なユーザーの活动を组み合わせる方法です。炭素と海事、多様性の保全と富の生成を主流にできれば、気候、种の絶灭という重要な问题に対処できます。海は、思っているより多くの解决策を提供できるでしょう。解决法はもっと発展させていかなければなりませんが、最初の一歩は踏み出されました。海が重要だという事実を全ての人々が理解する必要があります。さて、日本の役割は何か。子育てにおいて、亲切さや谦虚さや诚実さが価値を持つ数少ない国が日本です。それらは生命のすべてにおいて世界が必要とするもので、そうした価値観と科学的発展が相俟ったのが日本です。海に囲まれる日本の道徳、教育、文化は大きな贡献をするはずです。
  • トムソン 私の愿いは、日本が海洋问题について声を上げることです。颁翱笔26や叠叠狈闯※5会议で日本のような重要な国が明确な主张をしていくことは本当に重要です。
  • リャビニン 私たちは正しい方向に进んでいます。人间の本性は、私たちが崖に向かって进んでいることに気づいています。减速すれば崖の前で止まれます。これが私たちの现在地です。もっと多くの人々が崖の近さを理解すべきです。人间にはそれができると私は信じます。
  • トムソン 东大の皆さんにはブルーエコノミーの研究をより深めてもらえればうれしいです。それが人类に必要な力を与えるでしょう。グリーンランドで氷床が溶けると南太平洋で海面が上がります。海は1つなのです。海の课题の解决策を提供するのは私たちの时代の义务であり、子や孙の世代が苦しむのを放っておくことはできません。国连事务総长が半年前にコロンビア大学で「人类は自然に対して戦いを仕掛けている」と警告したことは重要です。そのスピーチの场に大学を选んだのは大学の役割を高く评価しているからです。自然との戦いをやめて平和を筑く时が来ました。私たちの努力は、自然との和平プロセスの旅なのです。
  • 石井 东大もその旅に加わりたいと思います。

※1 An Inspiring & Engaging Ocean
※2 海を守りながら利用して社会を持続的に発展させる海洋産業
※3 国連気候変动に関する政府間パネル
※4 国連気候変动枠組条約第26回締約国会議
※5 国家管轄権外区域における海洋生物多様性


© Anton Balazh / Adobe stock

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