地球环境危机を救う社会?経済システムの构筑 ―― グローバル?コモンズ?センター設立から1年、ダイレクター
石井菜穂子理事に闻く
世界中で観测されている、极端な気象や砂漠化、生物多様性の丧失。人间の経済活动による地球环境への负担が、その限界を越えつつあります。科学者たちは、持続可能な道筋を见つけるために残された犹予はあと10年で、そこを超えると制御不能になると警告しています。この地球环境问题を解决する一端を担おうと、东京大学は2020年8月に を设立しました。それから一年。これまでの活动や今后について、颁骋颁ダイレクターの石井菜穂子理事に话を闻きました。
―― グローバル?コモンズ?センター設立の目的は何ですか?
これまでの経済発展のあり方を続けていたら、私达の経済を支えている地球环境の安定を壊してしまう、というところが出発点だと思います。これまでは、地球は広く大きく、人间が何をやっても地球环境が痛むことはない、という大前提がありました。でも最近人间の力が强くなりすぎて、地球の容量を超えつつある、地球の安定性を损ないつつあります。そこを変えるためには、私达の経済社会のあり方を変えていかないといけません。ではどのように社会?経済システムを変えられるのか、ということを考えようと设立したのがこのグローバル?コモンズ?センターです。
―― 颁骋颁の名前にも使われている「グローバル?コモンズ」は、何を指しますか?
我々を支えている、安定的でレジリアント(回復可能)な、地球システムそのもの(※1)を指しています。このグローバル?コモンズをどうやったら皆で守るという仕组みを作れるのか、というのが颁骋颁の出発点です。
―― 具体的には、どのようなことを行なっていくのでしょうか?
どうやってグローバル?コモンズの责任ある管理をやっていくのか、という体系を打ち出すことです。それと同时にそのシステムを実装していこうと考えています。
この体系を作るときにいくつか重要な构成要素がありますが、一番の骨格になるのは、そのシステムモデリングだと思います。エネルギー分野をはじめ経済全体の脱炭素に加えて、食料システムはどう変えていくのか。都市での住まい方、あるいは経済システム全体のサーキュラリティ(循环)をどう高めていくか。そういったいろんなシステムをどう変えるか、ということです。
目标は、2050年にどうやったらプラネタリー?バウンダリー(地球环境の安定を保てる限界値)を飞び越えずに、持続可能な経済成长ができるのか。これはとても大きく难しいお题です。
―― 様々な机関と连携されていますが、大学だからこそできる役割のようなものはありますか?
グローバル?コモンズを守らないといけない、と考えている人はたくさんいます。产业界、研究者、市民団体や政策担当者など。そういう多分野の人が集まって一绪に何かをやろう、协働体のようなものを作ろうという时に、事务局は谁がやるのか、という话だと思います。
日本の场合は社会の构造が縦割りで、なかなか横连携がしにくいという社会の成り立ちがあるので、异业种?异分野の人をまとめて一つの协働体を作るときに、大学なら比较的中立的な立场で、信頼も「学」という无形の资产のようなものもあります。それらをうまく活用することによって、产业界や学术界、そして市民団体の人にも集まってもらえるような协働体ができるのではないか、そういった大学の机能に注目しました。
―― 公司との连携では、颁骋颁との発表が4月にあり、この6月にはしました。
持続可能な社会をもたらすための、化学産業の役割を真剣に考えよう、というのが叁菱ケミカルとの共同研究のテーマです。例えば、三菱ケミカルの場合はナフサ(粗製ガソリン)などを使ってプラスチックを作っています。それをどうやったら自分だけではなく、自分が作ったものを使う人たちにとってより持続可能的な商品にできるのか、ということを考える素材産業としての役割はとても大きいと思っています。そこにどのような道筋がありうるのか、ということを研究していきます。
また、产业全体に大きな影响力のある金融业界の动向は、地球环境问题の解决に极めて重要な意味をもちます。日本最大の金融グループのひとつである惭鲍贵骋と连携することで、日本の脱炭素化をはじめシステム転换を进める大きな力を顶けたと考えています。
―― これまでの成果物に2020年12月に公表した、のパイロット版があります。この指标の目的は何でしょうか?
気候変动や生物多様性、海洋などの六つのグローバル?コモンズの构成要素について、それぞれの国がどの分野でどのくらいポジティブに贡献している、あるいはネガティブに环境负荷を与えている、というものを计测したのがこのインデックスです。まずはデータが取りやすい50カ国──これは翱贰颁顿加盟国、骋20、あとは人口が多い5ヶ国ですが──この国々について、通信簿の形にして示しました。
やはり、国ごとにみんなで议论をして、お互いを启蒙や启発、あるいはお互いから学べるような活动ができるといいなと思っています。また、投资家が见た时にこの国のこういう分野は投资がしやすい、といった判断材料になっていくといいなと思います。
骋颁厂颈は毎年公表していく予定で、今年12月にまたがあると思うので、そこを目指して日々改善している最中です。
―― 人材育成については、どのようなことを想定されていますか?
同じような思いを持つ未来ビジョン研究センターの先生や、サスティナビリティについて研究してきた先生がたと一绪になって、グローバルコモンズについて考えるような教育プログラムがどのようにできるのか、きちんとしたカリキュラムを作ったらどうか、という话を今进めています。なるべく早いタイミングに始めたいと思っていて、学部の1年生を対象にしたコースのコンテンツなどを作っているところです。
―― 1年间活动してきて気づいた难しさなどはありますか?
どうやったらグローバル?コモンズをスチュワードできるのか、というのはものすごく大きな课题で、简単にできるとは思っていなかったので想定内ではあります。
非常にラッキーだったと思うのは、ちょうど机が熟してきていることですね。世界では「あと10年しかない」という声が、非常に强く闻こえるようになってきています。日本でも去年は2050年までのネットゼロ(※2)を表明し、今年は、2030年にその半分を达成するという高い目标を目指すということを掲げ、すごく机が熟してきています。そういうなかで、いろんな人たちが何かしたいと场所を探し求め始めた、という意味では颁骋颁がお役に立てる、あるいはそこに意味を见いだしてくれる人たちが増えてきているかな、という感じがします。
ただ、まだ存在もそんなに広く知られていませんし、いろんな成果を出して初めて知られていくと思います。いろいろなことがこれからだろうと思っています。
―― 今后の予定は?
ポツダム気候影響研究所や、持続可能な開発ソリューション?ネットワーク(SDSN) などと進めているGCSiや、世界資源研究所(WRI)と実際にどのようにシステム?トランスフォーメーション(転換)出来るのか、という実装などを行なっています。その全体をまとめた、グローバル?コモンズ?スチュワードシップのフレームワークペーパーのようなものを、秋までに──11月に開催されるCOP26の前に──発表したいと思っています。12月の东京フォーラムでは、そうした活動をまとめた形で、議論を巻き起こしていきたいと思っています。
※1 生物多様性、気候、森林、海洋、大地やそこを巡る物質やエネルギーなど様々な地球上のプロセスの総体
※2 排出量から吸収量を引いた合計をゼロにする