Think Cubic | UTOKYO VOICES 008
大学院新领域创成科学研究科 社会文化環境学専攻 教授 出口 敦
Think Cubic
「Think Cubic─立体的に考える」
それが出口の研究スタイルだ。そこから、「都市计画は太阳エネルギーの恩恵をどう配分するかなんです」という斩新な発想が生まれ、新しい都市が构想?造形される。
通常、都市計画や建築はXY軸の平面で考えるが、現実の空間は3次元でありZ軸が必要となる。だから、出口は「必ず立体模型をつくって検討します」。ただ、Z軸は高さではなく、時間やエネルギーなどでもいい。それによって、都市は時系列やエネルギー配分での把握が可能になる。これが、Think Cubic。
窜轴を时间とすれば、「今の时代の正解が、10年后には正解ではないこともあります」。例えば、80年代前半のバブル直前の顷は高齢社会は潜伏しており、ニュータウン开発全盛で若いファミリー世帯のための施设とセットだった。ところがバブルが崩壊し高齢社会が顕现すると、都市に求められる机能は大きく変わり、今では高齢者が住みやすい街づくりが课题だ。
「都市计画には変化していくことを前提としたデザインが必要であり、変化する时代背景とセットで考えなければなりません。そこがまた面白いのです」と话す出口が、都市工学に进んだきっかけは、青焼図面と代々木竞技场にある。
渋谷生まれ渋谷育ちの出口は、幼少の顷、建筑设备関係の仕事をしていた父が持ち帰ってきた青焼図面に絵を描いて游び、小学生の顷は代々木竞技场を游び场にしていた。「20世纪建筑の最高杰作と言える代々木竞技场を设计した丹下健叁先生に憧れて」东大に入学し、「都市をつくりたい、大きい物をつくりたいと思い、都市工学科に入りました」。
しかし学部时代は、中学?高校から続けていたラグビーに明け暮れ、研究者になるつもりはなかったという。大学院に入ってから本格的に専门の勉强を始め、颁骋のソリッドモデルやレンダリングソフトをつくり、都市空间の环境影响评価に応用したことが研究者へと导いた。
その后、1993年4月に赴任した九州大学で、30代という若さで「九州大学新キャンパスマスタープラン2001」立案の责任者に抜擢され、「270ヘクタールという用地に、新时代の大学キャンパス像を具体化する计画と设计」という実务につながった。しかも、建设予定地から出土した遗跡保存や自然?生态系保全とキャンパス建设を両立させたキャンパス计画(现在の伊都キャンパス)が、土木学会环境赏や米国マンスフィールド赏を受赏するなど高い评価を得ている。
东大に戻ってからも、最先端のスマートシティとして海外からも注目されている柏市柏の叶で、公?民?学连携による国际学术研究都市?次世代环境都市づくりをリードするアーバンデザインセンター(鲍顿颁碍)のセンター长として研究を実务に応用。また、现在は総长特任补佐(柏整备担当)とキャンパス计画室长を务め、「不易と変化(変わってはいけない不易の空间(伝统)と、时代の要请に応じてつくり替えていく空间)が共存するキャンパスづくりを目指す」。
出口の研究のベースにあるのがThink Cubicだが、これは人間関係にも応用できる。「多くの人は上下(上司や部下)?左右(同僚等)の2次元で動いていますが、実際には立体ネットワークなのです。特に都市計画はモノではなく人を相手にした分野ですから人のネットワークを理解する軸も大切です。また、いざという時にはこれまで培ってきた人のネットワークが威力を発揮します」。人間関係も立体的に考えていれば、困難を乗り越えることができるはずだ。
取材?文/佐原 勉、撮影/今村拓馬
今でこそ都市计画に不可欠な方位や位置测定は骋笔厂で容易にできるが、80年代の顷はコンパスが威力を発挥した。今もお世话になったコンパスと腕时计のセットを爱用している。
研究も人间関係も立体的に思考することが大切。都市计画は时代背景とセットで、人间関係も上下?左右にネットワークを加えた3次元で考えると道は拓ける。
出口 敦(でぐち?あつし)
1984年3月 東京大学工学部都市工学科卒業、1990年3月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻?博士課程修了(工学博士)。九州大学工学部建築学科?助教授、九州大学大学院人間環境学研究院都市?建築学部門?教授を経て、2011年4月より現職。2012年日本建築学会教育賞(教育貢献)(団体)、2015年度?2016年度日本都市計画学会石川賞、2013年?2015年グッドデザイン賞ほか、受賞歴も多数ある。
取材日: 2017年12月1日