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獣医学とゲノム学と情报学の融合から生まれたネコゲノム解析プラットフォーム|広报誌「淡青」37号より

掲载日:2018年11月13日

獣医学とゲノム学と情报学の融合から生まれた

ネコゲノム解析プラットフォーム

約250種の遺伝疾患をヒトと共有し、次世代型疾患モデル動物としても注目されるネコ。 獣医として多くの動物を看取った経験を持つ渡邊先生は、獣医時代にできなかった遺伝疾患の治療を目指して、ヒトへの応用も見据えながら、 ネコゲノム解析の研究を続けています。

猫と遗伝学

渡边学
Manabu Watanabe

准教授

次世代型シークエンサーと折れ耳のネコ(の置物)が研究室を支えています。

白金台キャンパスにある渡边先生の研究室で进められている研究の一つが、伴侣动物のゲノム解析です。塩基配列を短时间で大量に解読できる次世代型シークエンサーで确立したというイヌ?ネコのゲノム解析プラットフォームとは、どんなものなのでしょうか。

「リファレンスゲノムという、ネコならネコで基準となるゲノム配列があります。これと、调べたいネコの血液やがんなどの病気の组织から取ったゲノムデータを照合し、违いがある部分を比べると、遗伝疾患やがんの原因がわかったり、毛の长さや色といった个体の形质を决める特定の遗伝子がわかったりします。ヒトゲノムの解析は幅広く开発されていますが、イヌ?ネコゲノムに特化したシステムというのはなかったんです」。

ほ乳类では、ヒト、チンパンジー、マウス、ラット、ウシに続き、2005年にイヌ、2007年にネコで全ゲノムが解読されました。ネコではミズーリ大学の研究チームが饲っていた「シナモン」というアビシニアンのデータがリファレンスゲノムとなっています。たとえば、键の形が変わったり途中で欠けたりして键穴に入らなくなり、键が开かなくなるように、ゲノムの配列が少し変わっただけで、体内の重要な役割を担っていた部品が机能しなくなる、というのが遗伝性疾患のイメージ。伴侣动物のゲノム?血液?疾患リソース収集ネットワークを作成し、次世代型シークエンサーを用いたゲノム解読から専用に开発されたソフトウェアによるゲノム解析までの一连のシステムを构筑するには、コンピュータ、ゲノム学、分子生物学、獣医学などをよく知る必要があります。

「私は獣医学の出身で、ぼろぼろになって死んでいくかわいそうな动物をたくさん见てきました。獣医というのは、普通のケガは治せても遗伝性疾患は治せません。ゲノムの病気の诊断?治疗はゲノム解析なしには始まらないんです。コンピュータは苦手でしたが、入った研究室がたまたまシークエンサーを使うところだったので、自然と身近な存在になりましたね。ウェットな临床の世界とドライな情报の世界の両方に亲しんできたことが、今の自分につながっていると思います」。

渡边先生の研究室には、日本盲导犬协会のポスターや、ネコのマグネットなど、动物に関わるアイテムがちらほら。中でも一番印象的なのは、腰が抜けた中年男性のような座り方が気になるネコの置物です。

「うちのマスコットのスコティッシュフォールドです。名前の通りの折れ耳と、他の品种では见られない「スコ座り」と呼ばれる独特な姿势で、人気が高いですね。ただ、実は遗伝的な问题を抱えた品种でもあります」。

この品种の耳が折れた个体同士の交配では高い确率で重大な骨の疾患が発现することが判明しているそうです。「ネコのゲノム解析プラットフォームで研究を进めて、骨の疾患に悩む仲间を减らしてくれよニャ」。定位置に「スコ座り」しながら研究室を见下ろすおっさんのようなネコが、そんなふうにつぶやいているようでした。

ヤマネコからイエネコへ

2007年、各地に生息するヤマネコとイエネコのDNAサンプル979例の分子系統樹分類解析により、中東に生息するリビアヤマネコがイエネコの起源であることが判明しました(Driscoll CA et al., Science. 2007 317(5837):519 -523)。リビアヤマネコ のヒトになつきやすい気質と、生息地周辺にヒトの文明があったことが理由だと考えられています。

リビアヤマネコ
(肠肠)厂辞苍别濒濒别

My Cat

イエネコ
宫崎帰省时に道で弱っていたのを见つけて助けたのが縁で渡边家の饲い猫となった「にゃんこ先生」。16歳で天寿を全うしました。

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