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障害を持つ学生に开かれた大学と科学を実现する 东大の専门家が「サイエンスアゴラ2020」で必要な方策を议论

掲载日:2020年12月25日

东京大学本郷キャンパスの赤门から教育学部まで敷设された诱导ブロック

大学へ进学するすべての学生に対して、进路选択の机会は平等に提供されるべきです。しかし现状では、障害のある学生が多くの困难に対面し、大学への进学をあきらめることは少なくありません。特に、厂罢贰惭と呼ばれる科学?技术?工学?数学分野に関しては多くのハードルがあり、不本意なかたちで他分野に进む学生の例も后を絶たないと言われています。

东京大学の障害やバリアフリーの専门家は、2020年11月21日、オンラインで开催された「サイエンスアゴラ2020」内の「障害を持つ学生にひらかれた科学」セッションで、障害のある学生が厂罢贰惭分野に进み、充実した学生生活を送るために必要な支援について议论しました。90分のウェビナーには30人近くが参加しました。また、セッションでは音声认识ソフトを使った文字通訳(字幕)が提供されました。

ウェビナーを企画し、司会を务めたのは熊谷晋一郎准教授。自身も脳性麻痺という身体障害を持ちながら东大に进学し、现在は先端技术研究センターで、障害や病気を持った人が自分の困りごとについて研究する「当事者研究」という学问分野を牵引しています。2004年に设置されたバリアフリー支援室の室长も务めています。

ウェビナーではまず、工学部建筑学専攻の松田雄二准教授が、大学环境のユニバーサルデザインについて话题提供。松田先生は、バリアフリー支援室のメンバーとして大学内の物理的环境の改善を行ってきました。

大学环境でポイントとなるのは规模、道路、そして建物。小中学校や高校に比べて、建物が多く敷地も広いのが大学の特徴です。歩车分离がされておらず、非常に幅の広い歩道で建物が繋がれ、そこに自転车や车が通行することもあります。东大には特に古い建物が多く、阶段のある入口、机や椅子が固定された教室、车いすでは使えないトイレが多く存在します。

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本郷キャンパスの工学部2号馆の正面。入口に阶段がある

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2号馆の脇に车いす用のスロープを设置し、别の入口を确保した

バリアフリー法上、一定の条件に该当する建物は、出入り口や廊下、エレベーター、トイレにいたるまで车いすで円滑に移动できるよう细かな基準が定められていますが、特别支援学校や保健所、老人ホームと违って大学への适合义务はそれほど厳しくなく、「努力义务」のみ求められます。

大学はさまざまな形でこれらの困难に対応してきました。入口の段差を解消するのが难しい施设にはスロープを设置したり、キャンパスに诱导ブロックを敷设したり、利用者の要望を闻いて、トイレに教科书等の入ったカバンを置く场所を决めたりします。

「大学の対応がどうしても后付けになってしまっていることは否定できません」と松田先生。「东大のように古い建物が多い场合、あらかじめすべての利用者のニーズに合うように改修をするのは、コスト的にも时间的にも极めて难しい。一方、困っているユーザーはすでに具体的に存在するので、こうしたユーザーのニーズを素早く、かつ丁寧に把握して、适宜改修工事を行うことが重要だと思います」

物理的アクセスの改善だけではなく、ソフト面の支援も重要です。中津真美特任助教は、バリアフリー支援室で、障害のある学生?教职员の支援のコーディネートに15年间携わってきました。支援室には専任教员2名を含む9名のスタッフがおり、加えてバリアフリー支援室员には障害当事者が复数在籍していることが大きな特徴だと话します。

具体的には、东大に障害のある学生が入学した场合、学生から支援を申し込んでもらい、面谈や対话を重ねて支援内容を検讨します。今回は、特に「情报保障」と呼ばれる、障害のある学生が他の学生と同等?同质の情报を得て授业に参加するための支援について説明しました。

例えば视覚障害学生への情报保障では、教科书や资料の文字の拡大、点字への点訳、教科书等の电子データ化を行っています。グラフも文字化して、音声読み上げソフトで読み上げして読めるようにします。学生サポートスタッフを授业に配置し、板书の内容を小さな声で伝える、という支援も行ってきました。

学生サポートスタッフによるパソコンテイクの様子。中津先生の発表画面から

聴覚障害学生の场合、教室で学生サポートスタッフが横に座って、先生の话す言叶をパソコンに入力し、文字にして伝える方法や、ノートに书いて伝える方法があります。

今年度から始まったオンライン授业では、教室で横に座って支援できないので、音声认识アプリで文字化された讲义内容を、学生サポートスタッフが远隔で修正する、という形で対応しました。

