海洋の内部波によるサンゴ礁の冷却 白化缓和効果の可能性を指摘


本研究により、内部波が冷水をもたらし、サンゴ生息场所の水温环境に大きな影响を及ぼすことが明らかになった。夏季に高水温にさらされる浅场のサンゴにとっては、内部波による冷却作用は、高水温ストレスを缓和する働きを持つ。一方、深场のサンゴにとっては、内部波は「过冷却」によるストレスを及ぼす可能性がある。
© 2019 Alexander A.S. Wyatt
東京大学大気海洋研究所のAlex Wyatt特任研究員(現、香港科技大学助教授)、James Leichter招聘教授(カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所教授)、永田俊教授らの研究グループは、太平洋の広範な海域において、サンゴ礁が、内部波(海中に発生する波)によって冷却されていることを明らかにしました。本成果はNature Geoscience誌に11月18日オンライン掲載されました。
近年、海水温の上昇を主原因とするサンゴの白化现象が世界的に深刻化しており、白化リスク评価の精度向上や缓和策の立案が课题になっています。これまで海表面水温の上昇とサンゴ白化の関係を広域的に解析する研究が行われてきましたが、数时间~日スケールでの水温変动の実态や、水深が30尘を超える深场サンゴの水温环境については十分な知见が得られていませんでした。
本研究グループは、世界的に大规模なサンゴの白化现象が见られた2015年から2016年にかけてのエルニーニョ期に、太平洋の东西をむすぶ3地点―西表岛、モーレア岛(フランス领ポリネシア)、チリキ湾(パナマ)―のサンゴ礁において、海水温を深度毎(10~50尘)に连続测定しました。その结果、调査したすべての地点で、内部波の影响により、サンゴの水温环境が约半日の周期で大きく変动していたことがわかりました。特に深场のサンゴでは水温の変动幅が大きく、一日のうちに10℃以上も水温が上下する场合もありました。このような顕着な水温変动が、サンゴに及ぼす影响を検讨した结果、内部波はサンゴ礁に対して冷却作用をもたらしており、これによってサンゴの白化リスクが有意に軽减し得ることがわかりました。ただし、深场のサンゴに対しては、内部波が「过冷却」のストレスを与える可能性があることも示されました。
本研究により、これまでほとんど考虑されてこなかった、内部波による冷却作用が、サンゴの生育に强い影响を及ぼしている可能性が示されました。このことは、サンゴの白化リスク评価の手法を高度化するうえで重要な意义があると考えられます。また、温暖化による海水温上昇が引き起こすサンゴ被害の缓和策として、深场を「避难所」として利用することが検讨されていますが、このような取り组みの中でも、本研究が明らかにした、内部波による冷却作用の影响を考虑する必要があると考えられます。
「海の表面に波があることはだれでも気が付きますが、海中にも内部波という波があることや、その波の高さが数10尘から数100尘にも达することはあまり知られていません」と奥测补迟迟研究员は话します。「内部波は、高水温の表层と、低水温の深层の境界面で発生するので、それがサンゴ礁に到达すると大きな水温変动につながるのです。これまでのサンゴ研究の中では、内部波による冷却作用はほとんど考虑されてきませんでしたが、この&谤诲辩耻辞;自然のエアコン&谤诲辩耻辞;ともいうべき仕组みの特性や働きを详しく解明すれば、サンゴ保全のための効果的な手法の开発につながるかもしれません」と続けます。
论文情报
Wyatt, A.S.J., Leichter, J.J., Toth, L.T., Miyajima, T., Aronson, R.B. and Nagata, T., "Heat accumulation on coral reefs mitigated by internal waves," Nature Geoscience: 2019年11月18日, doi:10.1038/s41561-019-0486-4.
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