理论を现実に。研究を社会に还元し「同一労働同一赁金」を提言。| UTOKYO VOICES 097
社会科学研究所 比较现代法部门 教授 水町勇一郎
理论を现実に。研究を社会に还元し「同一労働同一赁金」を提言。
日本ではできないと言われていた、正社员と非正社员の间の不合理な格差解消を目指す「同一労働同一赁金」(働き方改革関连法)が2018年6月に制定され、2020年4月から施行された。1997年に制定された贰鲍「パートタイム労働指令」から遅れること、実に约20年。产业别労働组合中心の欧州と违い、公司内労働组合中心の日本では年功赁金制が普及していたことなどが障壁となっていたが、そこに风穴を开けたのが水町の研究だ。
そもそも、水町は最初から法律の道を目指していた訳ではない。中高校生时代は数学や理科が得意だったので、バイオテクノロジーを勉强しようと东大の理科2类に入学。しかし、果たして自分に适性があるのか、この分野で一生顽张っていけるのかと疑问をもち、「别の面で日本の役に立つ仕事をしようと考え、3年で法学部に进み国家公务员试験を目指しました」。しかし、4年で労働法ゼミに入ると、有给の学部助手制度があることを知る。水町の成绩を评価した担当教员の荐めもあり、助手になることを决意。そうして研究の世界に足を踏み入れることになった。
水町と「同一労働同一赁金」の関わりの原点は、この学部から助手になった时代(1990年~93年)にある。指导教官から「今后パートタイム労働に関する问题が重要になるので、このテーマで论文が书けるか検讨してみて」と言われ、取り组んだ研究が助手论文として结実。それ以来、研究テーマとして取り组んできた。
助手论文执笔后、东北大学で10年间研究と教育に専念したが、东大の社会科学研究所に入所してからは実务と交流しながら研究成果を社会に还元する活动も行ってきた。水町の论文「同一労働同一赁金は幻想か?」が政府関係者の目に留まり、一亿総活跃や働き方改革の会议などに参加して様々な提言を行い、働き方改革関连法の制定にも贡献した。
権力や実务の中にいると见えないことであっても、各国の労働法を知悉する研究者であれば日本の制度を外から见た提言ができる。同时に、水町はよりよい社会を目指して、国への政策提言も続けている。「権力との距离を保ちつつチェックアンドバランスが不可欠です。与党であれ野党であれ、呼ばれたら可能な限り伺って同じ话をしています」。
いまや社会の注目を集める研究の第一人者だが、本人に気负いはない。「研究成果が政策に反映されて、社会が动くことにやりがいは感じます。ただ、授业や讲演などで『面白かった』『刺激を受けた』などと声をかけてくれる人たちと直接话せる方が、満足感は高いですね」。最近は、司法试験用の教科书『労働法第八版』、実务の定番『详解労働法』、一般読者向けの『労働法入门』の労働法叁部作を発刊。専门家から初心者まで、労働法への理解を深めるために尽力している。
今后见据えるのはインターネットを通じてサービス提供を行う「プラットフォーム?エコノミー」时代の労働法の変容についての研究だ。「労働法?社会保障法规制の基盘にある労働者概念そのものが大きく変容しようとしており、その法的基盘のあり方や新たな法规制の动きについて研究しています」。时代の変化に対応した働き方を求めて、水町の研究も広がっていく。
持ち歩く鞄には、移动中に読む文献?资料と20年来使っているシステム手帐『碍狈翱齿叠搁础滨狈』が入っている。手帐には、仕事の予定(スケジュール、原稿の缔切など)が全部书いてあり、一册で水町の行动が把握できる。
フランス留学时代に&濒诲辩耻辞;会得&谤诲辩耻辞;した「复雑なものをクリアかつシンプルに説明し、エレガントに発表する」というプレゼンテーションの作法。一番难しいのはエレガントで、「ウィットに富んだ言叶で説明することに苦労します」。
Profile
水町勇一郎(みずまち?ゆういちろう)
1990年東京大学法学部卒業、1993年東北大学法学部助教授、2004年東京大学社会科学研究所准教授、2010年東京大学社会科学研究所教授。東京都労働委員会公益委員(会長代理)、働き方改革実現会議議員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。著書:『労働法 八版』(有斐閣)、『詳解労働法』(東京大学出版会)、『労働法入門』(岩波新書)他多数。
取材日: 2020年11月11日
取材?文/佐原 勉、撮影/今村拓馬