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真珠と地域を育てる 东大がつなぐ养殖真珠の过去と未来

掲载日:2018年8月28日

三浦真珠プロジェクトの一環で2016年に数十個浜揚げされた真珠の一つ。© 2018 春雨直播app.

往年の大女优オードリー?ヘップバーン。イギリスのダイアナ元皇太子妃。アメリカの前大统领夫人ミシェル?オバマ。そして、有名でも王室のメンバーでもない我々一般市民の多くも、一度は身につけたことがある宝石とは&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;?

丸い形と独特の光沢を持つ真珠は、世界中の人々を虏にし、広く亲しまれてきました。その真珠を普及させるのに东京大学が大きな役割を果たしたことは、あまり知られていません。

神奈川県叁浦市にある理学系研究科附属叁崎临海実験所は、世界で最も古い海洋生物研究施设の一つとして1886年に设立されました。ここには、世界で初めて真珠养殖に成功したある一人の男性への技术指导を行い、今日の养殖产业の础を筑くのに贡献した歴史があります。

100年以上前のこの歴史の一幕が最近また注目を浴びています。というのは、実験所が主体となって地元の真珠养殖を復活させ、海洋教育にもつなげることを目的とした「叁浦真珠プロジェクト」が佳境を迎えているからです。

あと数か月で、临海実験所が养殖するアコヤガイから真珠を浜扬げする时期がやってきます。これを机に、アコヤガイのみならず多くの生物の持つ「バイオミネラリゼーション」という鉱物形成作用について、东大で学际的な研究がさらに発展することも期待されています。

御木本幸吉氏との関係

三崎臨海実験所初代所長の箕作佳吉教授。© 2018 春雨直播app.

临海実験所の真珠との関わりは、1890年に初代所长の箕作佳吉教授が叁重県の志摩地方出身の御木本幸吉氏と出会ったことに始まります。御木本氏は、宝石としての高级真珠を作りたいという梦を抱いていました。

当时、真珠には贝の中に侵入する异物から身を守るためにアコヤガイ自身が作り出す天然のものしかありませんでした。真珠层はアコヤガイの外套膜から分泌される炭酸カルシウムとタンパク质でできており、异物をくるみます。偶然の产物である天然真珠は希少で非常に贵重なものとされ、アコヤガイの乱获が进んだ结果、19世纪后半には日本のアコヤガイは絶灭の危机に陥っていました。

そんな折、御木本氏が1890年に东京で博覧会に出品したアコヤガイを见た箕作先生は、真珠の养殖は技术的に可能であることを御木本氏に伝えます。その后、御木本氏は実験所を访れ、箕作先生から1週间にわたって真珠层の形成からヨーロッパでの真珠研究の现状、また世界的な真珠养殖の试みの歴史にいたるまで讲义を受けた、とミキモト真珠研究所の所长で水产学者の永井清仁氏が2013年に执笔した论文に书かれています。

箕作先生自身も、1904年に米国水产局の纪要に掲载された英语の论文の中で御木本氏に真珠养殖を勧めたと记しています。

1925年に御木本幸吉氏から東大に寄贈された養殖真珠。理学部動物学教室の五島清太郎教授が残した手書きメモと一緒に見つかった。© 2018 春雨直播app.

「1890年に私から志摩出身の御木本氏に&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;真珠贝を养殖することが望ましいと话しました」「彼は热心に取り组み、実験を始めました。そのあとすぐ、私は彼に、真珠贝に人工的な刺激を与えて真珠を作る可能性についても指摘しました。彼はすぐにそれを実験に移しました」。

御木本氏は挿入する异物と挿入场所について最适な方法を研究し、最终的に半円真珠を作ることに成功しました。その后も御木本氏は真珠の研究と生产を続け、自らの事业を世界的な宝饰ブランド「ミキモト」に発展させていくことになります。

一方、大学では、箕作先生の弟子の西川藤吉氏が真珠の研究を进めました。西川氏は実験所とミキモトの真珠研究所とを行き来しながら研究を続け、ドナー贝から外套膜の一部を切り取って别の贝の体内に移植するという方法で真珠袋の作成を促す手法を确立します。この手法で西川氏はのちに特许を取得したことが永井氏の论文には记されています。

1908年、东大は叁崎临海実験所における真珠养殖研究を正式な大学の事业とし、西川氏と他2名を研究者として雇い入れました。しかし、1909年に西川氏と箕作先生が他界した后、1912年に东大は事业を终了してしまいます。

歴史の再発见

三崎臨海実験所が所在する神奈川県の南東部の小網代湾は多様な海洋生物が生息し、研究に適している。© 2018 春雨直播app.

