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人生の軸となる古典文学の復興を目指す | UTOKYO VOICES 001

掲载日:2018年1月9日

UTOKYO VOICES 001 - 人生の轴となる古典文学の復兴を目指す。

大学院人文社会系研究科?文学部 教授 野崎 歓

人生の轴となる古典文学の復兴を目指す。

小学4年で出会った、ロマン?ロランの『ジャン?クリストフ』。「読み终わったときは家族全员が寝ていて、自分だけが别世界を旅していたのです」と、野崎は当时の感动を反芻する。子供用にリライトされた本だったが、その后の歩みに决定的な影响を及ぼしたことは间违いない。

それ以来、本にどっぷりハマる。『少年少女世界文学全集』を真剣に読み、野崎の世界は拡张を続ける。中学になり、小遣いで买った讲谈社文库で自覚的に世界の文学に没入。同时に创元推理文库のミステリーにも囚われ、読书はさらに加速する。ただ、「ミステリーばかり読んでいていいのかというやましさを覚え、いつもあえて难しそうな文学书とセットで买っていました。常に二つの选択肢がないと落ち着かない」というから、物事を相対化する视点はその顷に芽生えていたに违いない。

また、身体が弱くて小学校の远足にも行けなかった野崎は『ミクロの决死圏』に衝撃を受け、映画に热中。さらに中学の时に、ザ?ローリング?ストーンズやレッド?ツェッペリンなどイギリスのロックにも心を夺われる。今でも、文学?映画?音楽という3つのチャンネルは野崎の心を刺激し続け、何事にも束缚されない発想の原动力となっている。

最初はシンプルなアメリカ文学に引かれたのだが、中学で出会った堀口大学訳『月下の一群』をはじめボードレールやバルザックに异様な兴奋を覚え「フランス文学こそ世界の顶点と思い込み」、进路指导には东大仏文と书く。先生からは「つぶしがきかない」と諭されるのだが、翻訳书の訳者プロフィールに「东大仏文卒という人が多いので、楽しく食べていける」と确信。希望通り东大仏文に入学して、大学院からフランス留学を経て、研究者人生一直线。

とはいえその途中、大学院の修士论文で躓き、どうしても书けないため屈辱の休学。追い詰められた修士4年の秋、「ロマン主义诗人のジェラール?ド?ネルヴァルの长大な『东方纪行』に取り组んだのですが、非力な自分には全体を网にかけられない」と苦虑していたところ、「田村毅先生から『东方纪行』は长いから序章だけ论じれば修士论文になる」とアドバイスを受けたことで何とか完成にこぎつけた。「意外と好评で涙がこぼれそうになりました」と话す。

フランス文学研究の面白さは3つのポイントがある。「まず、ロマン主义以降は现在まで地続きで繋がっており、絶対と考えられていた価値の揺らぎの中で戦っていくための轴となること。次に、日本人研究者としては、研究成果を翻訳によって日本の読者に届けることができる。そして映画など他のジャンルに接続していく楽しさ。映画も文学と対等とみなすフランスの研究者に影响を受けた。いずれもが、人间にとってリアルな真実に迫る道」だと语る。

现代のわれわれは活字文化の旧时代と、インターネットであらゆる壁を突破できる全く新しい文明の诞生期のはざまにいる。「変动する时代だからこそ过去と向き合って轴を见つければ、流されたとしても自分を见失うことはありません。今后の目标は古典復兴です」と笑颜で话す。

取材?文/佐原 勉、撮影/今村拓馬

Memento

猫の小物入れ。前职の宿舎に游びにくる猫の相手をするうち、大の猫好きになった。この小物入れは30年ほど前に、职场の近くで买ったもの。少し前まで家でも饲っていて、仕事中はいつもそばにいた

Message

Maxim

ルネサンス期の作家、ラブレーの作中の言叶。仏文研究室のモットーとして代々伝えられてきている

プロフィール画像

野崎 歓(のざき?かん)
1981年东京大学文学部卒。同大学院人文科学研究科博士课程中退。一桥大学法学部讲师、一桥大学大学院言语社会研究科助教授、东京大学総合文化研究科?教养学部助教授を経て、现在东京大学大学院人文社会系研究科?文学部教授。フランス文学研究のほか映画评论、文芸评论など幅広く手がけている。主な着訳书に『ジャン?ルノワール 越境する映画』(青土社、サントリー学芸赏)、『赤ちゃん教育』(青土社、讲谈社エッセイ赏)、『异邦の香り――ネルヴァル「东方纪行」论』(讲谈社、読売文学赏)、トゥーサン『浴室』(集英社、ベルギー?フランス语圏翻訳赏)など多数。

取材日: 2017年11月1日

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