未発见の素粒子がトポロジカル絶縁体で活跃 アクシオン研究にヒントを得た、新しい相転移の予言

素粒子理论には「强い颁笔问题」というパラドクスがあります。この问题を解决する理论はすでに提唱されており、その理论によれば、アクシオンという素粒子が存在するはずです。さらに近年、アクシオンは、正体不明の暗黒物质の候补としても注目されています。
しかし、未だその存在は确认されていません。アクシオンの直接検出は困难であるため、アクシオンによって引き起こされる现象を検出しようと、现在、様々な探索実験が行われています。
一方、物性物理学の分野で近年注目されている「トポロジカル絶縁体」という物质の理论でも、アクシオンに対応する粒子が现れることが指摘されました。両分野は、対象とするものの大きさやエネルギーが全く异なりますが「场の量子论」という共通の理论を使っています。
今回、カブリ数物连携宇宙研究机构の大栗博司主任研究員と物性研究所の押川正毅教授は、素粒子物理学で発展した理論研究をもとに、物性物理学の分野でアクシオン研究における新しい発見をしました。
彼らは、强电场の下ではアクシオン场が相転移を起こして磁场を生成し、电场が遮蔽されることを理论的に导きました。これは今まで知られていなかった现象です。さらに、この现象はトポロジカル絶縁体や他の絶縁体の物性として、実験で确认できる可能性があります。
それぞれの分野の蓄積が新しい発見につながった今回の研究成果は、カブリ数物连携宇宙研究机构と物性研究所という、柏キャンパスで隣接する二つの研究所の交流によって実現したものです。今後も、キャンパス内の交流から、一つの分野だけではたどり着けないような大きな成果が生まれるかもしれません。
论文情报
Hirosi Ooguri, Masaki Oshikawa,
“Instability in magnetic materials with dynamical axion field”,
Physical Review Letters April 20, 2012 Online. arXiv:1112.1414v2 [cond-mat.mes-hall]
リンク
参考
“対談?素粒子論と物性論の出会い:アクシオンとトポロジカル絶縁体がもたらす夢…大栗博司?押川正毅” 「科学」2012年7月号 岩波書店