デヒドロペプチドの新规固相合成法 抗がん活性ペプチド系天然物ヤクアミド叠の効率的固相全合成に成功


新たに确立した连结法で、アミノ酸残基に二重结合を含むヤクアミド叠を固相上で効率的に化学合成することに成功した。
© 2020 Hiroaki Itoh, Kensuke Miura, Koichi Kamiya, Tomoya Yamashita, Masayuki Inoue
東京大学大学院薬学系研究科天然物合成化学教室の伊藤寛晃助教、三浦健介大学院生、神谷光一大学院生、山下智也博士、井上将行教授は、抗がん活性デヒドロペプチド系天然物ヤクアミド叠の固相全合成に初めて成功しました。本研究成果は、2020年1月13日付けで「Angewandte Chemie International Edition」(电子版)に掲载されました。
树脂上でアミノ酸を连结する贵尘辞肠固相合成法は、简便にペプチドを调製する方法として现在広く用いられています。しかしながら、自然界に存在する生物由来ペプチド(天然物)には、通常のペプチドよりも复雑な构造を持つものも多く、兴味深い生物活性を示すにもかかわらず、それらの固相合成法は未だ発展途上です。特に、デヒドロペプチドと呼ばれるアミノ酸残基中に二重结合を含むペプチド群の一般的固相合成法は确立されていませんでした。
研究グループは、复雑な构造を持つデヒドロペプチド系天然物であり、强力な抗がん活性を示すヤクアミド叠の固相全合成に初めて成功しました。この合成では、通常のペプチド固相合成では得られないデヒドロペプチド构造を、无痕跡型厂迟补耻诲颈苍驳别谤ライゲーションと呼ばれる反応を応用して効率的に构筑しました。
今回确立した方法は、贵尘辞肠固相合成法をベースに简便な操作でデヒドロペプチドの全体构造を构筑できるため一般性が高く、今后の応用が期待されます。
「固相合成は、その利便性からペプチドを调製する目的で広く用いられていますが、ヤクアミド叠のようなデヒドロペプチドを固相上で构筑するためには、通常のペプチド合成では生じ得ない复数の课题を同时に解决する必要がありました」と井上教授は话します。「ヤクアミド叠の固相全合成のために今回新たに确立した方法は、多様な天然ペプチドの合成へも応用可能です。この研究が、ペプチド関连研究の発展へ繋がることを期待しています」。
论文情报
Hiroaki Itoh, Kensuke Miura, Koichi Kamiya, Tomoya Yamashita, Masayuki Inoue, "Solid-Phase Total Synthesis of Yaku’amide B Enabled by Traceless Staudinger Ligation," Angewandte Chemie International Edition: 2020年1月13日, doi:10.1002/anie.201916517.
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