サイエンスへの招待/寿命は何が決めるのか | 広報誌「淡青」37号より


遗伝学研究者が教える长生きのヒント
寿命は何が决めるのか?
生き物の寿命はどのように决まっているのか。长く生きるにはどうしたらいいのか。谁もが気になる问いを考える上でのヒントを、寿命を延ばす「长寿遗伝子」の谜を解明してきた小林先生が、见た目も名前も非常に気になるネズミを例に、やさしく解説してくれました。
![]() 教授 |

(写真1) 一般的なネズミ
単独生活。警戒心が强く常にちょこまか逃げ回る。寿命2年。
世の中にはアンチエイジングや老化防止を謳った商品が溢れています。それらの効果はさておき、日本人の平均寿命はこの100年間で30年以上伸びているのをご存知でしょうか? もちろんこんな短期間に寿命が急激に延びた生き物は他にはいません。生き物の寿命は一体どのように決まっているのでしょうか。ヒトの寿命はこれから先、何歳まで延びるのでしょうか。
2016年に「ネイチャー」という科学雑誌にヒトの最大寿命についての研究论文が掲载されました。それによると115歳以上生きるのはかなり难しいようです。世界的にみても平均寿命は徐々に延びていますが、115歳以上の生存率はほとんど変わっていないそうです。日本人に限ってみても、100歳以上の人口は毎年2千人近く増加し、现在7万人に迫る势いですが、确かに115歳を超えた人は、これまで10名程度でほとんど増えていません。ここの辺に限界がありそうだという説には説得力があります。それではヒトを含めた生き物の寿命はどのように决まっているのでしょうか?
それを考える上で寿命が変化した生き物を调べてみるのが有効でしょう。まずは日本人。日本を世界有数の长寿国にした主な要因は、栄养状态と公众卫生の改善が大きいと考えられています。これにより乳幼児や若年层の死亡率が激减しました。つまり日本人の寿命を延ばしたのはその生活环境を整えた社会制度ということができます。
寿命が延びた例として、进化レベルの长い期间で考えるともっとすごいのがいます。その名は裸(体毛が少ない)で出っ歯な容姿から、そのまま「ハダカデバネズミ」(以下「デバ」)という残念な名前が付けられてしまった体长10センチほどのネズミの仲间です。デバはアフリカソマリアの砂漠の地中で20~80匹の集団で暮らしています。ハツカネズミなどの小型のネズミの寿命は长くても3年くらいですが、デバはなんと30年近くも生きます。一般的なネズミと容姿以外で一番违うのは、デバは真社会性の社会构造を持っている点です。1つの集団で女王ネズミ(一匹)のみが出产をし、他は子育て、巣の防卫、穴掘り、饵の调达などの役割を分担しています。もちろん一般的なネズミは出产、子育て、饵取りなどすべてを単独でこなします(写真1)。日本でもデバを上野动物园で见ることができます。巣穴を见てすぐに気づくことは、多くのデバがゴローンと寝ていて何もしていないことです(写真2)。これは饲育されているからでなく、野生デバも同じです。それともう1つデバのすごい特徴は、彼らは决してがんにならないということです。

(写真2) ハダカデバネズミ(上野动物园)
真社会性、集団で生活。ゴロゴロ寝ている个体が多く警戒心はあまり感じられない。寿命30年。

(写真3) ヒト(日本の研究者)
社会性、家族で生活。日々あくせく働く。雑务多し。ストレス结构あり。寿命?年。
さて、贤明なみなさんは、もうお気づきのことと思いますが、「社会」というのは本来分业と协力により、ストレスを减少させ、お互いの生存を有利にします。これはデバもヒトも同じです。それによって寿命が延び、得られた时间を利用して老から若への知恵の継承が可能となり、さらに成熟した社会を形成することができるのです。
ストレスのためすぎにはご注意を(写真3)。

小林先生の着书
『寿命はなぜ决まっているのか~
长生き遗伝子のヒミツ~』
(岩波ジュニア新书/2016年刊)