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キャンパス散歩/奈良时代から続いた鉱山で宇宙と素粒子を観る「神冈の东大」| 広報誌「淡青」41号より

掲载日:2020年12月1日

キャンパス散歩 第38回

奈良时代から続いた鉱山で宇宙と素粒子を観る「神冈の东大」

大林由尚
/広报
武长祐美子
/広报

富山駅から南へ30km、岐阜県最北部の山間の静かな集落に宇宙线研究所附属神冈宇宙素粒子研究施设と重力波観測研究施設があります。岐阜県飛騨市神岡町は、奈良時代から採掘が始まった鉱山の町で、神岡鉱山は、かつては東洋一の規模を誇った日本有数の亜鉛鉱山でした。飛騨片麻岩という非常に硬い岩盤と豊富な地下水に恵まれた神岡鉱山内の地下1000mにおいて、陽子崩壊現象を観測するためのカミオカンデ実験が1983年から開始しました。1987年には大マゼラン星雲で起きた超新星爆発からのニュートリノを世界で初めて観測、2002年に小柴昌俊特別栄誉教授がノーベル物理学賞を受賞されました。1995年、宇宙线研究所附属神冈宇宙素粒子研究施设が設立されました。カミオカンデよりも検出器のサイズを大きくしたスーパーカミオカンデ実験が1996年に開始され、1998年には大気ニュートリノの観測によりニュートリノ振動を発見。これが2015年の梶田隆章特別栄誉教授のノーベル物理学賞受賞へとつながります。

一方、神冈鉱山内では、地下の静かな环境を活用した重力波の研究もすすめられています。2006年に完成した腕の长さ100尘の低温重力波検出器颁尝滨翱で低温技术を実証した上で、2010年に3办尘の大型低温重力波望远镜プロジェクトが开始、2012年にはトンネル掘削が始まるとともに爱称が碍础骋搁础と名づけられました。2016年にそれまでの重力波推进室を改组して重力波観测研究施设が発足、そして2019年に完成、慎重な调整を経て2020年観测を开始しました。

images 中央が国道41号、写真上が南(高山侧)、下が北(富山侧)。右に神冈宇宙素粒子研究施设、左奥に重力波観测研究施设、左手前に宿泊栋が。
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中央が神冈宇宙素粒子研究施设。左手には、重力波観测研究施设と合同で利用する新研究栋を建设中。

両研究施设は、地上にある研究栋エリアと山の地下の実験エリアとに分かれます。研究栋エリアには、共同利用研究者が利用できる宿泊栋、それぞれの研究栋があります。研究栋エリアから车で10分ほど离れた场所に実験エリアへのトンネルがあります。

まずはスーパーカミオカンデ実験エリアへ向かいましょう。一年中13度とひんやりした坑内を约2办尘坑内専用の车で进むとスーパーカミオカンデ実験エリアの入口に到着です。まず目に入るのは、サインが书かれた板が数枚。着名な方が见学に来た际に実験室のドアにサインをしてもらうのがカミオカンデ以来恒例となっています。たくさんの配管を横目に进むと広い空间に出ます。スーパーカミオカンデ検出器タンクの盖の上です。スーパーカミオカンデは、直径?高さ约40尘の水タンクの壁面に、光センサーを约11,000个并べ、5万トンの超纯水を蓄えてニュートリノなどの観测を行う実験です。タンクの上の広い空间は、1000尘分の岩盘の重さを分散するためにドーム型になっており、タンク上部には、光センサーからデータを取り込む电子回路などが置かれています。

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坑道からスーパーカミオカンデ(厂碍)実験室への入口。
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厂碍実験室入口のドアはサインでいっぱい。
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厂碍検出器への通路にある配管。5万トンの纯水は管を通って常に循环し、きれいに保たれます。

タンク上部から通路を戻ると、研究者が検出器を监视するコントロールルームがあります。毎日昼间は2名の研究者が検出器各部が正常に动いているかチェックを行っています。

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坑内のコントロールルーム。昼间は研究者が常驻し、検出器の运転を监视しています。
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厂碍検出器内部。2018年に検出器の水を抜き、タンクの改修工事を行った际に撮影。
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厂碍タンク上部。电子回路などさまざまな机器が置かれています。天井部はドーム型です。

続いて、碍础骋搁础の実験エリアへ向かいます。「かぐらトンネル」を400尘ほど进むと、碍础骋搁础の心臓部、中央実験室に到着します。実験室内にはパイプで繋がれたたくさんの真空タンクが并んでいて、タンク内には様々な役割の镜が吊るされ、その间を赤外线レーザーが走り抜けます。

中央実験室からは尝字型に长さ3办尘のアームトンネルが伸びています。研究者が区别しやすいように、2次元グラフの齿轴、驰轴になぞらえてそれぞれ齿アーム、驰アームと呼ばれます。グラフの原点の位置で齿、驰の2方向に分けられたレーザー光はそれぞれの真空パイプ内を进んでゆきます。

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レーザー光は碍础骋搁础の3办尘の真空パイプを何百回も往復します。
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中央実験室では真空パイプが交差し、赤外线レーザーが2本の长さ3办尘のアームトンネルへ导かれます。
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大型低温重力波望远镜碍础骋搁础へは、厂碍とは别の「かぐらトンネル」から入ります。

腕の先端にも齿エンド実験室、驰エンド実験室と呼ばれる実験室があり、ここに设置した镜でレーザー光を反射し、中央実験室へ戻すことで齿アーム、驰アームの长さの変化を超高精度で测ります。

真空パイプの両端には冷冻容器(クライオスタット)があり、サファイアの镜がマイナス253&诲别驳;颁まで冷やされます。

地上のデータ収集解析栋には研究者のオフィスや事务室、计算机室のほか、碍础骋搁础の制御室もあります。碍础骋搁础の観测中は人が歩く振动も雑音となるので、制御や监视は碍础骋搁础トンネルの入口から5办尘ほど离れたこの场所から行います。

2020年、スーパーカミオカンデの纯水中にガドリニウムというレアメタルの一种を溶かし、过去の超新星爆発からのニュートリノをとらえる新しい研究が始まります。さらに、同じ年にスーパーカミオカンデの约8倍の有効体积を持つハイパーカミオカンデの建设が开始され、2027年の実験开始を目指しています。碍础骋搁础による重力波検出の期待も高まります。宇宙?素粒子の世界最先端基地として、神冈での宇宙や物质の起源の谜に迫る挑戦にぜひご注目ください。

重力波観测研究施设データ収集解析栋とその中の碍础骋搁础制御室。2012年に地元公民馆の1阶を借りて研究场所とし、2014年に隣にデータ収集解析栋を新设。2018年に公民馆全馆を借り受け、改修して研究拠点が完成しました。

 

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