哲学と科学の対话 东京フォーラム2022开催。科学だけでは対応できない21世纪の诸问题解决に、哲学が重要な役割を果たすと强调
东京フォーラム2022が12月1日(木)と2日(金)、「哲学と科学の対话:戦争とパンデミックそして気候変動に直面する世界の中で」をテーマに、東京大学と韓国Chey Institute for Advanced Studies の共催で開かれました。世界中から30名余りが登壇し、「未曾有の健康危機や环境危機に直面する21世紀では、哲学と科学の対话を通じて、科学だけでは解決できない重要課題に取り組む必要がある」との認識が示されました。
今回の会议は、安田讲堂でオフラインとオンライン配信によるハイブリッド形式で开催。开会の挨拶で、藤井辉夫?东大総长は、「21世纪の『哲学』には、世界に広がる地域性と多様性に基づく新しい『普遍』を构筑することが求められます。人间中心主义を无反省に普遍と考えてきた歴史を批判し、生态系や自然など人间以外の他者との共生に开かれた普遍でなければなりません」と述べ、2日间の议论を方向づけました。さらに、「21世纪の『科学』もまた、自らを批判する态度を欠いた科学至上主义から脱却し、自らの限界を认识する努力が求められています。それは、科学にとって伦理とは何かを改めて问い直すことでもあるのではないでしょうか」と、科学にも変革を求めました。
また、チェ?テウォン韩国厂碍グループ会长は、「今日、我々は出口が见えない、暗いトンネルの中にあります」と、人类が直面する课题に対して危机感を共有しました。その上で、「広い心で违いを认めることを学び、より柔软で多様、そして型にはまらない思考で、现実的な解决策を探る」必要性を説きました。
基调讲演では、第8代国连事务総长の潘基文氏、総合研究大学院大学の长谷川眞理子学长、シカゴ大学のポール?アリヴィサトス学长がそれぞれ、科学技术が急速に进展する中での哲学の役割について示唆に富む议论を展开しました。
「新しい启蒙」が不可欠
1日目に开催されたハイレベルトークセッションでは、ボン大学のマルクス?ガブリエル教授が「新しい启蒙」の必要性を力説しました。新しい启蒙とは、今日、我々が直面する未曾有の困难に挑むために、人类が协働する伦理的枠组みを形作るものです。
「新しい启蒙の时代は今まさに始まろうとしている、と私は考えます。新しい启蒙とは『正しい行动とは何か』を理解し、また明らかに今、危机的状况にある『社会?自然环境の复雑なシステムをめぐる规范性』を理解しながら、人类の协力や、哲学、科学の新しいあり方をもたらすものです」と、ガブリエル教授は中継先のドイツ?ハンブルクから述べました。
ガブリエル教授はさらに、普遍性は新しい启蒙の重要要素の一つであり、ボトムアップ(细部を积み重ねて全体を构成する)で形成されなければならない、と述べました。「人类生物学によると、我々は社会性がある动物。高いレベルの协働が行われている状况で最も繁栄します。それがあるからこそ、地政学的紧张や异なる(人々や国々などの)アイデンティティ间の争いを乗り越えることができるのです。ですから、新しい普遍は各地域间の文化的な违いを勘案して、ボトムアップで形成されなければならないのです」
ハイレベルトークセッションでは、「哲学と科学の対话――新しい啓蒙に向かって」のテーマで、掘り下げた議論が展開されました。ガブリエル教授のほか、ソウル大学校哲学科のイ?ソクチェ教授、東大カブリ数物連携宇宙研究機構長の大栗博司教授、東大教育学研究科の隠岐さや香教授が参加しました。モデレーターは、東大東洋文化研究所の中島隆博教授が、ハンブルクからリモートで務めました。
一方、イ教授は、世界を席巻する韩流文化を例に挙げ、「新しいタイプのつながりや一体化」、または「新しいローカルな普遍」の存在について语りました。「(エミー赏を受赏した韩国のドラマシリーズ)『イカゲーム』を见ると、韩国社会内で起こっている现象を表现しているに过ぎないのです。しかし、そこに现れているテーマや问题は、韩国のみのものではなく、世界中どこにでも共通するものなのです。そのような普遍性が、ローカルな文脉に埋め込まれているのがとても面白い点です」
変迁する哲学と科学の関係
同セッションでの哲学者や科学者の议论を踏まえ、隠岐教授は「哲学と科学の関係は、过去数世纪の中で変迁してきた」と、科学史家として歴史的视点を披沥しました。17~18世纪のヨーロッパで起きた知的?哲学的运动である「启蒙主义」の时代では、哲学と科学は分かれた学问ではありませんでした。例えば、英国の物理学者?数学者であるアイザック?ニュートン(1643-1727)は、自身を「自然哲学者」とみなしていました。しかし、启蒙主义が终わりを告げると、哲学と科学は分岐し、ドイツの哲学者イマヌエル?カント(1724-1804)が「科学者は特定の分野で狭い视点で活动し、自身の研究の道徳性に无顿着になっている」と観察するまでになっています。
隠岐教授は、「19世纪になると、哲学の役割は大幅に减り、その状态が20世纪半ばまで続きました」と説明。20世纪后半になり、伦理、文化、社会などの要素を含むトランス?サイエンス(科学に问うことができるが、科学では答えることができない)问题が顕在化すると、哲学、特に伦理的思考の重要性が再确认されました。「トランス?サイエンスの问题は科学だけでは解决できませんが、科学抜きでは取り组めないのです」
多様で违いのある人々の间の対话が必要
哲学と科学の対话のテーマは、会議2日目に行われた「世界哲学は世界の諸危機とどう対決するのか」と題したパネルセッション2でも取り上げられました。同セッションのモデレーターを務めた、東大人文社会系研究科の納富信留教授からは、テーマにある「世界哲学」とは、2018年に始まった日本のプロジェクトで、科学、文化や日常にある知識を集結するものだ、との説明がありました。
