デジタル技术で健康を维持しコストを削减 东京フォーラム2019パラレルセッション「生涯元気で:自分で守る健康社会」レポート

このシリーズでは、地球と人類社会が直面する課題について議論し意見交換するためにスタートした国际会議「Tokyo Forum(东京フォーラム)」について取り上げます。东京フォーラムは東京大学と韓国の学術振興財団Chey Institute for Advanced Studies (CIAS) が共催し、 毎年開催されます。2019年12月6日から8日、本郷キャンパスで開催された会議には、政治、経済、文化、環境などの分野のリーダー120人以上が世界中から集まり、「Shaping the Future(未来を形作る)」というテーマで議論に参加しました。

モバイルヘルス、健康情报技术、ウェアラブルデバイス、远隔医疗といった「デジタルヘルス」利用が始まっている
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世界で最も平均寿命が长い国の一つで、国民皆保険制度で守られた日本の人々にとっての一般的な考え方とは、「病気になったら病院に行けばよい」です。
しかしながら、日本人の高齢化と人口减少が急速に进む中、人々はこの考え方を変える必要があると、东京大学の郑雄一教授は警鐘を鸣らしました。
郑教授は、「2060年までに人口の约半数が高齢者となります」と述べ、高齢化社会においては若い世代が高腾する医疗费を支えることが难しくなると付け加えました。また、この问题は决して日本に限ったものではなく、2050年までに全世界を巻き込むと指摘しました。郑教授は、「自分の健康は自分で守る」という考え方に変える必要性を诉えました。
人々が生活習慣やライフスタイルを変え、健康を維持するには、最先端の科学技術が役立つ可能性があります。 モバイルヘルス、健康情報技術、ウェアラブルデバイス、遠隔医療といった「デジタルヘルス」の利用が始まっています。しかし、テクノロジーの応用には常にプライバシーと倫理に関する問題が付きまとうため、リスクとメリットのバランスを見極めることが重要です。
2019年12月7日に、东京フォーラム2019で开催されたパラレルセッション「生涯元気で:自分で守る健康社会」では、世界各国からさまざまな学问领域の専门家が集い、プライバシーを侵害することなく人々が健康に生きられるようにする方法について议论が交わされました。
个人の参加と権限委譲
人々はデジタルヘルステクノロジーを活用すべきであり、より効率的な健康管理のために自分が利用する医疗サービスを管理すべきである、という点について専门家らの意见は一致しました。
セッションのオーガナイザーも务めた郑教授は、「従来の主観的な健康评価方法に取って代わる、効果的かつ客観的な方法を确立するために、最先端の科学技术を导入する必要がある」と述べました。そして、质问票などのアナログな手法と対比させながら、健康状态をモニタリングするセンサーやデジタル机器の利点に言及しました。

グーグルクラウド?プロダクトマネージャーのアリエ?メイア氏は、最新の健康モニタリング技术をいくつか绍介しました。メイア氏は、人々が自分の健康を管理し、コンピューター化された「コーチ」と繋がるための様々なアプリが开発中であることを绍介し、こうしたアプリは人々にフィードバックを提供し、健康のために努力する意欲を引き出すと述べました。
メイア氏によれば、「よくできました!」「あなたは、どの友人よりも多く歩いています」といった励ましのメッセージは、金銭的な报酬と同様に、人々をエクササイズや健康的な食事に駆り立てることに有効です。さらに保険会社の医疗费负担の軽减にもつながります。
しかし、アプリやヘルスケアサービスを通じて自分の健康に関するデータを公司や政府に提供することは、かつて私たちがビッグデータの黎明期以来直面している、「谁がデータを所有しているのか?」という疑念が生じることになります。欧州各国の政府は、基本的に个人は自身のデータを所有し、それを管理する権利を有すると宣言しています。しかしながら米国では、ヘルスケアなどの领域においては、民间公司による个人データの収集は制限付きですが许可されています。
台湾は、医疗データの所有権に関してはユニークなケースです。2400万人の台湾の人々の医疗データは、政府が管理?所有しています。台湾?辅仁カトリック大学病院理事のチャオ?ヘンタイ氏は、台湾の中央管理システム「惭别诲颈颁濒辞耻诲システム」について解説しました。医师は各患者に割り当てられた滨颁カードを使用し、その患者の诊疗记録にアクセスすることができます。これらのデータは、个人の特定につながるおそれのある情报を削除した后に统合され、研究や営利目的で利用することが可能です。
イスラエルでは、人々が自身の個人データを所有しているものの、データの管理は4つの健康維持機構(HMO)によって行われているとイスラエル?サナラベンチャー CTOのエラン?トレド氏は述べました。データは全てのHMOに保存されていて、人々が病院に来ると、医師はその人の全診療記録をみることができますが、病院を退院した後は、医師は情報にアクセスできなくなります。
イスラエルはデジタルヘルスの先进国として知られ、この领域で数百ものスタートアップ公司が存在します。2018年初头、イスラエル政府は全国民の诊疗记録をデジタル化することを目指し、10亿イスラエルシェケル(约300亿円)规模の国家的デジタルヘルスプロジェクトを承认しました。その目的は、ビッグデータの活用を通じ、个别化医疗、疾患管理、予防医疗におけるイノベーションを促进することです。
トレド氏によると、问题は、「谁がデータを所有するか」ではなく、「谁がデータを贩売できるか」です。イスラエルでは保険会社、贬惭翱、病院によるデータの贩売が许可されています。患者は自身のデータを所有していても、そのデータの管理はできません。また、一般的にイスラエルの患者は、质の高い医疗が见返りとして得られるのであれば、プライバシーを侵害されることを厌わない、とトレド氏は话しました。
日本と米国では、医疗データの中央化はあまり进んでいません。米国政府は研究目的で医疗データを管理していますが、日本では地方自治体と病院が别々にデータを保存しています。一部のデータは政府が所有していますが、これらのデータセットは统合されていません。
セッションに参加したほとんどの演者は、暗号化技术などの最先端テクノロジーを用いて医疗データのセキュリティを保护することに賛同しました。しかし、メイア氏は、米国公司が人的?金銭的资源をあまりセキュリティに投じていないことに悬念を示しました。一方で、トレド氏は、あまりに多くのワークステーションが用いられる以上、医疗データを完全に保护することは困难であると述べました。
健康?医疗データプラットフォームにおけるデータ管理

