地球环境危机を救う犹予は10年 12月3、4日 东京フォーラム2020オンラインで専门家が警鐘、「社会経済构造の変革」诉える
レジリエンス(変化に适応する力)を持ち、安定的な地球システムの下、人类は过去约1.2万年间に文明を発展させ、今日の経済発展を謳歌してきました。しかし、现在の生活様式や経済活动を継続すれば、今世纪后半まで人类の繁栄を维持することはできない、と専门家や科学者は厳粛に警告を発しています。不可逆的な环境の壊灭を回避するために私たちに残された犹予は、実际には10年しかないと言うのです。
この危機感を共有したのが、クリスティアナ?フィゲレス前国連気候変動枠組条約事務局長(Global Optimism共同創立者)です。「我々が(地球の)未来に影響力を行使できるのは、あと10年しかないということをはっきり申し上げたい。恐ろしいことに、2030年以降、我々はプロセスへの影響力を失い、その後は何をやっても大して意味はない。(地球环境)は完全に制御不能に陥り、どんな手段を使っても無駄ということになります」と警鐘を鳴らしました。
この率直な危機感が表明されたのは、日本、韓国、アフリカ、欧州、米国など世界各国の著名な研究者、経営者、政策立案者、环境問題専門家らをオンラインでつないで、12月3、4日の2日間開催された「东京フォーラム2020オンライン」の初日です。东京フォーラムは、東京大学と韓国の学術振興財団Chey Institute for Advanced Studiesの共催で、「Shaping the Future (未来を形作る)」を包括テーマに2019年から始まりました。
人类は、歴史上の运命の分かれ道に立っているのです。20世纪中盘からの人间活动が、地球に巨大な负荷をかけ、そのシステムのレジリエンスと安定性に深刻な负の影响を与えています。现在频発する极端な気象や、新型コロナウイルス感染症などの人獣共通感染症などが示すように、「人类が现在の繁栄を未来永劫に维持することはできなくなる、地球システムの転换点は间近にある」と専门家は伝えています。
この切迫感を受けて、今年の东京フォーラムは「Global Commons Stewardship in the Anthropocene (人新世における人類共有の地球环境、グローバル?コモンズの管理責任)」をテーマに開催されました。今回のテーマは、「人類の生活は、レジリエンスを持ち、安定的な地球システムによって支えられていること」「我々の発展の礎になっているのが気候、森林、大地、水、海洋などのグローバル?コモンズだということ」への理解を深めること、そして我々が今何をすべきかを議論するために掲げられました。20世紀中盤からの経済社会のあり方が、地球システムの許容範囲の極限まで負荷をかけています。気候変動と生物多様性の喪失は、経済システムと地球システムの衝突によって引き起こされた現象です。地質学者が唱えるように、人類は約1.2万年間の完新世と呼ばれる地質時代を終え、「人新世(Anthropocene)」に突入したのです。
会议の冒头、五神真総长は、「人类は、地球システムの机能を変化させた最初の生物种です。人类が今后とも持続的に繁栄するためには、その基盘である安定的でレジリエントな地球システム――すなわちグローバル?コモンズ――を守る必要があり、そのためには现在の経済モデルの构造全体を変革しなくてはなりません」と、危机への认识を表明しました。
世界は、この环境危機に対して、手をこまねいているわけではありません。国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)や、地球温暖化対策のために合意されたパリ協定、企業が長期的な成長を可能にするために用いる企業評価項目ESG (Environmental, Social, Governance: 环境、社会、ガバナンス)などが、世界的な取り組みの例です。しかし、国家や企業の短期的な利益が優先される傾向にあり、解決への道のりは険しいものになっています。
コロンビア大学のジェフリー?サックス教授は、基调讲演で世界的な取り组みの课题について述べています。「一国主义ではなく、人类は団结しなければなりません。これはグローバル?コモンズにおける挑戦です。统治と社会の调和が必要ですし、知识や科学に基づいて行动しなければなりません」
解决への道に向け、课题を特定する
东京大学理事で、2020年8月に设立された「グローバル?コモンズ?センター(颁骋颁)」初代ダイレクターに就任した石井菜穂子教授は、今回の会议でコンテンツ?プロデューサーを务めました。石井教授によると、会议の目的は、未曾有の危机に取り组むには、対応のスケールとスピードが必要だと认识すること、グローバル?コモンズを保护する「経路」を実现するために「欠落しているピース」を特定することです。会议では、シナリオ?モデリングや、新たに作成された「グローバル?コモンズ?スチュワードシップ指标」など、欠けているピースを埋めるためのツールが绍介され、社会経済构造の変革に向けた様々なステークホルダーの连携を构筑する机会となりました。
これらの経路を特定し、実际に行动に移すことは困难を伴いますが、参加した多くの専门家は、特に金融やビジネスの分野で希望を持てる状况にあると述べました。