同セッションで、ボストンカレッジ哲学科のダーモット?モラン教授は、人类が抱える课题に取り组む上での哲学の役割を次のように定义しました。「混乱、不寛容、不正、野蛮行為に直面して、哲学者の役割は、その职务を全うし続け、暗闇の中の光になり、対话の扉を闭ざすことなく、他者や面识のない人々に対话を呼びかけ、新しい梦、目标、概念、価値を促进させることです」。さらに、モラン教授は、「我々が共通の人间性を持ち、共に地球に依存しているという强い気持ちを人々の心に植え付けるのも哲学の役割です。我々が、地球上で脆弱な存在であるということ、人类や地球全体に対して责任があるということを、広く一般に认めさせることが必要なのです」と语りました。
モラン教授が西洋の视点から哲学の役割を洞察した一方、アジアの立场から2名の哲学者が见解を述べました。韩国?梨花女子大学のキム?ヘスク名誉教授は、「人类は、アジア人や女性の视点も含めた认识论的视座から、さまざまな种类と形の合理性にもっと注意を向けるべきだ」と语りました。さらに、「技术を操る者から隠れて见えない、取り残された人々に配虑した弁証法的思考を持たなければなりません。哲学者と、技术者を含む科学者は予期せぬ问题を解决するために协力するしかないのです」と続けました。
タイのチュラロンコン大学哲学科のスワナ?サタ?アナンド教授は、「存在を直视する上で釈迦が正しい见方とした『正観』が、根强い不信感が漂う时代を进むときにコンパスになる」と绍介しました。
环境危机や础滨の普及にどう対応するか
2日间にわたる会议では、科学技术の进展がもたらした、気候変动や生物多様性の损失など深刻な问题のほか、人工知能(础滨)やロボット工学の出现についても议论がありました。
1日目のパネルディスカッション1は、「世界共通価値としてのグローバル?コモンズの责任ある管理」のテーマで、环境危机について3年続けて议论を展开しました。同セッションも含め、会议を通じて明らかになった认识は、「人类の环境危机に対する対応は不十分」だということでした。
同セッションのモデレーターを务めた、东京大学グローバル?コモンズ?センター?ダイレクターを兼务する石井菜穂子?东大理事も危机感を强く持つ一人です。2022年11月にエジプトのシャルム?エル?シェイクで开催された国连気候変动枠组条约第27回缔约国会议(颁翱笔27)で、グテレス国连事务総长は、「我々は『気候変动地狱』への高速道路を、アクセルを踏んだまま走っている」と発言しました。この警告を引用し、石井理事は「地球温暖化への対応が胶着状态に陥っているが、これを打开する『イネーブラー(别苍补产濒别谤:目的达成を可能にする人や组织?手段)』が必要だ」と强调しました。
この発言を受け、韩国の延世大学校国际学研究科のジョン?テヨン教授は、「気候変动への対応は今まで公的机関が担ってきましたが、资金的、人的资源がより豊富な民间部门こそが、この役割を担うべきなのです」と応じました。さらに、同セッションでは、持続可能な开発を実现するために、先进国の経済活动により损失と损害を被る発展途上国への対策を呼びかけました。例えば、食粮や水、エネルギー、インフラなどの世界の资源を再分配する必要性や、低金利融资を提供する紧急性などが指摘されました。
気候変动の问题は、2日目のパネルディスカッション5でも「安全保障と気候変动の复合课题――相互作用を理解し対応策を展望する」のテーマで引き続き议论されました。多岐に渡る议论では、米中の対立など地政学的要素や、环境问题解决を难しくする资本主义システムの欠陥について言及があったほか、哲学の知を借りて「良い生活とは何か」を再定义する必要性について発言がありました。
科学の発展で损なわれた生物多様性については、パネルディスカッション3(2日目)で取り上げられました。「持続可能な将来への社会変容に向けて:自然や自然がもたらすものの多様な価値への理解」をテーマに、生物多様性など自然の価値を认识する必要性が论じられました。なお、生物多様性は、プラネタリーバウンダリー(环境学者らが提唱した、地球の安定性と自然に回復する力を维持する上で最も重要な9つのシステム)の一つで、人间活动がこれらのシステムの限界値を超えた场合、地球环境に不可逆的な変化が起きる可能性があるとされています。
パネルディスカッション4(2日目)では、「ロボットや础滨と歩むこれからの社会はどうなる? 人间を超えた経済?エコロジー?政治」のテーマで、人类がいかにロボットや础滨と共生できるかを论じました。ロボットと础滨は近年、技术の进展が目覚ましく、便利になった一方、难しい社会问题も表面化しています。东北大学大学院工学研究科の原山优子名誉教授は、「型にはまらない発想と想像力を発挥することが、人类が自身と础滨とを差别化することにつながり、协调して共存できるようになる」と発言しました。
ラップアップセッションでは、各セッションのモデレーターが议论の総括を行いました。それを踏まえ、藤井総长は、「东京大学のような学术机関は、さまざまな人が互いに有意义な対话を行い、真の知识を生み出し、真の科学を振兴する场でなくてはなりません」と述べました。さらに、「次回の东京フォーラムも、地球と人间社会の未来についてポジティブで建设的な议论が行われることを期待しています」と述べ、会议を缔めくくりました。
东京フォーラムは、世界、人類のあり方を探る議論を活発に行うために、「Shaping the Future (未来を形作る)」を包括テーマとして開催され、2022年の会議が4回目になりました。