先入観を持たずにチャレンジし続けることで社会に贡献する。 | UTOKYO VOICES 022
アイソトープ総合センター/先端科学技術研究センター 教授 和田洋一郎
先入観を持たずにチャレンジし続けることで社会に贡献する。
和田は、次々と新しいことに取り组むチャレンジャーだ。
1992年に卒业后、东大病院や帝京大学市原病院集中治疗センターで救急医学等のトレーニングを受けた后、横浜労灾病院では指导医の下で&濒诲辩耻辞;日本で一番多く&谤诲辩耻辞;心筋梗塞や狭心症のカテーテル検査やバルーン治疗に携わった循环器内科研修医として活跃した。このとき、「虚血性心疾患は冠动脉の狭窄と血栓形成に起因することをワイヤーを通じて指先で理解できました」。
その后东大の研究室に戻り、生命科学研究者として心臓病の原因となる动脉硬化が始まるメカニズムの解明に取り组む。エピゲノム情报(顿狈础の塩基配列を変えることなく遗伝子の働きを决める情报の集まり)解析を用いた生命科学実験に取り组み、数理科学者や実験机器メーカーと共にヒューマノイドロボットを使った実験操作の自动化にチャレンジし、かつてない时间解像度で生命现象を解き明かすことに成功した。
血管システムにおいて重要な役割を果たす内皮细胞は、低酸素、変成脂质、炎症刺激などの环境要因に応じて、分刻みで遗伝子构造を変化させて适応するメカニズムがあることを明らかにし、大肠菌で観察されて以来长年教科书に记载されていた现象が、ヒトでは全く异なっていることを発见。动脉硬化などの炎症疾患が引き起こされる最初のプロセスを解明したのだ。
和田がチャレンジャーになった导因は、医学部5年时にフリークオーター(夏休みに各研究室で実习できる制度)を利用して、世界の最先端をいく成人病研究者である児玉龙彦先生に出会い、第叁内科の研究室に出入りし始めたことにある。
「児玉先生は肝臓が専门で脂质代谢から动脉硬化研究を进められましたが、私は血管生物学に兴味を持ちましたので、一家の大黒柱である患者さんの回復をサポートする仕事を通じて狭心症や心筋梗塞を良く理解するために、これらの治疗に関わる循环器を専门としてまず临床を、続いてその経験に基づいて研究を続けました」
最近もヒューマノイド型ロボットの「スマートロボティックシステム」の开発に取り组み、动脉硬化のさらなる解明を行っている。「1分间隔でデータを解析できるようになったことで、动脉硬化発症のメカニズムと治疗のターゲットがはっきりしてきました。また、バイオクリーンベンチの中でこの技术に人工知能を搭载した『スマートロボティックシステム』を使えば、大量の&补濒辫丑补;线放出核种を使った多様ながん治疗薬も安全で効率的に开発?製造できる」と期待している。
こうした研究成果は、数理科学者、物理学者、ロボット工学研究者らとの学际的な研究がなければ実现できなかったはずだ。「生物学の现象に着目して、工学系のロボティクスなどを活用してデータを取得し、数理科学者の考え方がつくりだす新しいモデルに基づいて、これを生命科学の手法で改めて検証するチャレンジができることがこの研究の面白いところ」と和田は话す。
「生命现象に挑むにあたって、固定観念や既成概念を免れることに努めています。先入観を持たずに异文化コミュニケーションを楽しみ、それを通じて得られる新しいアプローチをとる勇気を持つことで、今までにない成果を上げることができます。その结果を积み重ねて、一つでもよいので治疗法を开発して社会に贡献ですることが梦です」
取材?文/佐原 勉、撮影/今村拓馬
研究の合间に、ゆっくり音楽を聴いたり、好きなヴァイオリンを奏でるのが、和田の心休まる时间だ
「どんなに困难なときも、それを愉しむこと」、小学校で理科の先生から卒业时に赠られたこの言叶を常に心がけている
和田洋一郎(わだ?よういちろう)
1992年东京大学医学部医学科卒业。1992年より同大学付属病院医员研修医、帝京大学市原病院集中治疗センター助手、横浜労灾病院循环器科医员として虚血性心疾患の临床。1995年より付属病院第叁内科医员、先端研研究员として动脉硬化発症机序の研究。长寿科学振兴财団リサーチレジデントおよび驹场オープンラボラトリー助手、ハーバード大学医学部客员研究员を経て、2007年より先端研研究员および特任准教授として転写メカニズム研究。2013年よりアイソトープ総合センター教授として低线量被ばく研究と&补濒辫丑补;线医薬品开発、同先端研教授(兼务)としてゲノム?エピゲノム?核内クロマチン构造研究とロボット开発に従事
取材日: 2017年12月14日