脳には视覚野や聴覚野があるのに、なぜ时间野はないのだろうか? | UTOKYO VOICES 028


大学院総合文化研究科 生命環境科学系 准教授 四本裕子
脳には视覚野や聴覚野があるのに、なぜ时间野はないのだろうか?
「私が见ているこの世界と、他人が见ている世界が同じである証拠はどこにあるのか&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;」
こんな疑问を抱いたのが幼稚园の顷だと闻くと度肝を抜かれてしまうが、四本はそのときのことをはっきりと覚えている。もちろん、将来を见通したわけではないのだが、现在取り组んでいる行动実験や脳活动の测定を通して谜を明らかにする研究に、繋がっている。
「目で见た物がなぜ见えるのかを、眼球の细胞のつくりから教えてくれるのが面白かったので行动文化学科の心理学専攻に进んだ」という四本は、卒论に热中して気づいたら「就职活动のタイミングが终わっていたので、とりえあえず修士に行って考えることにしました」。ところが、修士时代も同じことを繰り返して博士课程に进む。
好奇心旺盛な猫のように、目の前に面白いものがあるとつい追いかけてしまうらしい。その后、次々に面白い谜解きに取り凭かれ、四本は幼稚园の顷に抱いた疑问に挑む研究者の道を歩むことになる。
博士论文のテーマは记忆。见た物をどのように记忆するのかを数理モデルを使って调べた。「被験者が见た映像が、记忆の中で曖昧になっていく様子を时间的に変化するノイズを用いて数学的に定义し、人の记忆を数式化して记忆のメカニズムを理论化しました」 その结果、复数の记忆がお互いに干渉しあう様子や、记忆が不正确になっていく时间特性も明らかにすることができた。
それまで理论寄りの研究だったため、学会発表しても多くの人は闻きに来ないことに物足りなさを感じていた。そこで、さまざまな情报が脳内で処理され统合されて「知覚?意识」となる过程を、行动実験や脳活动の测定を通して明らかにすることを目指すことにした。
现在最も関心あるテーマは、时间。「楽しい时间はあっという间に过ぎるのはなぜなのか? 脳は时间をどう认识しているか」 画像や音声は、それを検知する目や耳という感覚器官と脳が认识する视覚野や聴覚野がある。しかし、时间はそれを検知する感覚器官も时间野といった脳の特定部位もない。确かに不思议だ。
「とても面白くて、难しい问题です。结论から言えば、内臓感覚も含めた相互作用として、脳の部分ではなく、脳全体が活动してコミュニケートした结果、时间を知覚できていることがわかってきました」 つまり、脳は内臓も含めた神経が繋がっている全ネットワークで时间を検知?认识しているのだ。今后の研究で、「楽しい时间は长く、辛い时间は短く感じる梦のような机序」が明らかになるかも知れない。
「自分自身が日常的に知覚し感じていることが、研究内容に直结していることが、この学问の面白さです。小さなテーマであっても、谜だと思ったのは自分が初めてと思えることが楽しく、それを実験で确かめることができるのが喜びです」
「人生の目标は経験値を上げること。今までやったことがないことはとりあえずやってみたい、いろいろ経験して楽しかったと思う人生にしたい」と话す四本の梦は、优秀な研究者を育てることにある。それは、5年しか経っていない四本研究室から、东大総长赏を受赏した学生が2人も出ていることに结実しているようだ。
取材?文/佐原 勉、撮影/今村拓馬
パソコンのデータに保存しただけでは忘れてしまうので、自分のアイデアや思いを础4ノートに记録し20册ほどになった。「アイデアは平面にして时系列に并べることが大事」と学生にも指导している。学生から闻かれた时に、その时には思い出せないがノートを见ると书いてあることが多く、役に立っている
「役に立とうなんて思っていたら基础研究はできません。目の前にある小さな谜を追究することから新たな発见につながる」が、データがなければ始まらない。「研究者ならデータで语ろう、データこそが命。データを出さない者に権利はない」

四本裕子(よつもと?ゆうこ)
1998年东京大学文学部卒。米国マサチューセッツ州ブランダイス大学大学院に留学。视覚记忆の数理モデルの研究により、2005年に笔丑.顿.(笔蝉测肠丑辞濒辞驳测)を取得。ボストン大学、マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学でリサーチフェローとして惭搁滨を用いた脳机能研究に従事。庆应义塾大学特任准教授を経て、2012年より东京大学大学院総合文化研究科生命环境科学系?准教授(现职)。2000年日本视覚学会発表赏、2004年マスマティカルサイコロジーミーティング発表赏などを受赏。
取材日: 2018年1月19日