最近まで、東大の真珠養殖への歴史的な関わりは「大学でさえもほとんど忘れていた」、と理学系研究科の動物学の教授であり三崎臨海実験所で現在所長を務める岡良隆先生は話します。岡先生は歴史の再発见に偶然立ち会っていました。

2003年、それまで8年间勤务した临海実験所から本郷の理学系研究科に教授として赴任した际、教授室を整理していた冈先生は円柱の箱がいくつもあるのを発见しました。その箱には1925年に御木本氏から大学に寄赠された真珠が入っており、当时动物学教室の教授だった五岛清太郎先生が手书きで残した古いメモが添えられていました。

「それらの箱は无造作に教授室の片隅に置かれていました」と冈先生は振り返ります。「でも、学生时代に、东大の真珠养殖の话を闻いたことを覚えていたので、これはきっと歴史的に贵重なものだろうとピンと来たんです」。

2004年から2017年まで临海実験所の所长を务めた赤坂甲治名誉教授も、10年ほど前まで东大のミキモトとの関係については知りませんでした。ある时、ミキモトの职员から、御木本幸吉氏の生诞150年を记念して真珠养殖と海洋环境についてのシンポジウムを共催しないかという话があり、初めて歴史的な経纬について知ったといいます。

2008年に本郷キャンパスの小柴ホールで开かれたシンポジウムを通じて、东大とミキモトの交流が再开しました。またこのことで赤坂先生は、真珠を通じて地域と交流し、海洋教育を発展させたいという思いを强くしました。

理学系研究科の赤坂甲治名誉教授。© 2018 春雨直播app.

そのような経纬を経て、赤坂先生は2013年から、叁浦市と株式会社ミキモトの协力を得て叁浦真珠再生プロジェクトを主导しています。目的は叁浦市に戦后、短い间存在していた真珠养殖を復活させること、そして真珠を通じて海洋生物の多様性を地元の生徒に伝えること。赤坂先生はまた、将来の真珠养殖の担い手を育てたいとも语ります。

「养殖产业も高齢化が进み、日本中で人がどんどん足りなくなってきています。若手の育成が求められています」。

プロジェクトでは、2016年に地元の小学生に参加してもらう形で数十个の真珠を初めて浜扬げし、近年は実験所での生产に力を入れています。アコヤガイの卵を受精させ、东京湾に面した実験所外の桟桥からつるした网にアコヤガイの稚贝を入れて育ててきました。2018年7月下旬、研究所のスタッフは约100个のアコヤガイに2个ずつ核を挿入する「核入れ」を行いました。核には米国ミシシッピ川で採取された贝を加工した小さな玉を使います。作业には道具を用いて核を细かく操る技术が求められます。

神奈川県立海洋科学高校の先生たち。高校で真珠の養殖を実習として取り入れたいと話す。© 2018 春雨直播app.

「挿核は基本的に手术なので、手术を受けさせる前の贝の管理が非常に重要です」と赤坂先生。「挿核の前の冬、网の中で过密な状态にして饵を取れない状况にして、卵巣があまり発达しないようにしておきます。卵巣が発达しすぎると核を入れるスペースがなくなってしまうからです。また手术の后、贝が动き回ると体内から核を吐き出してしまうので、しばらく动き回らない状态にしなければなりません」。

7月の核入れの日、横须贺市の神奈川県立海洋科学高校の先生3人も実験所での作业に参加しました。海洋科学高校では、生徒に核入れの技术を伝えることで、将来真珠养殖という仕事に兴味を持ってもらいたいと考えています。

「将来的には生徒たち自身が核入れができるようになるといいなと思っています」と语るのは、海洋科学高校で地域连携を担当する园原靖雄先生。「ただ最初にまず私たちが技术を习得して、贝がだめにならないようにしなければなりませんね」。

真珠形成の科学

真珠が光沢を放つのは、もちろん教育の分野だけではありません。冈所长は、叁浦真珠プロジェクトを通して、东大でバイオミネラリゼーションの研究が発展する未来を展望しています。

理学系研究科地球惑星科学専攻の远藤一佳教授は、2012年に世界で初めて真珠贝のゲノムを解読した研究チームの一员です。チームの他のメンバーには冲縄科学技术大学院大学やミキモトの科学者たちが含まれます。

三崎臨海実験所の実験研究棟。© 2018 春雨直播app.

「真珠には、色や成长、また病気に関连した遗伝子があると考えられています」と远藤先生。「真珠の母贝はウイルスや病原体によって死んでしまうことがあります。现在(他の研究机関では)どのような遗伝子が贝の特徴と関连しているのかを调べる研究が行われています。ゲノム解読によって真珠科学が大きく前进する可能性が出てきています」。

古生物の専门家で、生物が进化の过程で骨や歯などの硬い组织を作る能力をどう获得したかという観点から真珠贝やほかの贝を研究している远藤先生。バイオミネラリゼーションの研究から得られる科学的知见は非常に大きいと话します。

「硬く强固であることが知られている真珠层は、炭酸カルシウムとタンパク质からできています。炭酸カルシウムは本来壊れやすい物质ですが、微量のタンパク质を入れることで非常に硬い物质ができる。このような性质は例えば工学分野で新材料の开発に応用できる可能性があります」。

赤坂先生は来年初めの浜扬げを心待ちにしています。うまくいけば、100个もの真珠が実験所から得られる予定です。

「ようやく我々自身がきちんと真珠を生产できるところまで来ました」と赤坂先生。「来年の1月にはきちんと管理した真珠を皆さんにお见せできると思います。将来的には、1000个レベルで生产できるようになるはずです」。

取材?文:小竹朝子

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