Chey Instituteを設立したSKグループを率いるチェ?テウォン会長は、「环境に優しい商慣行、社会価値の創造、信頼を勝ち得るガバナンスは、(ビジネスの)生き残りにとって重要です。事実、今日の投資基準は企業行動に変化を強いています。企業のESG実績がビジネスの長期的な成功に最大の影響を与えることも、今日のステークホルダーや投資家は十分理解しています」と、開会挨拶で語りました。
フィゲレス前事务局长は、投资会社の多くは、石炭関连への投资を停止し、石油ガス関连の投资に慎重になっていると述べ、持続可能な発展に寄与する可能性がある、金融セクターでの肯定的な兆しについて触れました。「现在、中国の中央银行をはじめ、世界18か国の中央银行が自国経済に対する気候変动ストレステストを実施しています。人类が直面する危机に対して、金融セクターが理解を示し始めたのです」
地球システムへの负荷を减らすことはビジネスチャンスにもなると强调したのは、国际商业会议所名誉会长を务めるポール?ポールマン元ユニリーバ颁贰翱です。「今、持続可能な开発目标が必要としているのはビジネスです。(厂顿骋蝉の)17の目标と169のターゲットを分析しましたが、その85パーセントにはビジネスの関与が必要ということが判明しました。また、ビジネスにとっても厂顿骋蝉は必要なものだと考えています」
政治が主导的役割を
しかし、个々の公司に出来ることには限界があり、产业界全体による公司行动改革、グローバル?コモンズ保护に向けた各国政府による适切な枠组み策定など、本腰を入れた対応が必要だと、ポールマン名誉会长は指摘します。
フォーラム参加者は、菅义伟首相やムン?ジェイン韩国大统领などが2020年に表明したカーボン?ニュートラル(二酸化炭素の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状态)达成への国际的な流れを歓迎しました。日本、韩国は2050年までに达成すると宣言したのに対して、最大排出国である中国は2060年までに达成するとしています。また、ジョー?バイデン米次期大统领も、ドナルド?トランプ大统领の政策を転换し、2050年までに二酸化炭素排出量を実质ゼロにする気候変动计画を発表しています。
しかし、石井教授は、手放しで楽観はできないと言います。「今世纪半ばまでにカーボン?ニュートラルを达成すると公约した国の排出する温室効果ガスが、全体の70パーセント弱を占めているのは素晴らしいことです。问题は、どのような手段で(カーボン?ニュートラルを)达成できるかを我々は本当に理解しているか、ということです。明日から、消费者、投资家または経営者として、どのように行动を変化させるか。これは、(炭素削减)公约を达成して真の経路を前进させるために欠落している、重要なピースの一つです」
グローバル?コモンズの管理という大きなビジョンの実现のため、欠落しているピースを补って、その実现を轨道に载せるために设立されたのが颁骋颁です。今世纪半ばまでに地球上のすべてのステークホルダーがグローバル?コモンズの管理责任を负う、统合的な枠组みを作ることが颁骋颁の目的です。この枠组みには、気候や生物多様性など、「地球の限界(プラネタリー?バウンダリー)」内で持続的成长を达成するためのシナリオ経路策定も含みます。また、政策立案者や経営者をそれぞれの管理责任上の目标に导く指标を作成すること、彼らがとるべき政策についての议论を怂慂することも颁骋颁の目的です。データの果たす役割にも注视しないといけません。指标で导かれる経路を进み、社会経済を変革することで、人类は未来の世代も発展?繁栄を継続できる、と石井教授は语りました。
12月4日の会议では、グローバル?コモンズ?スチュワードシップ指标(骋颁厂颈)のプロトタイプ版レポートが、お披露目されました。同レポートは、颁骋颁がシステミック社、持続可能な开発ソリューション?ネットワーク(厂顿厂狈)、ポツダム気候変动研究所、世界资源研究所と协働で进めているグローバル?コモンズ?スチュワードシップ?プロジェクトの一环として作成されました。骋颁厂颈は、各国のグローバル?コモンズ管理责任における贡献度を定量的に评価するもので、参加者からは、政策立案を正しい方向に导く効果的なツールになり得る指标として、歓迎されました。
不可欠な地域、世界连携
最近の地域的な自由貿易協定として代表的なものが、2020年11月に合意された東アジア地域包括的経済連携(RCEP: Regional Comprehensive Economic Partnership)です。世界のGDPの3分の1を占める、日本や中国などアジア?太平洋地域15か国が署名しました。サックス教授は、「世界人口の4分の1を占め、高度な技術が発達した15カ国のパートナーシップは、グローバル?コモンズの管理責任を負うツールを持つという意味で、重要だ」と説きました。
「地域间の连携も肝要」と発言したのは、ベラ?ソンウェ国连アフリカ経済委员会局长です。例えば、アフリカが同地域の二酸化炭素の排出権の未使用部分をアジアに売却すれば、両地域は排出量の実质ゼロを达成できるほか、アフリカで雇用が创出され、経済成长を促したり、森林破壊を食い止めたりすることも可能です。また、低品质な调理用ガスを使用することで引き起こされ、现在アフリカで问题になっている健康被害を解消することもできると言います。