このセッションでは、ヘルスケア产业界の巨大公司である米国のジョンソン?エンド?ジョンソンが开始した野心的なプロジェクトが绍介されました。同社副社长のマーク?バック氏は、「础肠肠耻尘耻濒耻蝉プロジェクト」について解説しました。このプロジェクトの目的は、医疗データを継続的にクラウド上にアップロードし、定めた手顺に従ってリアルタイム分析を行うことです。イノベーションをより迅速かつ安価に达成するため、得られたデータと分析结果は製薬会社や规制当局などのスポンサー间で共有されます。バック氏は、既にプロジェクトチームによりデータ规格の不一致などの技术的障害が特定されつつあるものの、まだ多くの课题に対処する必要があると述べました。
グーグルクラウドのメイア氏は、同社の目标は医疗データエコシステム(さまざまなステークホールダーが収集するデータを统合し医疗実践や研究のために活用するシステム)の进化を加速させることであり、それは、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスといった复数の要素から成ると述べました。
郑教授は、データ管理を成功させる键として、「别颁辞苍蝉别苍迟」を挙げました。别颁辞苍蝉别苍迟は、双方向的なマルチメディア素材を使用することにより、患者に意思决定の権限を与え、临床试験の质と効率を向上させるために开発されたものです。
郑教授は、患者からデータ利用に関する同意や再同意を得る际に、细心の注意と复雑なプロセスが必要であることを指摘しました。そして、别颁辞苍蝉别苍迟を使えば、患者が自身の同意内容を理解しやすくなる可能性があると述べました。
メイア氏は、大抵の人は、医疗データの管理に膨大な时间を费やしたいとは考えていない、と述べ、グーグルクラウドも别颁辞苍蝉别苍迟の开発に取り组んでいることに言及しました。さらに、个人が正しい决定を下せるようになるためには、ユーザー体験をシンプルにする必要があると话しました。
トレーサビリティはデータ共有を促进させる
个人が自身のデータを预け、研究や商业目的で利用できるようにする个人情报バンクの出现により、ビッグデータを活用した科学技术の进歩の可能性は広がり、さらに利便性も向上しました。
郑教授は、人々が个人情报を情报バンクに预けられる情报信託のようなメカニズムを作ることが重要であると述べました。情报バンクは、人々があらかじめ同意した内容に沿う形でデータを机関や公司に提供し、人々はデータ提供の见返りとして、金銭やサービスなどの形で直接的または间接的な报酬を受け取ります。
これに対しトレド氏は、个人データの共有が医疗サービスの改善やコミュニティの便益につながることで満足する人もいるため、必ずしも金銭的报酬は必须ではないと述べました。
郑教授は、情报バンクの利用を促进するには、インセンティブに加え、个人情报のトレーサビリティを付与することが不可欠かもしれないと述べました。どの组织や公司がどのような目的で自身のデータを使用しているかを、人々が追跡できるようにする仕组みが必要だということです。
このセッションで议论されたテクノロジーおよびその他の関连事项は、いずれも人々を健康にし、医疗システムを持続可能なものにすることを目指しています。世界保健机関(奥贬翱)西太平洋事务局の野崎慎仁郎氏は、健康な高齢期を迎えるための积极的な行动を促すには、个人の参加と権限が必要だと述べ、议论を缔めくくりました。

2019年12月7日、东京フォーラム2019のパラレルセッション「生涯元気で:自分で守る健康社会」で医疗の未来について语る専门家たち