「支援の検讨では、障害のある学生と大学が対话を重ねて合意形成していくプロセスを重视しています」と中津先生。「大学侧が、あなたは闻こえないから、音声认识アプリの支援です、と决めるものではなく、学生と大学が一绪に対话しながら、支援内容を决定していく、それが障害者差别解消法のコンセプトです。ですから例えば同じ障害のある础さんと叠さんの支援が违うこともあるし、一人の学生さんの支援でも、场面ごとに支援内容が违うこともあります」

熊谷先生は、コロナ祸で大学の情报保障の提供方法も一から见直さなければならなかった、とコメントし、真のボトルネックはテクノロジーではなく、教员の理解だとわかってきたと话します。

「私が学生だった顷は、バリアフリー支援室がなかったので不便だったけれども、一方で教员が一生悬命対応してくれたことを懐かしく思い出します。今は制度は整って、昔よりすごく进んできた半面、どこかバリアフリー支援室に任せておけばいいというふうなスタンスに偏りがちだと感じることがあります。お任せではなく、どうすれば平等に情报にアクセスできるようになるのか、キャンパスの全员が考える必要があると思います」

熊谷先生と同じく车いすユーザーで、同じく先端研に在籍する并木重宏准教授は、障害を持ちながら厂罢贰惭分野で活跃した伟大な研究者を绍介。ヘリウムを発见したフランスの天文学者ピエール?ヤンセン(1824-1907)、キルヒホフの法则という电気回路の法则を発明したプロイセン(现ロシア)生まれの物理学者グスタフ?キルヒホフ(1824-1887)、イギリスの物理学者スティーブン?ホーキング(1942-2018)は皆、歩行に困难を抱えていました。聴覚障害、片手の欠损、统合失调症、ディスレクシアなどの障害を持ちつつノーベル赏を受赏した人たちもいます。

障害ある学生が科学の道に进む际に重要な役割を持つ「合理的配虑」というコンセプトは、実は医学教育の分野での过去の事例から発展してきたと并木先生は説明。障害を理由に入学を拒否されたことをめぐる裁判の判例などを通じて、この分野の仕组みが洗练されてきたのです。

アメリカの多くのメディカルスクールでは、入学希望者は「観察力」、「コミュニケーション」、「运动技能」、「定量的スキル」、「态度と社会性」の5つの能力基準を満たしていることを求められます。触诊や聴诊、カテーテルの挿入や心肺苏生といった医疗行為を行うため、感覚や运动に障害のある人は长らく入学を认められませんでした。

2007年、無重力飛行を経験した後、ヒューストンのケネディ宇宙センターに戻る物理学者スティーブン?ホーキング博士 ©NASA

ところが现在は、テクノロジーを使って、そして「合理的配虑」に基づいて他の人の支援を受けながら、障害のある人でもこうした行為を行えるようになりました。例えば、心拍を波形に替えて视覚的に表示する电子聴诊器を使えば、耳が闻こえなくても诊察ができます。頚髄损伤で手をうまく动かせなくても、助手や看护师が患者の胸に聴诊器を当ててくれれば问题なく诊断できます。

大事なのは、业务の中で代替できないことは何かを考えること。代替できることは合理的配虑の対象になり、逆に言うと合理的配虑が可能であることは本质的ではない、ということになります。

「今の时代は、テクノロジーの発展で、この合理的配虑でカバーできる部分が大きくなってきています」

将来、科学分野に进みたい学生のために、先端研の「インクルーシブ?アカデミア?プロジェクト」では、现役で活跃している世界の研究者の情报を集めています。近々リストを一般公开し、実际に活跃する大人の「ロールモデル」を示す予定です。

质疑応答では、「言语障害を持っているが、テキストを音声に変换するソフトはありますか」(回答:スクリーンリーダー呼ばれるソフトがある。発话困难があるため読み上げソフトを使って讲义を行い、人気を博している教员もいる)、「东大のサポートスタッフは何人いて、必要数を満たしているのか」(回答:约180人、必要に応じて募集をかける)、「ゼミのコミュニケーションで聴覚障害のある学生を支援する手法は」(回答:レイアウトを工夫して全员の颜が见えるようにする、発言者は顺番に名前を名乗ってから、口形を聴覚障害学生に见せ、目が合ってから话し始めるなどのルールを作っておく)など、多様な质问が寄せられました。

熊谷先生は、「科学という人类の営みも、一部の人しか参加できないものではなく、もっと多様な人々が参加することで、より豊かな知识や技术が生み出せるものへと変わっていくのではないか、また科学が产出する知识や技术が置き去りにされがちな障害を持つ人々にとって本当に役立つものに近づいていくと思う」と述べ、セッションを缔めくくりました。

文/小竹朝子

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