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「国连」の不正を正す 平和活动要员による性的な搾取や虐待に対するアカウンタビリティの研究

掲载日:2019年12月25日

滨尘补驳别: 厂丑耻迟迟别谤蝉迟辞肠办

総合文化研究科で、国连平和活动の要员による性犯罪や性的搾取について研究するキハラハント爱准教授。大変深刻で重いテーマですが、先生の原点は、1990年代末に国连ボランティアとして赴任した东ティモールで、人権や正义が市民にとって衣食住より大事だと捉えられていると実感したことだと话します。

幼少时代をヨーロッパで过ごしたキハラハント先生は、「国益」を超えた枠组みで人类全体の利益を追求したいと考え、国连に兴味を持ちます。1990年代末にイギリスのサセックス大学で开発学修士を取得したあと、东ティモールがインドネシアから独立するかどうかを决める住民投票の企画运営ボランティアを国连が募集していることを知り、応募。1999年夏当时の东ティモールはインドネシア政府军と独立派との対立が激しく、治安も悪い状况でしたが、现地は歓喜に満ちていました。

「住民投票の结果が出て独立すると分かったときのみんなの喜び方に惊きました。号泣したり、地べたを転がり回ったり。人が自由のために结束していく姿というのはものすごいなと思いました」と振り返ります。

住民投票の后も国连スタッフとして残留しますが、平和构筑は容易ではなく、インドネシア军による独立派に対する妨害行為が続き、スタッフも治安悪化からオーストラリアに一时避难を余仪なくされます。その冬の12月に东ティモールへ戻りますが、破壊尽くされた町に一つだけ残った屋根のある家の下にテントを张って寝泊りしました。そこは雨季になるとテントが水に浮くような场所。そんな状况で国连の现地事务所を开いたところ、何百人という市民が列をなすのを见て衝撃を受けます。

「絶対、彼らは食べ物をくれと言いに来ると思っていました。皆、着の身着のままで、コウモリとかを取って食べているんです。にもかかわらず、大量虐杀で杀された家族の墓を探してほしい、とか、自分の夫を杀した犯人を司法裁判にかけてほしい、とか、司法や人権を求める人ばかり。これか、と思いました。纷争后の平和构筑というのは、ハコモノではなくて、こういう问题が解决しないと何にもならないんだ、と」

2000年、避难先のインドネシアから东ティモールに帰还した住民を登録し、援助物资を渡す国连スタッフ

1999年、国连ボランティアとして东ティモールのオエクシ州で住民への闻き取りを行うキハラハント先生

その后、国连职员としてネパールやスリランカなどで平和构筑の実务に携わったキハラハント先生は、イギリスに戻り、エセックス大学で博士号を取得。2017年に东大に赴任しました。

ここ10数年は、国连警察や平和活动要员による性犯罪や性的搾取の研究に注力。先生のプロジェクトは东大の文系8部局からなる连携研究机构、ヒューマニティーズセンターの公募研究にも採択され、今年の春と夏、ロンドン?スクール?オブ?エコノミクスからジェンダー学の専门家を招いて共同研究も行われました。

后手に回る対策

国连平和活动中の性暴力や性的搾取は、1990年代からメディアで大きく取り上げられるようになり、国连も问题を认识しているものの、対策は全く追いついていません。例えば、2014年顷、中央アフリカ共和国に派遣されたフランスとマリの笔碍翱要员が9歳から15歳の男児に食料と引き替えに性的虐待を行うという事件が発生しましたが、国连は事件発覚后1年近くもこの问题を放置し、被害者の救済に动かなかったことが第叁者委员会の调査で明らかになりました。事件を起こした国连要员に対する法的アカウンタビリティをどう担保するかは、喫紧の课题となっています。

「こうした事件の影响は非常に大きい。国连から助けに来てくれたはずなのにこのような目に遭う被害者への影响は甚大で、国连の信頼にも関わる。一方で、例えば国连が戦争を止めるためにすぐにできることは限られていますが、起きた事件に対してきちんと対応することは、一つ一つのステップを踏めばできるんじゃないかと思いました」

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総合文化研究科のキハラハント爱准教授(右)とロンドン?スクール?オブ?エコノミクスのマーシャ?ヘンリー准教授(左)

キハラハント先生はこれまで、メディア报道などから2000年以降の性的搾取?虐待(厂贰础)のデータベースを作りました。データベースで収集した事件は700件ほどで、氷山の一角ですが、一つ一つを细かく追って行くと、共通の问题が浮かび上がります。一番の问题は、谁が责任を取るかが明确になっていないこと。

「国连は今まではこの问题は自分たちの问题ではない、という立场でした。もちろんまったく知らないというスタンスではないのですが、少なくとも2005年までは、国连には诉追権がないから何もできないと主张してきました。私はそこが一番问题だと思っています。罪を犯した国连平和活动要员の诉追は、派遣した国がしないといけないとしても、诉追させるように最大の努力をするのは国连の责任だと思います。国连は加盟国から警察や军队を送ってもらっている立场上、加盟国への远虑がありますが、送られてくる人のバックグランドチェックとか、国との诉追に関する合意のモニターなどをきちんとしないといけないと思っています」

共同研究者を务めたマーシャ?ヘンリー准教授は、ロンドン?スクール?オブ?エコノミクスで、ジェンダー学の観点から、军队の职业文化と队员の意识に関する研究を行ってきました。キハラハント先生はヘンリー先生と共にこの秋、ニューヨークの日本政府国连代表部で、国连の干部职员に対して厂贰础の问题に関する提言も行いました。

提言には、国际法的に见て、国连平和活动要员の诉追には、受け入れ国、要员派遣国ともに特権免除の问题がないことや、国连にも重大な犯罪は诉追する、もしくは诉追を助ける责任があることなどが盛り込まれました。

ヘンリー先生は「共同研究にはとても意味があった」と话します。「私は(性的暴力?搾取の)组织的そして根本的な原因についての分析を行い、国连职员にとって分かりやすい言语に訳することができました。一方でアイ(=キハラハント先生)はそうした分析を国际法の文脉に组み込むことに长けています。私たちの提案は、平和活动要员に関する方针を作る上で、また研修担当者にとっても、説得力のあるものになったと思います」

日本ができること

紛争地から遠く離れた日本で、私たちはこの問題とどう向き合うべきでしょうか? 欧米先進国を中心とする安全保障理事会が、国連の平和活動の枠組みや内容を決め、アフリカなどの開発途上国が実際の人員を出すという構図の中で、お金は出すもののあまり口は出してこなかった日本は、欧米と途上国間の軋轢に巻き込まれなかった分、中立的な立場で関われる可能性が大きい、とキハラハント先生。また、PKO要員を対象とした性的暴力に関するeラーニング研修教材を、日本の外務省が開発してきたことからも、国民として関心を持ってほしい、と話します。

「日本は大変恵まれていて、こんなことは自分には起こらないと思っているかもしれませんが、わりと起こる问题だとも思うんですよね。性的暴力?虐待はいろんなことを含んでいて、例えば力関係が明らかに违うときに性的な行為を求められる、という构図は纷争地の人たちだけの问题ではない。そこで起こる不利益は人类に共通したものだと思っています」

取材?文:小竹朝子
写真提供:キハラハント爱先生

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