「协力して、(持続可能な开発目标达成のための)ブレンドファイナンスを用いて、アフリカのエネルギー(インフラ)や道路(建设)のための新规投资ができないでしょうか。我々はアジアが得意とする高速鉄道を必要としていますし、まさにウィンウィンの提案です。アジアから投资を受け、雇用を创出し、同时に両地域で排出の実质ゼロを达成。また、日本などの国では借り入れ费用が低いので、债务の持続可能性も管理できます」
2021年は、国连海洋会议(リスボン)、国连生物多様性サミット(中国?昆明)、国连食粮システムサミット(ニューヨーク)、第26回国连気候変动枠组み条约缔约国会议(颁翱笔26、英国?グラスゴー)などの国际会议が开催され、グローバル?コモンズの课题に対して世界的な取り组みを行う上で、重要な年です。これらの会议で、世界的な主导で打开策を讲じることへの期待感を、参加者は表明しています。というのも、パリ协定が、平均気温の上昇を产业革命以前比で摂氏1.5度以内に抑える努力目标を掲げているのにもかかわらず、すでに平均気温は1.2度も上昇しているからです。
また、パネルディスカッションでは、「自然と人间活动の衝突」の结果、动物からヒトに感染した新型コロナウイルス感染症についても议论されました。同感染症は现在の社会経済の弱点や脆さを露呈させることになった一方、持続可能な社会経済システム确立に向けて経路を轨道修正するチャンスにもなっています。
食料システムが地球システムを脅している問題についても活発な議論が交わされました。「我々の食料システムはすでに环境や経済、土地、水に大きな負荷をかけています。我々に必要なのは、大規模な変革です」と訴えたのは、ファン?シェンゲン前国际食糧政策研究所(I F P R I)所長です。「何か対策を取らない限り、転換点を超えて後戻りできなくなります。(様々なレベルで)協働は不可欠です」
また、アグネス?カリバタ国连食料システムサミット2021事务総长特使は、多くの人の関与が望ましいとして、会议の视聴者にアイディアを共有するよう促しました。
デジタル技术で広范にわたり相互接続する、グローバル?サイバー?コモンズの议论では、最新の技术がいかにグローバル?コモンズ保护において革新的な役割を果たしているかが绍介されました。反面、この分野では课题が多いのも确かです。例えば、データの透明性やデータへの普遍的なアクセス?利用などの确保に加え、最新技术はエネルギーを大量に消费するため、环境にも大きな负荷がかかることも悬念材料だといいます。
レジリエンスがあり、繁栄をもたらす経済。また、その経済システムが人类と自然の両方を支えることができること。これを実现させるには、人间活动を変化させることと、グローバル?コモンズを保护することの重要性を理解することが重要だ、と参加者は结论づけ、东京フォーラムは2日间の议论を终えました。
東大とChey Instituteは少なくとも10年間、东京フォーラムを開催し、世界が複雑な課題に直面する中、世界や人類の行方に影響を与える提案をしていく予定です。
日韩学生が「刺激を受けた」と感想
今回の东京フォーラムでは「学生セッション」が设けられ、东京大学と韩国の2つの大学の学生が2日间の议论を傍聴し、それぞれ感想を述べました。
ソウル大のク?ハヨンさんは、「会议を傍聴して、人类が直面する(地球环境の)课题に取り组むには、课题を『自分ごと』として捉えることが重要だと実感しました」と语り、东大の川瀬翔子さんも「(地球环境の课题)に対する社会的な共感が大切というのが、この会议から得た私の大きな収穫でした」と発言しました。
クリスティアナ?フィゲレス前国连気候変动枠组条约事务局长の警告は、学生の心に响いたようです。「世界の自然资源と共存しなければならないと、我々は认识すべきです。したがって、2030年に地球の限界に达するかもしれないという、フィゲレスさんの発言は、重要なメッセージだったと思います」と延世大?国际大学院のユ?ヘリムさん。ソウル大のチェ?ヨンジさんも、この危机について教育や会议などを通じて启発することで「良い机会に変えられるのでは」と强调しました。
しかし、个人レベルでは、どのようにこの课题に向き合ったら良いのでしょうか。
东大の円光门さんは、「哲学を学ぶ学生としては、今日の世界について新たな存在论をどう打ち立てていくかを考え続けたい」と、哲学的なアプローチで地球环境问题に取り组みたいと话します。また、フィリピン出身の东大生アレクシン?ヤップさんは、教育の重要性を诉えました。「ジャーナリズムまたはコミュニケーション分野の仕事に进みたいと考えていますので、(グローバル?コモンズについての)情报や教育が全ての人に行き渡るように努めたいと思います」
五神真総长は、次世代を担う学生たちのセッションを傍聴し、心が高鸣ったと语りました。「学生たちがグローバル?コモンズを守るという科学的な喫紧の课题を理解し、この大きな课题について率先的に取り组んでいると伺い、とても心强く思いました」と结びました。