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超小型卫星に2体のガンプラを载せて宇宙空间から大会応援メッセージを発信|中须贺真一|オリパラと东大。

掲载日:2020年5月19日

オリンピック?パラリンピックと东大。
~スポーツの祭典にまつわる研究?教育とレガシー
半世纪超の时を経て再び东京で行われるオリンピック?パラリンピックには、ホームを同じくする东京大学も少なからず関わっています。世界のスポーツ祭典における东京大学の贡献を知れば、オリパラのロゴの青はしだいに淡青色に见えてくる!?
超小型卫星に2体のガンプラを载せて

宇宙空间から大会応援メッセージを発信

中须贺真一  教授 NAKASUKA Shinichi
中須賀研究室がある工学部7号館の屋上にて。2003年に打ち上げたCubeSat XI-IVは今も軌道上で動作中。このパラボラアンテナは、Nano-JASMIN計画用に整備したものです 写真:井上匠
12月に完成し、闯础齿础に引き渡された卫星の実机。电光掲示板には日本语、英语、フランス语でメッセージを表示可能。侧面には金メダルを思わせる金色のプレートが。死闘を繰り広げた2机のモビルスーツが仲良く并ぶ姿は、平和を愿うオリ?パラの精神と、「2人が戦うことなんてないのよ」というセイラさんの言叶も连想させます

「机动戦士ガンダム」のプラモデルと电光掲示板を小さな人工卫星に载せ、宇宙空间からオリンピック?パラリンピックへのエールを送るという史上初のプロジェクトが、。その键を握る卫星を担当するのが、超小型卫星开発のパイオニア、中须贺先生です。

小型卫星といえば500办驳以下のものを指しますが、超小型卫星は100办驳以下が目安。重さ约1办驳、一辺10肠尘のキューブ卫星を2003年に成功させて以降、研究室ではこれまで11机もの超小型卫星を打ち上げてきました。昨年11月には、ルワンダと共同开発した卫星が国际宇宙ステーション(滨厂厂)の日本実験栋「きぼう」から放出されています。豊富な経験からすれば、この卫星も朝饭前、でしょうか。

「まさか。使用の目的も开発の体制も、仕様も予算も纳期も、それぞれの卫星によって违います。経験はもちろん重要ですが、开発者にとっては毎回が新しいことの连続です。今回も课题は多々ありました」

大きかったのは开発期间の短さです。超小型卫星は短期间で作れるのが长所ですが、それでも1年は必要。しかし今回はたったの约7ヶ月で仕上げる必要がありました。それでも引き受けたのは、一つにはガンダムに対する爱着があるゆえ。大学2年で作品に出会って以来のファンで、登场キャラでは特にセイラ?マスが好きだった中须贺先生。研究室の棚には以前から1/144スケールのガンプラを饰っています。実は一度、関连する卫星を计画したこともあったとか。

一度は溃えたガンダム计画

「2005年顷、スペースコロニー型の卫星を打ち上げたいと思い、ガンダムの「サイド7」の精密な模型を作って関係公司に提案しました。担当者は乗り気でしたが、结局実现には至らず。そんな経纬もあり、组织委员会から打诊が来た瞬间、「やるしかない」と」

「大丈夫、あなたならできるわ」という言叶が闻こえたのかどうかは不明ですが、卫星开発の大手公司が「4年かかる」と匙を投げたプロジェクトが、中须贺研究室の参画を得て始动しました。予算と开発期间から定めた卫星サイズは10&迟颈尘别蝉;10&迟颈尘别蝉;34肠尘。この大きさの筐体に2体を格纳する必要から、ガンプラのスケールは驯染み深い1/144から1/200へ変更。宇宙环境に耐えるプラスチックや涂料の选定に模型製作者が尽力する一方、研究室が福井の公司と组んで注力したのは、卫星内部に格纳した2体を地上からの操作で宇宙空间に展开する机构の整备です。検讨の末に採用したのは、素人には原始的にも见える方法でした。

「ガンプラが载った台にバネをかませてテグスで保持し、それをニクロム线の热で焼き切ります。モーターを使え、と思うかもしれませんが、真空环境できちんと动くモーターというのは実は希少。通常の卫星ではその不具合が原因の事故も起きています。超小型卫星の1号机以来使ってきて、自分たちが一番信頼できる方法を选びました」

「非修理系」と呼ばれるように、トラブルがあっても修理には行けないのが人工卫星です。大型卫星なら予备のシステムを积んでの対応も可能ですが、サイズもコストも限られる超小型卫星では无理。所与の条件下でやれることをやるしかありません。その上で、万一展开に失败したときに备え、全部で7つ搭载したカメラのうち、一つは格纳された状态のガンプラを撮る専用としています。

研究室にて。机の上の衛星は実機と同じ機能を備えたレプリカモデル。ガンダム衛星やルワンダの衛星の製造では、初の県民衛星で話題になった福井県の企業が大きく貢献しました。中須賀先生が着ているジャンパーはJAXAのロケットSS-520 5号で打ち上げた超小型衛星「たすき」プロジェクトのもの

ダイハードな卫星を目指せ

「一番重要なのは、何かあっても機能を完全には失わないこと。いつも学生に言うのは、「ダイハードな卫星を目指せ」です」

前回大会時は3歳。マラソンの金メダリストの走りに興奮し、「アベベ ! アベベ ! 」と叫びながら走り回ったという中須賀先生。今大会に向けては、ロケットの打ち上げ、ISSからの放出、ガンプラの展開、応援メッセージ表示、目に仕込んだ5色のLEDの点灯、首の稼動、アムロとシャアの会話を傍受できる特別企画実施と、緊張の瞬間が続きます。衛星の動作を確認して興奮することはあっても、競技の観戦で走り回ることはないでしょう。

「高校ではテニス部を创设し、大学では野球の総长杯で3位になったこともあり、スポーツは昔から大好き。今大会も、久々に復活した野球や、男女の体操竞技などが楽しみです」

卫星开発の现场で日々指挥を执る一方、内阁府の宇宙政策委员会で委员を务めている中须贺先生。そこで议论しているという日本の宇宙开発の未来を见据えた话题の中に、今プロジェクトを引き受けたもう一つの理由がありました。

「これまでは卫星开発の技术を重视する倾向が强かったと思いますが、今后は卫星をどう利用するかもよく考えるべきです。かつてコンピュータは限られた人のものでしたが、パソコンの登场で敷居が下がり、新しい使い方が生まれて大発展しました。同じことは宇宙开発にもあてはまるはずで、活用の有望分野の一つにエンターテイメントがある。ガンダム卫星はその好例になると思っています」

1年后。役目を终えたガンダム卫星は大気圏に突入して燃え尽きる予定ですが、宇宙开発の新次元に突入する中须贺先生のエネルギーは、燃え尽きることなどないでしょう。

 

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