过去に起こった大规模な东南极氷床融解 昭和基地周辺の湖が记録していた縄文时代の融解イベント
東京大学大気海洋研究所のAdam Sproson特任研究員と高野淑識委託准教授(海洋研究開発機構)、横山祐典教授らの研究グループは、東南極昭和基地周辺の湖の調査により、この地域の氷床が過去のある時期に大規模に融解したことを、新たに開発した化学分析手法を用いて明らかにしました。本成果はQuaternary Science Review誌に掲載されました。
南极氷床は世界の海水準を58尘も上昇させうる淡水を蓄えています。现在、その一部、西南极氷床と呼ばれている地域では融解が加速しているという観测结果が得られています。一方、日本の昭和基地が存在する东南极氷床では、比较的安定して氷床が存在すると考えられてきたため、この地域の氷床の长期的な観测については、これまで十分な知见が得られていませんでしたが、近年の西南极の融解倾向から、その挙动に関する理解が重要であると注目を集めている地域です。
そこで研究グループでは2005年12月~2006年1月の南极観测队闯础搁贰47调査で採取された昭和基地周辺の湖の堆积物のベリリウム同位体を分析することで、かつての氷床融解の记録を復元しました。ベリリウムにはおもに2つの种类の同位体が存在します。一つは地球に飞来する宇宙线と大気との相互作用で作られるベリリウム―10ともう一つは岩石の中に存在するベリリウム―9です。グループは、この同位体のわずかな差异を、过去に遡って分析する手法を开発しました。その后、その手法を湖から採取された试料に适用することによって、およそ3,500~4,000年前に急激な融解が起こったことを発见しました。
氷床の融解のタイミングは、シングルステージ加速器质量分析装置を用いた高精度年代测定の结果から明らかになり、これが南极の他の地域からこれまで报告されていた时期と一致することがわかりました。この时期は二酸化炭素の上昇に伴う大気の温暖化は认められておらず、上空を吹く风の変化により、温度の高い海水が南极氷床沿岸近くに接近したことによるものと考えられます。风の変化はエルニーニョなど低纬度域の気候状态と密接に関连していることがわかっており、この时期の氷床融解は太平洋赤道域の変化がもたらしたと考えられます。このことは、今后も类似の现象が起こりうる可能性を示唆しています。
「今回の分析に用いた実験手法は私たちのグループで新しく开発したものだったので、とても注意深い検讨が必要でした」と厂辫谤辞蝉辞苍研究员は话します。「これまで明らかになっていなかった昭和基地周辺の东南极氷床の融解イベントが明らかになり、それが南极全体の现象であったということがわかった时はとても惊きました」と続けます。グループを取りまとめた横山教授は「気候変动に対する南极氷床の振る舞いはまだ未知な部分が多く、今后もこの新しい手法を用いて研究を続けていく必要があります」と话しています。
论文情报
Adam D. Sproson, Yoshinori Takano, Yosuke Miyairi, Takahiro Aze, Hiroyuki Matsuzaki, Naohiko Ohkouchi, and Yusuke Yokoyama, "Beryllium isotopes in sediments from Lake Maruwan Oike and Lake Skallen, East Antarctica, reveal substantial glacial discharge during the late Holocene," Quaternary Science Reviews: 2021年3月15日, doi:10.1016/j.quascirev.2021.106841.
論文へのリンク ()
Adam D. Sproson, Takahiro Aze, Bethany Behrens, and Yusuke Yokoyama, "Initial measurement of beryllium-9 using high-resolution inductively coupled plasma mass spectrometry allows for more precise applications of the beryllium isotope system within the Earth Sciences," Rapid Communications in Mass Spectrometry : 2021年1月27日, doi:10.1002/rcm.9059.
論文へのリンク ()