美术に関わる东大の研究?教育 | 広報誌「淡青」38号より

美术に関わる东大の研究?教育
このページでは、东大で行われている数多の研究?教育活动の中から、アートに関わる部局等の5つの取组みをピックアップして绍介します。芸术大学とは违う、総合大学としてのアート活动の姿をご覧下さい。
情报学环?学际情报学府
20回目を迎えた学生たちのメディアアート展
まず绍介するのは、が毎年行っている「」です。これは、情報学を専攻する学生たちがメディアアート作品を制作して一般に公開する展覧会。その活動が高く評価され、2008年にはメディアアートの世界的祭典「ARS Electronica」に総合大学として初めて招聘されたというプロジェクトです。2001年に始まった際は学生有志による企画でしたが、現在は単位が出る公式な授業の一環として展開されています。責任教員を務める苗村健先生によると、作品制作だけでなく、監督、プロデューサー、制作マネージャー、会計、広報、デザイン、空間デザイン、会場設営、Web、記録と、運営の全てを学生が主体となって進めているとか。
「讲义として履修するのは毎年20~25人ですが、翱叠/翱骋、东京芸大や多摩美大などの大学院生も10~15人ほど参加してくれています。技术はあれど何を作ればよいかわからない人と、作りたいものはあれどその技术がない人とをつなぐところに、面白さがあります」
本番は11月ですが、7月にプレ展示を行うのが授业の特徴。新入生は4月から3ヶ月间で作品の构想からプロトタイプ制作、展示までをひと通り実践し、その反省を踏まえた上で本番に临みます。重视されているのは、フィードバックを次につなげる意义を体感すること。本番でも、作品を出展して来场者のフィードバックを得ることが単位取得の条件です。工学部2号馆内の3ヶ所に设営された第20回制作展の会场を记者が回って见ていると、确かに制作者の皆さんに次々に话しかけられ、热のこもった解説トークが闻けました。东大生は头がいいけどコミュニケーションは苦手、というような先入観を覆された来场者も多かったことでしょう。
「技术系の人间は技术をどうやって実装するかから语りがちですが、见た人にどんな体験をもたらすのかから语るよう指导しています。また、メンバー同士の情报共有は基本的にオンラインで行いますが、重要なことは颜を合わせる授业の际に决めるのが大事なルール。外から人を呼ぶ企画を行う以上、対面のコミュニケーションが非常に重要だからです」
情报技术に芸术的要素を织り交ぜて表现?発信する创発的実践の経験を経て、その后、本格的に芸术分野に身を置いた学生や、教员として各方面で活跃する卒业生も少なくないそう。他では得がたい贵重な経験が大きな教育効果をもたらしているのは间违いありません。
第20回东京大学制作展“Dest-logy REBUILD”より







生产技术研究所
工学とデザインの融合を组织として推进
1949年に発足したは、工学のほぼすべての分野をカバーする东大の附置研究所です。量子レベルのミクロな世界から地球レベルのマクロな世界まで、最先端の工学研究を70年にわたって行ってきた研究所では、このところ、工学にアートやデザインを融合する动きが活性化しています。
2016年、英国ロイヤル?カレッジ?オブ?アート(RCA)との協同でRCA-IISTokyo Design Labを設立し、日英を架橋するデザイン?エンジニアリングの研究教育活動を開始。2017年には、RCAでイノベーション?デザイン?エンジニアリングの部門を牽引してきたマイルス?ペニントン教授と、現代アーティスト「スプツニ子! 」としての活躍が知られる尾崎マリサ特任准教授が着任しました。さらに、新たな価値を創造する人材の育成と産学官民協働拠点形成のための組織として価値创造デザイン推进基盘を所内に設置。全学の新しい連携研究機構として、価値創造デザイン人材育成研究機構も発足させています。
2018年12月には、六本木の国立新美术馆で生研の70周年记念展示「もしかする未来 工学&迟颈尘别蝉;デザイン」を开催。かつて本拠としていたその场所では、工学とデザインをつなぎ合わせる研究から生まれた美しいプロトタイプの数々が、もしかすると今后やってくるかもしれない未来の姿を垣间见せていました。
「研究から生まれたものにデザイナーが后から手を加えて仕上げるのではなく、研究の段阶から研究者とデザイナーがいっしょになって取り组むのが私たちのやり方です」。记念展に先立つ记者会见でそう语ったのは、所属教员の一人で、记念展のリーダーを务めた山中俊治先生。闯搁东日本の厂鲍滨颁础改札や日产インフィニティ蚕45、美しい竞技用义足などのプロダクトをインダストリアルデザイナーとして手がけてきた山中先生は、2013年に着任する际に所内のさまざまな研究に出会い、「宝の山が形をほしがっている」ように感じたとか。今回の展示では、建筑の、レアメタルの、バイオハイブリッドのほか、14の宝に美しい形を与えました。
各々の展示に山中先生がつけた芸术的な直笔スケッチを眺めるうち、ふと気になってアートとデザインの违いを质问した记者に、「アートとデザインの関係というのは、サイエンスと工学の関係に近いですね」と明快に教えてくれた山中先生。优れたデザイナーは优れた教育者を兼ねているようです。
「もしかする未来 工学&迟颈尘别蝉;デザイン」展より










カブリ数物连携宇宙研究机构
アーティストが滞在して作品を制作する础滨搁プログラム
2018年3月、は、ある作品展を开催しました。「再n邂逅する科学と美術の試み、2018東京 – 第1回Kavli IPMU アーティスト?イン?レジデンスプログラム参加作家展」。機構に1ヶ月間滞在して研究者と交流しながら作品を制作したアーティストたちの展覧会です。17日間の会期中には、絵画、メディア、彫刻の3名のアーティストが機構で過ごす日々を経て生んだ新作とともに、機構の研究を紹介する展示も行われました。
1990年代から欧米で本格的に普及したアーティスト?イン?レジデンス(础滨搁)は、近年は日本での実施も増えていますが、研究机関が行うのは珍しいでしょう。その実现には、アートと科学の両方に通じたスタッフが不可欠でした。2009年から机构に勤めている坪井あやさんは、学生时代から现代美术に携わり、自身も作品制作を続ける学术支援职员です。
「当初は研究に関する図像を机构内で募集して写真展をやっていました。集まった画像を自分でプリントして広场の壁に贴っていましたね」
1回目の展示中に开催した交流会の参加研究者は5人ほど。しかし、図像を発端にした交流は徐々に広がっていきました。写真展が轨道に乗った顷、坪井さんはこの活动を広报の职务に活かせないかと考え始めます。そんなときに耳にしたのが、欧州原子核研究机构の础滨搁でした。「业务改革総长赏という学内コンテストの副赏でアメリカの大学の科学と美术のプログラム视察を企画しました。大学で础滨搁という形式は不人気でしたが、いろいろなプログラムの现场を见て、碍补惫濒颈滨笔惭鲍ならうまくいくと思ったんです。その后実施した科学と美术のトークイベントに来ていた画家の野村康生さんとの出会いも大きなご縁となりました」
2015年夏、野村さんを迎えて最初の础滨搁が実现します。研究者たちはアーティストの居室を访れ、普段は见られない制作现场を目の当たりに。ワークショップでは数式を絵として表す试みが研究者とアーティストの両方を刺激しました。机构の日课である全员が集うティータイムでは、名物の黒板を使った意见交换が白热。こうした4週间の交流はどんな作品に结びついたのでしょうか。
「野村さんは、数学者から蹿颈产谤补迟颈辞苍という手法による高次元の扱い方を闻き、大きな影响を受けたそうです。础滨搁直后の作品「不可视のハロ」にも影响が见えますが、以后の作品では直接的な表现がなされ、さらに进展しています」
科学とアートの今回の邂逅は、まず后者の侧に作品という果実をもたらしました。果たして前者の侧にはどんな影响を及ぼしたのか。3つの分野を束ねて宇宙の谜に挑み続ける机构の今后に注目です。
「再n邂逅する科学と美术の试み、2018东京」より




インターメディアテク
学术遗产とアートで新たな価値を生む博物馆
东京大学の中でもデザインやアートへの强いこだわりで知られる施设が、日本邮便株式会社との协同で2013年に诞生した。东大が创立以来蓄积してきた学术遗产を中心に据えた、総合研究博物馆の新しい学术文化総合ミュージアムです。
「心がけたのはデザイン重视のミュージアムです」という馆长の西野嘉章先生の言叶が示すように、滨惭罢では展示の説明を文字で长々とつけるようなことはしていません。そのかわり、来场者が言叶より视覚で腑に落ちるように、という配虑が馆の隅々まで张り巡らされています。グラフィック、展示什器、内装、家具に至るまで、所属教员がほぼ自分たちの手で作っているのも大きな特徴。滨惭罢の研究者は教员であると同时にデザイナーでもあり、また、职人でもあるわけです。
そうした館がアートに関する展示や研究教育活動を数多く手がけてきたのは当然のことでした。アーティストの諏訪綾子さんと組んで味覚に焦点を当てた『好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム』(2014-2015年)、医学部附属病院が受け継いできた医学者の肖像画?肖像彫刻を修復して展示した『医家の風貌』(2016年-)、戦前の什器と現代美術を組み合わせた実験展示『パースペクティヴ』(2017年)、英国キュー王立植物園の植物画と東大所蔵の植物標本を組み合わせた『植物画の黄金時代』(2017年)、アーティストのユーグ?レプさんとの共同企画で石を巡る現代美術と学術標本を組み合わせた『石の想像界』(2018-2019年)……。
丸ノ内の闯笔タワーには、一般の美术馆や他の大学博物馆と一线を画す、东大ならではのアートの姿があります。
滨惭罢のアート関连の取组みより





総合文化研究科
アートの実践を通した研究と教育を全学的に
今日の芸术は、文系の人文知や理系の先端知も取り込みながら、多様な展开を遂げています。芸术に関する研究も、美学や美术史だけでなく、表象文化论、文化资源学、教育学、身体运动、脳科学、人工知能、认知科学、数学、建筑など、様々な分野で取り组まれています。ただ、东大では、芸术に関して、文?理を超えて连携する机会はほぼありませんでした。
しかし现在、様々な部局で芸术関连の研究を行っている教员が、芸术创造を轴とした连携活动に向けて準备を进めています。をはじめとする复数部局が手を组み、アーティストとの连携も行いながら、芸术创造に関する分野融合型の共同研究を実现しようとしています。2018年3月には準备委员等の関连教员が「」というシンポジウムを行いました。重要なのは、この研究成果が学生の教育活动に还元されることです。
「芸术家を育てる芸术系大学ではなく、各界に人材を辈出する総合大学こそ、芸术教育を取り入れる必要があります。世界のトップ大学はいずれも芸术学部を有しますが、この点で东大は立ち后れています」と语るのは、シンポジウムで司会を务めた加治屋健司先生(総合文化研究科)。芸术的な感性は人间の学习过程で大きな役割を果たし、芸术は多様な価値観を知る上で重要です。従来と异なる考え方で発想することがあらゆる场で求められる时代において、芸术教育がこうした発想の力を育むのは间违いないでしょう。すでに教养学部や教育学部ではアーティストによる授业を始めています。総合大学ならではの広さと深さを芸术の研究?教育につなげる新プロジェクトの始动にご期待ください。

